取材の日は上菅駅前の住民拠点カフェ『住舞瑠』(すまいる)の開催日。日野町名物のさつきを置いたガーデンカフェに数名のお年寄りたちが集まっておしゃべりに花を咲かせています。
そこへやってきた一人の女性が今回の主人公、眞﨑愛(まさき あい)さん。
福岡県出身の「Uターン地域おこし協力隊員」です(業務内容は高齢者支援と竹細工を通じた町おこし)。
眞﨑さんは8年前もこの菅福地区で1年間、地域おこし協力隊として活動していました。
当時、大学3年生だった眞﨑さんは「国内留学」のつもりで応募したそうです。
日野町を選んだきっかけは、それ以前に訪問した鳥取県湯梨浜町のゲストハウスの雰囲気のよさが忘れられず、とりあえず鳥取県内で応募先を探したことから。
(そのゲストハウスでは「それだけで旅行した気になってほしくないから、写真撮影禁止」だったそうで、当地の風景を目に焼き付けるだけでなく、お客同士のほか、オーナーや出入りする近所の人との交流も深まったそうです。おもしろいルールですね)
なので、鳥取県に興味があったものの日野町のことを知っていたわけではありません。
ですが来てみると、どなたも親切で本当に日野町菅福地区が好きになり、今年からUターンされてきました(ニワトリ二羽を供にして…)。
シロちゃんとクロちゃん ⇒
眞﨑さんの名刺に記された職は「バスケタリー家」=カゴ細工作家。
小さいころから身近にある不用品を使ってものを作るのが大好きだったそうですが、勤め先の少ない地域で自立するには自分で仕事を生み出す技術がいると考え、大分県で竹細工の修行をしてからこちらに来られました。
下の写真は、眞﨑さんの作品です。
大きなカゴはマイバスケットにぴったりですね。エコバッグはたためて小さくなるものの方が便利だと思うかもしれませんが、実際にカゴを使ってみると、「袋」と違って、ものが出し入れしやすく、安定して置けるよさにお気づきになるでしょう。持って行くのは意外と苦になりません。
(足が生えているのもカワイイですね)
かごタイプのショルダーバッグ(上左の写真/手前に肩ひもの下がったカバン)には、さらにひと工夫として裁縫が得意な地域の方に内袋を作ってもらい、品物を合作しようとも考えているそうです。
裁縫や手芸を地域の方に協力してもらうことで、その技術をお借りすると同時に、モノづくりを通して自分を表現することが楽しいと思ってもらえる場所を作りたい、ひいては不要となった畳のへりから竹、おかめ笹などの地域の身近な素材を見直すきっかけにしたい…そういう地域の支援を考えています。
(究極的には、竹でなくてもスナック菓子の袋を材料にしてカゴを作ったっていい…そういう考えを表す「NEO民藝」という言葉が眞﨑さんの名刺に刻まれています)
「地域おこし協力隊は、地域を支援する仕事ですが、私の方が支援されています。」
先日も竹細工教室で指輪を作っていたら、参加者のお年寄りがスカーフ留めにもいいと言って、予想外に違うものを生み出されたそうです。
(楽しみづくりだけでなく、いずれは地域のお宅を訪問して、竹細工制作を行いながらの雑談を通して困りごとの聞き取りなどを進めていこうと計画されています)
眞﨑さんはお年寄りが好きだと公言しています。
その「好き」は「敬老精神」というより、「おじいちゃん、おばあちゃんの発想っておもしろい。年の功があるというのではなく、得られるものがとても多い」と心から思う気持ちだそうです。
こちらに来てすぐ、連れてきたニワトリの小屋をあっという間にこしらえてくれ、竹細工を展示する棚から作品が素敵に見える飾りまで、近くにある廃材ですぐに作ってくれたのは、年配の人ならではの技術と感性ではないか、と。
だから、眞﨑さんは「高齢化が進んでいることはマイナスなことばかりではなく、プラスにとらえることもできるのではないか。高齢者の知恵や経験のおもしろさが地域の魅力づくりの要になって若い人もやってくる菅福にしたい」と語ります。そういう発想もあったのか~!!
いずれは来る地域おこし協力隊の任期満了に向けて、眞﨑さんは菅福地区に「ものづくり交流アトリエ」を創設することを視野に入れ、自分自身の自立についても探っていっています。
今後のご活躍にぜひご注目ください!
【眞﨑愛さんからのメッセージ&連絡先】
7月下旬より、竹細工教室を月2回ほど開催予定です。
一緒に竹細工をやってみたい方はお問い合わせください。
連絡先:電話 080-3998-9575 メール ai.masaki.mig@gmail.com
■Instagramで情報を発信しています。
https://instagram.com/masaki_ai_sk
日野振興局 2023/06/26