●足羽教育長
皆さん、おはようございます。県の教育長の足羽でございます。本日は大変お忙しいなか、各報道機関の皆様方にお集まりいただきましたこと、心から感謝申し上げます。昨日、県の令和5年度当初予算に向けた骨格予算ではございますが、方向性が示されたところであり、もちろんその中に、県の教育委員会としての様々な施策も盛り込ませていただいているところでございます。本日はその教育委員会の施策等につきまして、考え方、そして目指すところ等、短時間ではございますが、私の方から説明をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、お手元の資料説明に入りたいと思いますが、まずレジュメをはぐっていただきますと、当初予算関係の主要事業という一覧があると思います。この5つの括り、「社会全体で学び続ける環境づくり」から、5番の文化、伝統、豊かな自然の継承、再発見、芸術の創造」という5つの柱立てをしておりますが、これは別途お手元にお配りしております「鳥取県教育振興基本計画」、これが2019年から2023年度、来年度までの5か年の教育プランを整理したものでございますが、この基本理念「自立して、心豊かに生きる、未来を創造する鳥取県の人づくり」という理念に基づき、4つの身につけたい育成したい力と、そして、はぐっていただいたところに目標1から5まで、この特に力を入れたい施策を絡めながら項目立てをしております。この基本計画の柱に沿って主要事業を、この度18本説明資料に載せさせていただいております。昨年は24本と少し本数が多かったですが、もう少し絞り込んだことと、先程申しました骨格予算ということもあって、重点的に取り組んでいきたいことを中心に、本日はお話をしたいと思います。
そして、もう1枚挟んであります裏表のA4の1枚ものですが、いま鳥取県ではこの教育振興基本計画の下、さらにそれを「どんな子どもたちを育てたいのか」がなるべく子どもたちにも、そして保護者の方あるいは地域の方にも伝わっていくようにということで、私が教育長に就任した昨年来、「ふるさとキャリア教育」という分かりやすい視点で整理をしております。もちろんこれは基本計画の考え方に沿って、これをどんな人材育成を図るかを分かりやすく説明をしたものでございます。たとえば1番の「ふるさと鳥取に根差して、グローバルな視点で考え行動することができる人材」ですとか、2番の「鳥取県に誇りと愛着を持ち、ふるさと鳥取をさらに継承発展させようとする意欲や態度を身につけた人材」といった4つの目指す人材育成像を掲げているものでございます。
これが教育の、いわば様々な施策の基軸として昨年からすべての施策が、このふるさとキャリア教育という基軸の元に展開されているのだということを、学校現場、そして子どもたちにも伝えながら取組を進めてきたところでございます。そういう意味では、これから説明して参ります5つの柱として様々な施策も、すべてこのふるさと鳥取に生まれた子どもたちが、この鳥取で生まれ育って、幼稚園・保育園・小中高、更には県内の大学等、高等教育機関に進学する中で、どんな思いを育みながらそれぞれのキャリア形成・人生を形作っていってほしいのか、そうした思いが込められた「ふるさとキャリア教育」だというふうに受けとめていただければと思います。
それでは具体の説明に入りますが、18本ありますが、軽重をつけながら、重点的なところ、また戦略的な部分の説明を中心にしていきたいと思います。
それでは、資料の1頁をお願いします。「人権教育振興事業」でございますが、これは昨年度までと大きく変わったところはございませんが、今まさにロシアによるウクライナ侵攻が始まって1年余りとなりました。この、いわば戦争、侵略、これこそが人権の侵害以外のなにものでもないというふうに私は受けとめております。命の大切さ、そして生きるということの意味、更には家族、そうしたものが遠い他国で起こっているということを鳥取県の子どもたちが、どのように受けとめているのだろうかということを、昨年の2月この侵攻の勃発以来、学校現場にも投げかけて参りました。遠い国の異国の争いではなくて、この生きるということや、人権といったことに置き換えながら、県内の子どもたちも様々な取組を進めてきてくれたところでございます。
ウクライナから避難された方を招いての講演会であったり、あるいはシトラスリボンを作ってみたり、思いをいろいろな形で取組んでくれた、これこそがまさしく県が進めております人権教育の振興事業のなにものでもないというふうに思っているところでございます。
そういう中で、この事業の中では新規に、予算は非常に少ないのですが、主な事業内容の一番下に「拉致問題の解決に向けた学習推進事業」として、被害者家族によるビデオメッセージ等の作成、そして配布等を行うこととしております。県内松本さんのことが、よく取り上げられておりますが、本当にこれも過去のそうした悲惨な事実・歴史ではなくて、今まさに継続している人権侵害であること、これを今生きる子どもたちにも是非しっかり心に留めて、そしてできる活動、自分の力は小さくとも今、そして今後できる支援策、そういうことに繋げていきたい。若い世代の関心を高めること、これは非常に重要なことだろうと思い、新たに入れさせていただいたところでございます。
おはぐりいただきまして2頁、「デジタル化時代の知の拠点づくり事業」でございます。これは図書館関係でございますが、今アーカイブ化を進めているところでございます。一方で読書バリアフリーの推進ですとか、アフターコロナを見据えた非接触型、あるいは非来館型サービス等といった観点から、電子書籍等のサービス等も運営費等で検討しているところでございます。そうした電子化、これをしっかりと県民の方々に周知していくために、主要事業の1つ目、さらに2つ目、新規事業として電子図書館フォーラムの開催ですとか、そしてその様々な資料のデジタル化をより進めていきたい。現在もこれまでも進めてきております。3つ目の資料のデジタル化の推進というのは、その郷土資料のデジタル化を今後も継続して参りたいというふうに思っております。時代や社会がどんどんデジタル化・DX化していく中で、この図書館の貴重な資料も幅広く図書館に来られない方々にもお届けできるような仕組づくりを県全体を上げて取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
続きまして3頁でございます。博物館関係で、「企画展開催費」を計上させていただいております。ご記憶にあると思いますが、今年度夏に行われましたティラノサウルス展の企画展は、企画展最高の入場者数を計上致しました。「子どもたちに向けて」ということで、この開催期間も延ばして、夏休み前から学校単位で訪問できるような仕掛をした、そうした工夫も行ったところであり、本当に沢山の方々が来場され、時には子どもたちが恐竜の映像やその展示を見て泣き出すような子どもたちもいらっしゃったと聞いておりますが、でも子どもたちがほんとにわくわくする、わくわく感満載の企画展を実施することができました。たくさん報道にも取り上げていただいたことを改めて感謝申しあげます。
新年度も同様に世界的にあるいは全国的に貴重な作品等を県民に紹介していく企画を事業内容に書いておりますが、4つ取り上げてございます。とくにティラノサウルス展に代わる夏、ノーベル賞アインシュタイン展というのを今回は1つ目玉として同じように、夏休みにアインシュタインの科学理論について体験ですとか、あるいはゲーム、あるいは科学のおもちゃ、最新映像等を駆使したかたちで、また子どもたちにたくさん見て、科学の世界への思いを広げていただくような企画展になればというように考えているところでございます。
以下、秋、そして冬とそれぞれの自然、人文、美術分野においての企画を考えているところでございます。
続きまして4頁をお願いします。ここから項目2つ目の「学ぶ意欲を高める学校教育の推進」ということで、学校関係の事業を5つ計上させていただきました。一つ目が「小・中学生のための英語教育推進事業」でございます。グローバル化がどんどん進んでいく中で、小中学生の英語におけるコミュニケーションの能力の向上ですとか、あるいはそれを指導していただく先生方の授業力の向上、それを目指した取組でございます。
一方、高等学校では、いよいよ令和5年4月入学生から倉吉東高校が国際バカロレア教育をスタートさせていきます。またこれは後程出ますけれども、そういう英語というものがもういわば世界の共通言語であり、そして日常的にこれを駆使して国際理解あるいは国際教育をさらに押し進める1つの重要なツールであること、ただ本県はご承知のとおり、なかなか外国の方と触れ合ったり、英語を学ぶ機会というものが無いことから、自分がどれぐらいの英語力を有しているのかというようなことを、例えば主な事業内容の1つ目、拡充としておりますが、外部試験を活用した生徒の英語力の向上事業、これは継続として拡充ですが、英語で求められる4技能ですね、話す、聞く、書く、読む、これらが総合的にどのぐらいの力を持っているのかということを県内のすべての中学生、そして小学6年生は希望者ですが、外部試験を取り入れながら、その4技能を測るようなかたちを、これは全19市町村、ご理解協力いただいて、全県下で展開をしていくこととしているところでございます。これまではその中の二つの技能しか測ることができませんでしたが、中学3年生において、4技能をしっかり測り、さらに高等学校の学びに繋げていただきたいというふうに思っているところでございます。
また一番下の項目に上げておりますが、英語の多読イベント等、親子で英語を駆使した取組なども含め、この全県下でグローバル化に向けた英語力向上の取組を推進したいというふうに考えております。
続きまして5頁をお願いします。「未来を拓く鳥取学力向上プロジェクト」でございます。毎年4月に全国学力・学習状況調査が実施をされておりますが、残念ながら本県の全国平均比で見れば、なかなか右肩上がりになっていかない現状がございます。もちろん、今そして今後求められていく課題を見つけ、自分で考え、判断をして表現をしていく。こういう力がいま新学習指導要領でも求められており、そのための探究的な学習がすべての校種で進められているところでございます。その下地となるこの学力、単に記憶してそれを表していくだけの学力ではなく、思考判断・表現、こういった力を更に伸ばしていくために、事業内容の1つ目、本県独自のとっとり学力・学習状況調査、これは全国学力・学習状況調査とは違い、個々一人一人が1年間で、どれぐらい力が伸びたのかということを測ることができる調査でございます。この県独自の調査と全国学力・学習状況調査、これを縦軸、更に横軸でクロスさせながら、個々一人一人は例えば全国の調査では平均以下だけど、去年から君はこんなポイントで伸びてるね、こういうところが大切にしてきた成果だねというような、学力、学びにおける自己肯定感にも繋がっていくような調査が、このとっとり学力・学習状況調査でございます。
今年度までは、これを中学2年生までとしておりましたが、この対象範囲を中学3年生まで拡大して、義務教育段階における毎年のそうした学力の伸びと、そして今求められる先程申した全国学力・学習状況調査で測るその思考・判断・表現・といった、まさしく国の方向性に沿った学びを、この縦軸・横軸で更に充実をさせていきたいというふうに考えているところでございます。
ここは経年の大きな課題というふうに思っておりますので、少しずつ、このとっとり学力・学習状況調査を使った成果も見えてきている。市町村教育委員会のほうからも非常に賛成・応援をいただいているところでございますので、なんとか大きな県の施策の目玉として、今後もより充実に向けて取り組んで参りたいと思います。
続きまして6頁をお願いいたします。「GIGAスクール運営支援事業」でございます。3年目をいよいよ来年は迎えることとなりました。今年度からは、高校においてもこのGIGAスクール構想がスタートしたところでございます。まずは使うというところから、そうしたICT機器を生かすという視点に切り替えながら、来年はその充実を図る取組に進めて参りたいと思っております。先日全国の教育長会議がございましたが、どの県ももちろんこのGIGAスクール構想には取り組んでおりますが、やはり同様の課題で、教員間の温度差があるということ、ICT機器が得意な先生方、とくに若手の先生方はすっと溶け込んで、そしてうまく使っているけれども、なかなか教科書で勝負をされてきた年輩の方々はこのICTなかなかなじめないなあといったような課題が共通課題として話されたところでございます。
本県は逆に、じゃあこの最小県の強みを生かして、教育センターに設置をしておりますGIGAスクール推進課が、出前授業にどんどん出向いて、県内くまなく歩きながら、回りながら、そのニーズ、あるいは理解に応じた先生方への研修や、そして各教科の中で、どんなふうにICTを駆使すると新たな学びが展開できるのかという好事例を広めながら、この2年間取り組んできたところでございます。全国の先程申した教育長さん方からも、非常に羨ましがられた、小さいからこそきめ細かく支援をしていくことができる。そういう体制を新年度もより充実させたいと考えております。
新規事業であげております「GIGAスクール推進協議会」を設置して、県全体のICTの利活用をさらに底上げしていきたいと考えておりますし、今年度設置しましたヘルプデスクの対象を市町村のほうにも拡大しながら、運営支援センターの充実をより図って参りたいというふうに考えているところでございます。
私も繰り返しここは言うのですが、「ICTを使うことが目的じゃないよ」と、ICTを使うことで教科書では得られない、その時事的な問題・課題であったり、あるいは世界の人とあるいは遠く離れた方々と繋がることで、子どもたちの新たな学びの世界を創造し、子どもたちがそのことによって、自分の生き方をしっかり考えていくことに寄与することこそが、このICT機器の使用目的であること、この辺りは随分浸透してきたのかなあと思います。そういう意味でこの使い方・駆使の仕方ということをより深めて参りたいと思います。
続きまして、関連する事業ですが、ICT環境整備事業でございます。今お話したこのGIGAスクール構想をより進めていくためにも各学校の、やはり教室あるいは情報処理室といったところのパソコンだとか、プロジェクター等の環境整備、更にはネットワーク化をより強固にしていく必要があろうと思っておりますので、この辺りはGIGAスクール構想の推進と絡めて強化を図って参りたいというふうに考えております。
次のページをお願いいたします。これも関連する部分はございますが、「特別支援学校におけるICT教育充実事業」でございます。ただこれは、誰一人取り残されないということが今度の新教育振興基本計画、いま国のほうが策定に向けて動いておられますが、大きなキーワードとなっております。そういう意味で障がいのある無しに関わらず、さらに障がいのある子どもたちの学ぶ意欲を引き出すために、このICT機器をどう活用していくべきかということを、より進めて参りたいというふうに考えております。
例えば、校長先生のリーダーシップによって、皆生養護学校は、このICT機器を駆使した障がいの状況に応じた個別最適な学びに、学校挙げて取り組んでいただいているところであり、大きな成果を上げております。もちろん他の特別支援学校でも、駆使はしておりますが、その特別支援学校だけではなく、小学校・中学校における特別支援学級等においての障がいのある子どもたちへの学びの支援に繋がるようなかたちを取り組んでいきたい。
そういう意味で主な事業の3番目に挙げておりますが、「(新)特別支援学校ICT学習(eラーニング)を活用した学びのプロジェクト」こうした先行、あるいは好事例を全県下に展開していくような個別最適化の学びの充実を図る取組に力を入れて参りたいというふうに思います。
続きまして9頁をお願いします。ここからが「学校を支える教育環境の充実」ということで幾つか挙げております。
まず1つ目が先程少し触れました倉吉東高校における「国際バカロレア開校事業」でございます。まず予算欄を見ていただきますと、昨年度と比べてちょっと大きく予算を減にしておりますが、これは大規模改修、化学室ですとか、あるいはバカロレア教育を推進するために必要な部屋の設置ですとか、大きなものが大規模な改修が必要でしたのが終了いたしました。今年度はいよいよ開校に向け、ソフト面を中心に指導のノウハウを蓄積していきたいということでの予算を計上させていただいております。
先日、倉吉東高校も特色入試を行いましたが、この中にはやはりバカロレアを意識した受験生もあったと聞いているところであり、県内最高倍率を倉吉東高校は記録したところでございます。全国では私立の中高一貫校がこのバカロレア教育は多く取り組んでおり、公立でどのようにいいスタートが切れるか、まずは初年度、一般的な学びを通しながら、その中に少しずつバカロレア教育の要素を取り込んで参りたいというふうに思っているところでございます。
事業内容のところに、学習教材でありますとか、あるいは教員のスキルアップということを大きく掲げておりますし、広報活動では、昨年11月にもシンポジウムを開催をいたしました。今年度は県内各地区で、この倉吉東高のバカロレア教育の学びを紹介するような会を開いていきたいというふうに思います。
また、指導いただく先生方のスキルアップは、これは必須条件でございます。項目の(2)番あるいは(3)番そして(5)番当たりにちょっと書いておりますが、この教員の資質向上に向けて例えば先進校である東京学芸大附属高校等への先生方の派遣研修等も計画をしているところでございます。是非この国際バカロレア教育が目指すところをしっかりと全県下あるいは全国にも発信しながら、山陰で初めてのバカロレア教育校としての取組をしっかりと広め、また令和6年、具体的な学習がスタートいたしますが、その時に向けた体制整備をしっかりと図って参りたいというふうに思っているところでございます。
続きまして10頁をお願いします。「地域に根ざした魅力ある学校づくり推進事業」でございます。これも従前取り組んできたものでございますが、これも昨年度からは若干予算を減じておりますけれども、中山間地域の高校の魅力化推進ということで取り組んで参りました。予算が減っておりますのは、こうした欄に掲げておりますような学校を、昨年まではラジオ広報、中学生がよく聞くラジオ番組に登場させていただき、これを3年間実施して参りました。平成30年は全県下で36人の県外からの入学生がありましたが、今年度令和4年度は54人まで増えてきたところでございます。とくに西部地区での日野高校は、今年度13人も一気に入学生があったところでございます。やはり様々な環境の良さが逆にこの鳥取県の中山間地域にはあることが中学生たちにも浸透してきたところであり、今年度からはそのラジオ番組は一旦区切りをつけますが、SNS等でそれぞれの学校の取組をしっかり発信をして参りたいと思います。
具体的な事業としては、主な事業の県外生徒募集活動の中の拡充としていますが、県外生徒の受け入れ環境整備事業でございます。やはり県外から来ていただく、あるいは県内でもその遠隔地学校に通うには、住環境の整備というものは必要でございます。議会のほうでも学校寮のことがよく出ますけれども、学校寮を作り運営していきますということになかなか踏み込むのが難しいところゆえ、様々なやり方、そこに書いておりますが下宿を受け入れていただく家庭への支援ですとか、例えば八頭高さんはある会社の寮、同窓会が運営されている寮を使って、そこに生徒さんが入られたり、そして新たに3行目に書いておりますが、岩美高校で、今度はコミュニティースクール、全県下で推進をしておりますが、これが運営母体となって、岩美町内にある空き屋を活用してここを改修する。そこにさらにWi-Fi等をきちんと整備したりするなどの環境整備をすることで、県外生の受入が可能になる。岩美町とこれは連携をしながら取組を進めて、そうした受入環境の整備を進めて参りたいというふうに思っているところでございます。
その下に挙げております魅力ある学校づくりの推進事業、これは青谷から日野まで、これまで取り組んできたこの中山間地域の学校の取組推進、特徴をより際立たせて取組を継続して進めて参りたいと思っております。
続きまして11頁をお願いいたします。これは「教職員人事管理費」ということで挙げております。特に新しいものではございませんが、この数年全国で教員不足が問題となっているところであり、なんとかその鳥取県教育に関わっていただく方の確保をしたいということで、魅力発信でありますとか、採用試験をなるべく早期に行うようなかたちで早期化を図るなどして、関係人口ならず関係教職員の裾野を広げたいと思っております。新年度は全校種の採用試験に関西会場を設置しながら、実施する予定にしているところでございます。
たしかに全国で教員の奪い合いになっておりますので、本県でも合格されても辞退される方も結構いらっしゃいますが、それでもこの関西会場を設置したことで、関係ができた、あるいは採用そして、あるいは臨時的任用等でお越しいただいた方も多数いらっしゃいます。ぜひ、国に鳥取県の学びの良さを発信しながら、教職員確保に向けた取組を進めて参りたい。それがこの事業でございます。
続きまして12頁をお願いいたします。「スクールソーシャルワーカー活用事業」でございますが、児童生徒を取り巻くその環境に対する課題が年々複雑化しているところでございます。次に挙げております不登校児童生徒支援事業ともこれは関係しますが、新たなヤングケアラーへの支援も含めながら、児童生徒に対する福祉的な支援に繋げていくためのスクールソーシャルワーカー事業を今年度も、より拡充をしたりしながら、進めて参りたいというふうに思います。
次の13頁に、「不登校児童生徒支援事業」を挙げておりますのでご覧いただければと思いますが、この不登校の要因・背景が年々複雑化・多様化してきているところでございます。学校生活適応支援員の配置であったり、あるいはスクールカウンセラーの配置、これは継続して国庫事業を活用しながら、展開をして参りたいというふうに思っております。
その中で特徴的なのは、主な事業内容の2つ目、拡充として挙げておりますが、「校内サポート教室設置事業」でございます。これは、学校までは登校できるんだけれど、教室に入って皆と一緒に学ぶことができないという児童生徒さんもいらっしゃいます。そういう生徒さんを対象とした教室を別に設置をし、そこに支援員を、元校長先生であったり、あるいは教育相談を経験された方、そういう方を配置しながら、個々の学びに寄り添うそういう体制をここ数年つくってきたところであります。非常に設置した学校から効果があり、自分のペースで学べたり、さらに中には人間関係がうまく構築できて、教室に復帰できたりといった成果の声が届いているところであり、これは市町村教育委員会さんのほうからも非常に支援、またご理解をいただいているところでございます。本年度は5校設置しておりましたが、10校にこれを増やしながら、この子どもたちの様々な学ぶ機会学ぶ場所、そしてそこに評価をする教員ではない人がいること、空間とそして時間とそして人、この存在がやはりこうした様々な要因・背景をかかえる生徒さんたちにとっては必要であろうということで、この支援の輪を広げて参りたいというふうに思います。
この取組に先程説明しましたスクールソーシャルワーカーこれらも絡みながら、そうした悩みをかかえる子どもたちへの支援の輪を広げて参りたいというふうに思っているところでございます。
続きまして14頁をお願いいたします。「県立夜間中学スタートアップ事業」でございます。いよいよ夜間中学は、学校名も決まりました。「鳥取県立まなびの森学園」と校名を掲げながら、令和6年4月開校を目指して今着実に準備を進めているところでございます。工事の整備のほうは継続費として掲げさせていただいております。環境整備をするとともに、やはり大きな課題は、事業内容の1つ目、それから2つ目に掲げておりますが、やはりこの夜間中学での学びというものが、どんな学びなんだろうかということの周知、そしてまたそうした方々に、この夜間中学の存在が届くような取組広報活動を、より進めていくことが必要だろうというふうに思っております。
12月には、これも取材に来ていただきありがとうございました。体験授業会を実施し、4名の方ではありましたが、外国籍の方も含めて参加いただいて、「学ぶって楽しいな」というその場所を体験していただいたところで非常に好評でございました。初めて会われたその4名の方々が、すぐに打ち解けて、家庭科と理科の授業でございましたが、この自分が知らなかった世界が目の前に広がり、そしてそれをまた担当の教員が丁寧に説明したり考えていただいたり、ほんとに非常にいい取組だったなあと思いますので、なんとか開校までにそうした発信をより進めて、この夜間中学が新たな学びの場として、県立設置とした意味を全県下に周知をして参りたいというふうに思って整備に努めて参ります。
続きまして15頁をお願いいたします。「部活動指導員配置事業」でございますが、これは次の4項目目、「生涯にわたる健やかな体づくりと運動、スポーツの推進」で16頁に計上しております「(新)部活動の地域移行推進事業」と連動させて受けとめていただければというふうに思います。部活動指導員は、教員に代るその指導者として、国庫事業を活用しながら進めてきたところでございますが、この15頁に書かれております運動部活動支援員、国の予算は中学校対象でございますので、本県ではここ設置がなされてから、高等学校のほうにも県単独での予算配置で配置をしてきたところでございます。今年度はそこに書いております44名でしたが、来年度はさらに54名と増やすことで、部活動の専門家の指導を受けることができる子どもたち、生徒にとってのハイレベルな指導と同時に、合わせて教職員の働き方改革にも寄与するということで、拡充を図りたいと思っておりますし、中学校のほうは、先程申した国の事業対象としながらも同じように広げて参りたいと思っております。令和5年度は165名を予定しているところでございます。
このことが次の16頁、新規事業として、「部活動の地域移行推進事業」とリンクして参ります。国のほうが部活動の地域移行を表明されて取組がスタートしましたが、いろいろこの数年、二転三転されて紆余曲折があって、当初は中学校・高校同時だったはずが、高校がはずされまして、中学校だけということでスタートし、さらには国のほうの予算も、皆様ご存じだと思いますが100億以上の予算計上が4分の1ほどに削減されたりということで、さらに5年度から7年度までで地域移行をという推進が期限を設けずということで、地域移行へという考え方が今進められているところでございます。本県もいち早く、この部活動移行が非常に大変な課題というか、子どもたちがこれまで当たり前に学校という枠の中で行ってきた部活動が、まずは週休日、土曜か日曜の1日とはいえ、地域に移るということがどんなに大変かということを国のほうにも、私自身が伝えてきたところでございます。いうまでもなく、指導者の問題と受皿の団体の問題と、さらには保護者の方への負担が急増すること、これ以外にもたくさん細かく言えば、じゃあ移動はどうするのかだとか、あるいは子どもたちが使う用具はどうするのかとか、様々な課題がございますが、これが3年限定ではなくなったことを含め、市町村教育委員会ともその地域の実情に応じて取組を進めていけるようなかたちで、この事業内容に挙げておりますが、コーディネーター配置支援体制整備ですとか、あるいは地域クラブ活動のモデル創出に係るような取組を今後進めて参りたいというふうに思っているところでございます。
このことは、市町村教育委員会ともしっかり連携を図って、これまでも取り組んできておりますが、皆さん異口同音にやはり、団体や指導者がいないということを同じように言っておられます。例えば都市部である鳥取市で仮にそうした体制が取れたとしても、でも岩美町でどうなんだろう。若桜町の子どもたちはどうなんだろう。皆置いてけぼりになってしまう。やはり、ある一定の地域枠で考えていくほうがいいんじゃないかというようなことを市町村のほうにも1つ提案をしているところでございます。ただ鳥取市で例えば南中でバスケットをチームでやろうといっても、若桜中学校、若桜学園の子どもたちがそこに移動してくる時、誰が送るの?と先程申したような課題も当然あります。そんな辺りがどれぐらい折り合いが付けていけるのかということで検討すべき要素があろうかと思いますので、これまでも設置してきておりました検討会を継続しながら、各市町村単位あるいは各地区、東部・中部・西部といったような区域で、この部活動の地域移行が進んでいけるような体制を検討して参りたいと思っております。
外部指導者のことがちょっと先程触れましたし、そうした指導者の配置支援の体制整備等も国の事業を使いながら、広域的な人材バンクの設置を、これは県が主体となりながら、スポーツ協会や、これは文化ももちろん含めてでございますので、文化団体等とも連携しながら人材の掘り起こし、確保または、ここも進めて参りたいと思っております。
5番に入りますが次のページをお願いします。最後2つは、県立美術館に関わる事業でございます。いろいろブリロの箱を中心に、たくさんの方々に関心、そしてご意見をいただいたこの1年だったというふうに思っております。謙虚に反省すべきはそうした声をしっかり受けとめ、そして、でもその作品の価値だとかあるいは今後の活用だとかを今キャラバン隊を編成しながら、そうした説明に取り組んでいるところでございます。
ただ、いよいよ令和7年春の開館に向けたオープンがどんどん近付いて参りますので、この全国一番最後にできる県立の美術館を際立たせるための取組を、推進事業を事業内容のところに掲げておりますが、美術館建設を活用した大きな美術館推進事業ですとか、美術館情報発信事業ということで、例えば令和5年4月にいよいよ上棟を迎えます。随分いまかたちが見えて参りましたので、そうした見学会にもたくさんの方に参加いただいているところでございますが、この記念事業を4月に実施をしたりとか、あるいは2つ目の美術館情報発信、これは例えばテレビでお世話になって、広報番組を制作したり、新聞に連載コーナーを企画したり、また写真をずっと撮りためながら、写真における記録等での発信をしたりといったかたちを検討して進めているところでございます。
学芸員による「未来を届けるPRキャラバン事業」いまも継続中ですが、ぜひ新年度は全市町村を訪問するようなかたちで、ここにこの美術館の大きな目玉の、アートラーニングラボという美術を通した学び鑑賞、このアートラーニング機能を全国には例のないこの美術館の大きな目玉として、発信をしていくといったようなことを計画しております。
そして、美術館500日前開館記念、未来をつくる美術館の未来という500日前、これはおよそでございます。まだ開館日が決定をしておりませんので、きっちり500日とはいえないのですが、約1年余り前を想定しながら、開館記念500日前記念事業を進めて参りたいと思います。これは時期としては、令和5年の10月頃を予定しております。工芸・物づくり・そして空間アート、これをコンセプトとしながら、著名人をパネラーとして招いたシンポジウム等を計画しているところであり、ぜひしっかりとPRしながら、美術館に向けた関心を抱いていただけるような機運醸成を図る取組を集中的に行って参ります。
関連して18頁が、『「県民立美術館」実現プロジェクト事業』でございます。アートラーニングラボ事業、先程申したもの、ここにやはりブリロの箱等もうまく駆使しながら、この近代アート、現代アートというものの良さ、そうしたものが県民の方に広く届くようなかたちであり、また県民の方々にたくさん参加いただくような事業を、私たちの県民立美術館普及啓発事業等々でも、様々なワークショップを展開したりするなど、この施策をしっかりと構築することで、このせっかく関心を持っていただいた県民立美術館が期待に添えるようなものになる、そういう意味では開館前までが、私は大切な勝負期間だろうと思っておりますので、この令和5年これが大きな美術館建設、そして開館に向けた一つのキーワードとなる1年かなというふうに、そんな位置付をしているところでございます。ほうぼうから関心が高いことは、皆様報道機関のほうで広めていただいたおかげだろうなと思っておりますので、もちろん冒頭申したいろんな声を謙虚に受けとめつつも、その魅力やわくわく感を県民の方に届けることができるような仕掛をしっかりと進めて参りたいと思っております。
教育委員会全体の定数関係のことで、組織のことを簡単に報告をさせていただきます。大きな変更点はございませんが、赤字で書いておりますが、教育環境課と教育センターのところが赤字となっております。
これはまず教育センターのほうですね。先程GIGAスクール構想のところで話しました今年度はGIGAスクール推進課でございましたが、さらに幅が教育分野のデジタル化という点を絡めて、DX化が全国あるいは県内でも進めていかれることで、その教育環境課のほうにあったハード的な整備事業の部分もこちらに教育センターのほうに移管をしまして、教育DX推進課というふうに名称を改変し、組織体制等を構築して参りたいと思っております。
その関連で教育環境課のほうが、この教育情報化業務の教育センター移管に伴うということで、学校運営担当というふうに担当名を変更するものでございますので、この赤字で書いてあるところが関連するものでございます。組織改編については以上でございます。
・部活動の地域移行について
○記者
新規事業の中で、部活動の地域移行の話がありましたけれども、現状の鳥取県における部活動の地域移行というのは、どの辺りまで進んでいて、境港とかモデルとしてやっていると思うんですけども、ここから見えた課題ですとか、こういう新規事業としてやっていく中で、どういったことを本年度集中的にやっていきたいかというところをなにかあればお話しいただけるでしょうか。
●足羽教育長
今年度とそれから昨年度から、モデル事業としては、鳥取市の鹿野と境港市さんのほうでモデル事業を進めて参りましたが、この2事業は全国も同様ですが、そういう受け皿があって、指導者があるところがモデル事業として手を挙げられております。例えば境港市さんですと、陸上とハンドボール、地元柄といいますか、歴史的な背景を持たれるような指導者もいらっしゃるし、それから練習環境場所もある。そういうところでモデル事業として、国からの補助事業として進めてこられました。そういう意味ではやりやすく、できる環境でできる人もいてというところでしたので、なかなかそうではない競技だったり、あるいは団体がないようなところの活動を子どもたちにどう準備をしていくのかというところが一番やはり大きな課題になろうかと思っているところでございます。そういう意味で市町村単位で実施ということも、やはり難しい面がありはしないかというのが、今の大きな検討課題でございますので、今後の取組としてはそういうことができにくい競技や地域、それをどんなかたちで子どもたちに、スポーツなり文化なりの活動機会を確保していくのかということを、もっと地元市町村とも協議をより深めて参りたいと思っております。私自身はスポーツももちろんですが、一番活動の多いのが文化の中では吹奏楽ですね、中学生。こればかりは大きな楽器を持って移動することもままならず、またそれぞれが皆大きなチェロだったり、高価なバイオリンを持っているわけではない。今までの環境とまた大きく変えながら、その環境を作っていくというふうなところは、県の文化団体さんの協力がなくしてはできないだろうし、そうした現実的な課題を一つ一つクリアできるような詰めを、今年度は進めて参りたいと思っております。
できるところからやれればという考えはあるのですが、ここにネックは、国がちゃんと予算措置をしてくれるのかということが見えない段階なので、そうした団体に支援が国からいくのか、そして部活動でやっている先生には特別勤務手当てが今の制度で出ますが、そうした団体やクラブでやった時には、現状は出ないというような温度差があるようなことが解消できるのかどうか。この辺りは国のほうにも要望したり、動きを注視して参りたいと思っております。