●足羽教育長
お忙しい中、本日はお集まりいただきましてありがとうございます。いよいよ2月議会も近づいて参りまして、例年、来年度に向けた予算そして事業取組、教育委員会の予算等について、こういう記者会見というかたちで、説明会を毎年開かせていただいています。たくさんの事業がございますが、その中から主だった、また県の戦略事業に値するようなものを中心に、これから暫く私のほうから説明をさせていただきたいと思っております。
まず冒頭に1月1日の能登半島地震から6週間が経ちました。本当にたくさんの方がお亡くなりになって、また、たくさんの方が被災されていらっしゃること、お悔やみと同時にお見舞いを申しあげたいと思います。子どもたちの学校生活も、すべて再開をしたと伺っております。かねてから必ず学習支援が必要になるということを、私どもも案じておりまして、ただ、これだけはプッシュ型にはなかなかならないので、ようやく文科省を通して、石川県のほうからも支援要請が参ったところでございます。県全体で支援隊を志賀町のほうに送っていることはご存じだと思うんですが、輪島市と珠洲市の中学生が白山市の体験施設に約半数ぐらい避難されて、そこでの授業が再開しております。支援要請がありましたのは、そうやって200人以上の中学生が避難していらっしゃる白山市で、宿泊施設の夜間の警護といいますか、警備を当たる方と向こうの先生方だけでは大変だし、また、町の職員の方も大変なので、そこを全国への支援の要請がありました。本県からもすぐに手配をしまして、2月の23日から27日までの間、3人の事務局職員を白山市のほうに派遣をする予定としております。これは夜間3交代で、子どもたちの安全管理だったり、あるいは緊急の場合の対応だったり、相談だったりというふうなことに当たるということで、学習支援ではないんですが、この子どもたちの安全を守るというふうな視点で、白山市のほうにも職員を派遣することとしております。学校現場の先生方をこの時期、行っていただくわけにはなりませんので、事務局の中から教員、係長だったり指導主事を3名派遣することとしており、この支援の輪を今後も継続して参りたいと思っております。
鳥取の子どもたちにも、こうした能登半島の地震のことをどのように受けとめるのか、これは、ロシア・ウクライナの争いの時も、また、イスラエル・ガザ地区での紛争の時も、私も随分投げかけて参りました。全市町村教育委員会や、あるいは県立学校等にもその旨はもう既にお伝えをして、子どもたち自身がどんな支援だったり、どんな思いを寄せることができるのか、これもまた一つ遠く離れた鳥取の子どもたちの大きな学びに繋がるんじゃないかというふうに思っているところでございます。米子市の子どもたちが三百何万円という大きな義援金を集めたり、あるいは、募金活動に立ってくれた看護大学の学生がいたりと、支援の輪を鳥取県でもぜひ広げて参りたいと思っております
それではお手元の資料により、説明に入りたいと思いますが、まず、カラー刷りのもので、A3判の大きな資料をちょっとご覧いただければと思います。今、令和6年度からの教育振興基本計画の策定中でございます。ずっと1年間かけて議論を重ねて参りまして、現振興基本計画を改定するかたちで、令和6年から10年までの間の振興基本計画を策定をし、3月に(定例教育委員会で)議決を経る予定にしております。現行のものと大きな違いはございませんが、この基本理念の下の4つの力、これは普遍的なものであろうということで変えておりませんが、その下に「ふるさとキャリア教育の目指す人間像」という、今様々な施策の基軸として取組を進めております「ふるさとキャリア教育」の視点を明確にここに打ち出しました。子どもたちの人生を制限することも規制することももちろんできなく、ふるさとに根づいて、ふるさとを支える人材になっていただくことも、もちろんなんですが、鳥取を離れて日本で、あるいは世界で、羽ばたいた活躍をしようとも、その根幹にこのふるさと鳥取のことが、しっかりと根差しているような教育の在り方、これをすべての施策の基軸として、取組を進めるということで、新たにこの「ふるさとキャリア教育」という欄を設けさせていただきました。
次の6つの目標のところは、現行は5つの目標でございます。新たに加えたのは、3番「多様な教育ニーズに応じた誰一人取り残さない学びの創造」この項目を新たに追記いたしました。これはもうご承知のとおり、SDGsでありますとか、あるいはSOCIETY5.0、様々な社会の変革、あるいは方向性が変わってくる中、子どもたちも様々な教育ニーズが多様化してきているのが現状でございます。そんな中で、これまでも取組を進めてきた10番の下ですね、特別支援教育であったり、あるいはいじめ・不登校の課題に対する対応だったり、それから多様なニーズに応える学びのセーフティーネット、この辺りもこれまでの計画の中では策定しておりましたが、ここの項目に一本化することで、その一人一人の子どもたちの状況に応じた学びのニーズに応えていけるような施策を展開しようということで、方向性を明確にしたところでございます。
そこに新たに加えたのが一番下13番、いよいよ4月に開校を迎えます県立夜間中学「県立まなびの森学園」のこともここに触れました。先日知事会見でもございましたが、今10名弱の入学希望者というか、決定者が出ているところであり、鳥取県内でそうした何らかの事情で十分に学びが行き届かなかった人、あるいは更に学び直しを進めたいというような方々に対して、山陰初の県立中学校として、この夜間中学をしっかりと推進を図って参りたいと思っております。全国にも増えてきつつありますが、全国にはない学校コンセプトを明確にして、いろとりどりに自分らしく学ぶ、ここが大きなポイントで、この辺りに温かさを感じて、ぜひとも学びたいというような方が入学を希望されていらっしゃるという現状でございます。
さらに新たに加えましたのは、その隣2番、主体的に学ぶ力を育む学校教育の推進の8番目、「教育DXの推進」でございます。これもコロナ禍の中でGIGAスクール構想がスタートを切り、ICT教育と名を変え、さらには、より広がりを持つ教育DXが推進をされていきます。様々なそうしたデータをうまく活用しながら、教育の施策推進を図るという意味で、この項目を加えたところでございます。
そして、もう一点は5番、生涯にわたる健やかな体づくり運動の項目の21番、一番下でございます。子どもたちのスポーツ・文化活動の機会確保に努める環境の整備。これはご存じのとおり、中学校での部活動の地域移行が全国で進められている。その視点を含めて、子どもたちの活動機会に向けて鳥取の中で、どんな環境整備ができるのか、この辺りを市町村教育委員会とともに、取組を進めて参りたいということで新たに項として追加したところでございます。
そのほかは、小さな文言修正は今の状況に合わせて変えておりますが、大きな視点は変えておりませんので、その旨でご承知いただきたいというふうに思います。
もう1枚付けております資料は、縦版ですね、ちょっと字が小さくて申しわけないんですが、冒頭申しましたこの基軸となる「ふるさとキャリア教育」を、このふるさと教育の視点と、右側に自分のキャリア形成を図っていく、そういうふうな視点で、構造的に並べたものでございますので、また参考までに見ていただければというふうに思います。
それではお手元の配布資料の「主要予算事業」と、大きな柱は組織改正と2点でございます。
まずは、主要当初予算の事業について説明を申し上げたいと思います。
資料に沿って進めて参りたいと思いますが、まず1頁目は、博物館の毎年、年4回開催しております企画展の案内でございます。今年も春・夏・秋・冬、季節ごとにそれぞれの企画展を予定をしているところでございます。また、記者クラブのほうにもその都度ご案内を申しあげたいというふうに思っておりますので、ぜひ美術館の完成と同時に、この博物館における企画展のほうにも足を運んでいただければというふうに思います。
博物館関係で大きなものは、続く2頁をご覧ください。3番のところに、取組状況等を簡単に載せておりますが、博物館も築50年を迎えました。開館50年ですね。去年アインシュタイン展(企画展)も催したところですが、50年が経過して老朽化あるいは耐震力の不足がずっと指摘をされてきたところでありますが、そこに書いておりますような経緯で美術館をまず優先しながらということで、暫く据え置きをして参りましたが、いよいよ来年度春、美術館の竣工に至ります。それに併せて博物館の改修にもキックオフをしていこうというその基本設計の事業として、1千万円を計上させていただいているところでございます。これは、来館者の安全ということには欠かせないわけですが、折しも先程申した能登半島地震も起こりました。県内の公的な施設で唯一耐震化がまだ十分ではないこの博物館の改修に直営方式で着手しようということが、1月31日にありました県の資産有効活用会議でも決まったところでございます。この平成26年の調査を元にしながら、今後この鳥取市とも連携をしながら、この博物館のまずは耐震をきちんと整備をし、今後内装等にも着手していけたらというふうにも思っているところでございます。すぐにこれは着手するわけではございませんので、先程1頁で申した企画展は4回、平常どおりに開催をする予定にしており、この計画の元、また文化庁関係者との協議等も経ながら、具体的な改修等が決まりましたら、またご報告を申し上げたいというふうに思っております。
続く3頁をご覧ください。3頁は「小中学生の地元定着促進事業」という事業でございます。これは別にもう1枚、知事会見資料で知事がお使いになった資料、この若者提言による政策の再構成という資料を、このカラー刷りのものを1枚付けておりますが、先日、2050年の人口推計、生産労働人口がもう、全市町村とも急減するというふうなニュースも再度流れたところでございます。若者がどんどんと減っていく。そしてさらに減る中で、都会に出て帰ってこないという、これは今に始まった課題ではございませんが、大きな課題となっておりました。この辺りを、これは知事部局のほうの組織になりますが、「鳥取若者Uターン定住戦略本部」というものを立ち上げる中で、産官学が連携しながら、ここに教育委員会等も関係しながら取組を進めていこうとするものであり、その教育委員会の所管部分がこの3頁の「小・中・高生への地元定着事業」これがまさしく先程説明させていただいた「ふるさとキャリア教育」の推進の事業でございます。
具体的な事業を五つ挙げておりますが、ポイントだけ申しあげます。ポイントはまず1項目めにある「とりふるで繋ぐ鳥取との絆事業」でございますが、「とりふる」という鳥取の企業や就職情報を満載したこのアプリを高校卒業時に、高校生にアプリをダウンロードして将来活用していただくという形で情報発信をしておりましたが、これを保護者にも登録を促進していくという、1つポイントは、保護者をターゲットにした保護者の意識啓発を図るという取組を進めて参りたいと思っております。併せて2つめのポチに挙げておりますが、生涯賃金など鳥取暮らしのメリット、これをファイナンシャルプランナーを学校に派遣をして、保護者会などの席で「生涯鳥取で暮らしても獲得賃金は違うけれど、生涯の貯蓄だったり、生活費、これは変わりはないこと、また鳥取暮らしのメリットを出前講座として、保護者のほうにも案内していく。これは保護者の方もよく言われる「鳥取には働く場がないから、とりあえず都会に出てこい」というようなそうしたお考えを、ぜひ鳥取にもそうした活躍の場所があることを保護者の方にもPRしていきたいというのが1点。そして2点目は3つ目の「高校生インターンシップ事業」でございます。専門高校は、すべての学校がインターンシップを実施しておりますが、普通科の高校、これも県内企業等を結びつける取組をより進めて参りたいと思っております。現在も普通科高校の「ふるさと学びプロジェクト」という事業で実施をしておりますが、地元企業の理解促進を図る、また職業意識を育てるというそこに企業との若手職員との対談の場を設定をして、その実際に働いている若手職員から、こうした鳥取で住み、鳥取で生きる、働くことの意義を高校生たちに直接訴えかけ伝えていきたいというような企業の若手職員との交流会、これを設定をしていきたいというふうに思っております。保護者への意識啓発、専門高校によるインターンシップの充実、そして3つ目が普通科高校における若手職員との交流会、こういう仕掛けで鳥取での働き方・生き方というものを発信をしていきたいという、そういう取組をこのふるさと戦略として進めて参りたいというふうに思います。
続きまして4頁をお願いします。「学びの改革総合プロジェクト」でございますが、これは主に小中学校を対象としたものでございます。これまでも全国学力学習状況調査に加えて、2番目の項目に挙げておりますが、県独自の鳥取学力学習状況調査、これを2本柱として、子どもたちの学力向上に取組んできたところでございます。全国平均とすれば、なかなか今追いついていないのが現状ではございますが、公表させていただいたとおり、鳥取学力学習状況調査は、昨年度と比べて今年度、どのように一人一人の生徒が伸びたかを計る、そういうことが調査できるものでございます。そこでは確実に多くの子どもたちの学力の伸長が見られたこと、そういった辺りをデータをより詳細に分析する取組を今回スタートさせたいと思っております。兵庫教育大学や慶応大の研究機関と連携をしながら、これまで先生方の経験や勘に基づいて行ってきたその指導をデータのより精値な分析による指導としていくための調査研究を進めるものでございます。
そして、もう1つは教育データ活用事業の下から2つ目のポチに挙げておりますが、これは英語の4技能の育成を図るものでございます。これは既にスタートしておりますが、英検IBAという調査を6年生からスタートすることで、英語の本当に持っている力を確かに確実な数値として計りながら、英語力の向上に繋げていこうとするものでございます。その辺りを核とするのが、一番上の学力向上検討会議ですが、兵庫教育大の教授であったり、文科省からの企画官、こういったメンバーに入っていただきながら、本県の学力向上施策のいわば核となる検討会を今もしておりますが、ここを基軸として、これまでの施策の検証であったり、また新たな手立て、この辺りをより充実させることで、子どもたちに必要となる資質・能力、考える力、判断する力、表現力、こういった今求められる力のより育成に繋げて参りたい。この辺りをより高度に進めて参りたいと思っております。
5頁をお願いいたします。特別支援教育におけるICT活用教育充実事業でございます。お手元にカラー刷りのもの、これも加えておりますが、鳥取県特別支援教育推進計画を昨年度末に、令和5年から9年までの計画として策定をしたところでございます。これまでの取組をより精値なものとするために、切れ目のない支援体制でありますとか、あるいは共生社会の実現を目指した特別支援教育の在り方、こんな4つの柱を元にしながら、取組を今進めているところでございますが、さらに国のほうで今話題となっているインクルーシブ教育、障がいのある子も無い子も同じ場で同じ学びをということが今推進されつつあるところでございますが、これは一足飛びに本県でもそれを進めるというのが、現状としては非常に難しい部分もあり、また本当にそういう学び方がいいのかという課題意識を持っております。今後、国のそうしたモデル事業・検証事業も明らかにしながらではございますが、視点としてのインクルーシブ教育は重要である。これの認識は間違いございませんが、それに向けた個々一人一人の学びを支援していく取組を進めたいと思っております。
主な事業のところにありますが、現在でもICTを使いながら、例えば音声言語でありますとか、視覚的な画面で子どもたちの動きをつくっていく・表現していく、そういうふうなICTは今も使っております。それらを支援する支援員の派遣事業を継続したり、新たな取組は3つ目でございますが、より一人一人の子どもさんの障がいに応じた取組を進める、そんな中で今現在右肩上がりで増えてきていますのが、実は発達障がいの子どもさん方です。ある一定学力も、あるいは判断力もあって、通常の中学校だったり高等学校にも進学されるケースが増えておりますが、ただどこかで躓きが出たりする。そういう発達障がいの子どもさん向けの、より個別支援ができるようなアプリを新たに導入を検討・研究をして参る取組を進めたいというふうに思っております。重複障がいの子どもさんへの対応とか、本当に一人一人に様々な教育の姿をつくっていくことが必要なんですが、そういう意味では上から4つ目のICT学習・Eラーニングを活用した授業これなんかはスララというそれぞれの学習能力・状況に応じた教材を使う。これも現在もやっていますが、これもそういうことに加えて、増加傾向にある発達障がいの子どもさん方への個別支援の充実を図るための研究を、より進めてみたいというのがこの取組でございます。
急ぎますが次の6頁をお願いします。不登校児童生徒への取組でございます。これも継続的な課題となっておりますので、そこに挙げておりますようなものは、ほぼ拡充ということで事業を取り組んでいるところでございますが、スクールカウンセラーの配置あるいは学校における4番ですね、諸課題改善プロジェクトといった辺りが、一つ核となって参ります。特に新年度以降、より充点的に取り組みたいと思っていますのは、この4番の拡充のところに含まれますが、今の30日以上を経過して不登校カウントとなっていくわけですが、いきなり30日になるのではなく、徐々に何らかの要因があって、子どもさんが学校に不登校な状態になっていく。その未然に防止するために、学校の課題はどうやったら解消していけるのか。要因は3つ。学校課題、家庭課題、本人の特性によるもの、こうした3つの大きく要因があるわけですが、その中で個々の状況に応じた支援策の一端として、学校課題の解決に向けた学校で不登校を生み出さないためのわかる授業ですとか、人間関係づくりだとか、学級づくりだとか、その辺りを専門家の方を指導助言をいただきながら、取組を進めることで、一人でもそうした学校から離れていく、こういう子どもさんをつくらない、生み出さないそんな取組をぜひとも進めたいと思っております。残念ながらそうした不登校という状況になられた子どもさんには、そこに挙げておりますような適応支援員、あるいはスクールカウンセラー、また5番に挙げています校内サポート教室、これは学校までは行けるが教室に入れない子どもさんが、その学校の中に別室を設けて自分のペースで、先程あったようなEラーニング教材や課題プリント、あるいは教科書、あるいは授業をオンラインでそこで見たり、そういうことで学校から教室復帰が果たせるようになった子どもさん、改善が県内でもう既に多々見られております。この辺りを市町村教育委員会と連携しながら拡充を図ることで、子どもたちのどこかに居場所がある、どこかに学ぶ機会がある、そういった辺りをしっかりとつくっていきたいというふうに思って、ここにも新年度は特に力を入れて参りたいというふうに思っているところでございます。
7頁をお願いいたします。先程冒頭触れました、県立まなびの森学園、夜間中学についてでございますが、いよいよ4月に開校いたしますが、先程申した「いろとりどりに、ともに自分らしく学ぶ」というコンセプトの下、人々とのつながり、学びとのつながり、社会とのつながり、そういう3つの喜びをコンセプトにしながら準備を進めておりますので、そうした開校に向けた運営費なり、また、学び・教材費・指導充実費等、計上させていただいたところでございます。施設のほうは皆さん、もうご覧になりましたでしょうか。教育センターの一角に既にきれいに整備をして教室も完成をしております。まだの方がいらっしゃいましたら、ぜひ、もう学校を設置しておりますので、いつでも参観に行っていただいて、この中で新たな学びがスタートするんだということで、また情報発信をしていただければいいかなというふうに思っているところでございます。
開校式は4月の中旬を予定しております。今知事部局のほうともちょっと調整中ですので、また日にちが明確に決まりましたらご案内を差し上げたいというふうに思っております。4月の10日過ぎの予定でございます。
8頁をお願いいたします。8頁と9頁、これがよく似たような事業で、高校の魅力化についての事業でございます。2つ挙げておりますのは、8頁の「つながる ひろがる 高校魅力充実事業」というのが、県のほうが今回、戦略事業として頭出しをしたものであって、9頁の「地域に根指した魅力ある学校づくり推進事業」これが一般事業として、これまでも取り組んできたものを拡充したりしたようなものでございますので、この8頁・9頁はいわば1つのセットとしてご覧いただければいいかなあというふうに思っております。
令和8年以降の、今高校の在り方検討を進めているところでございますが、パブリックコメントを取った以降、様々なところから多くの反応がございました。わずか24校しかない県立学校を今後どうしていくのかという県民の皆様方の関心の高さの現れかなと思っております。
先に9頁のほうを簡単に説明させていただきます。いわばベースになるほうですね。その高校の在り方の柱の1つ、県外生徒募集をこれまでもして参りました。これは財団法人の地域教育魅力化プラットフォーム、島根県の隠岐島前をリニューアルさせた岩本裕さん主催のこの全国の取組に本県も参加させていただいておりますが、ここに出たところでないと、生徒が集まってこないという全国の状況がございますので、そこに岩美・境・境総合も新年度は新たに参加をして、県外募集の取組を進めたいと思っております。
更には、そうしてきてくれた県外生徒、今回特色入試が先週ありました。昨年度は20人の県外生でしたが、今回40人の県外生がこの特色入試でエントリーをしてくれて入学を決めたところでございます。ただ、全国的に子どもの数が減る中で、もう右肩上がりで県外生が増えるというのはなかなか難しい部分はございます。ただそうは言っても、そうやって思いをもって志を持ってきてくれる子どもたちを迎え得る住環境整備というのは必要でございます。その辺りをこれまでやってきた取組と同時に、新たな学生寮の検討も含めて、今後も空き屋物件の開拓、設備の改修等も含めて、より取組を進めて参りたいと思っております。
その下の魅力ある高校づくりは、これまでも「スマート農業」とか、青谷高校の青谷上寺地を生かした考古学とか、それぞれの学校の特徴に応じて進めて磨き上げをして参りましたところに、鳥取中央育英を加えました。鳥取中央育英ならではのスポーツをベースとした競技力の技術指導だったり、地域イベント参加あるいは救急救命の仕組、そんな辺りを地域にPRをしていく取組を進めることで、中央育英も磨き上げをより進めて参りたいと思っているところでございます。
それらをベースに左側の8頁をご覧いただければ、県外生徒募集や、あるいは高校の魅力化といったようなことを、これまで磨き上げをしてきた9頁の学校に加えて、専門高校の「物づくり人材」鳥取工業・米子南高校・境港総合技術高校辺りも、このそれぞれの分野の人材育成を図ることで、高校生の姿や取組をより合同発表会あるいは説明体験会といったような形で、生徒の声や姿を県民の方にPRすることで、中学生の募集に繋げて参りたいと思っております。
この辺りが私学と大きく違うところでございます。私立学校は一部の学科を除けば、ほとんどすべて普通科でございます。こうした地元企業を支える、あるいは基幹産業を支える人材育成は、公教育のなせる大きな使命でございます。そんな辺りをより生徒が減る中ではございますが、そうした発信をすることで、地域を支える人材育成に繋げて参りたいというふうに思います。
続く10頁をご覧ください。若鳥丸の代船建造でございますが、若鳥丸も平成15年の竣工から20年以上が経過して経年劣化が迫ってきておりますので、いよいよ6年からの基本設計に向けた予算措置をお願いするものでございます。3番のトン数のところ等にありますが現在の516トンから若干トン数は減らしますし、また今シドニー等に行っておりました国際航海船から国内航海船へと切り替えをしますが、(2)番にありますような内航船の海技士資格の取得であったり、そういう人材育成だったり、地元の漁業を担う人材育成といった観点は、これは変えることなく取組を進めて参りますし、新たなものは3つ目の調査研究でございます。既にスタートしております鳥取環境大学等との連携をした、この海洋における調査研究、この辺りも一つ最新設備を導入しながら、あるいは水中ドローン等も活用しながら、新たな視点として、この海洋船若鳥丸の活用方法を探って参りたいというふうに思って、設計費としての必要な部分を今回計上させていただきました。一応継続費として上げております、22億という高額ですが、これは一応議会のほうに認めていただいているところでありますので、いよいよ具体的な基本設計から着手をして、建設、8年の稼働を目指して取組を進めて参りたいと思っております。
11頁をご覧ください。これも昨年度大きく話題に取り上げていただきましたが、部活動の地域移行に関する取組でございます。国の方針を受けて、昨年8月に県の推進計画を策定をして、市町村に通知したところであり、市町村のほうで今それぞれ協議会やコーディネーターを設置しながら、計画を策定しておられるところでございます。なかなか受け入れ団体がないこと、指導者がいないこと、これはすべての市町村が共通した課題でございます。もうすぐに国が言うほど簡単に地域移行が果たせるものとは思っておりませんが、部活動の継続的な形も取りながら、今後も市町村と伴走的に新たに生まれ出た課題、例えば経済的な課題、指導者の謝金の課題、あるいは活動場所、用具の課題、様々な課題がございますので、国のほうが全く予算を付けてくれませんので、県のほうでこの推進体制整備だとか、活動支援、これは新たに立ち上げをするところを対象にではございますが、市町村を支援をしていく意味も込めて、こうした国に無い予算を挙げさせていただいております。唯一国の予算があるのは、3つ目の部活動指導員、国3分の1、県3分の1、市町3分の1この事業だけでございまして、これもより拡充をして参りたいと思っております。
最後になります。美術館の20万人達成プロジェクト事業でございます。このことは次の組織のところにも繋がりますが、先日知事会見でも明らかにされました、美術館は新年度からは知事部局のほうに移管ということになりました。観光戦略・文化戦略等も含めた総合的施策の一環としての判断であろうというふうに思っておりますが、教育と縁が当然切れるわけでもございませんし、これまで積み上げてきた博物館との連携であったり、アートラーニングラボという他の美術館にはない目玉を、これまでの取組を進めてきたところでございます。いよいよ5月の上棟記念イベントがあり、11月に500日前イベントがございました。いよいよ4月上旬にこれも竣工式を迎えることとなります。そして1年の枯らし期間をおいて、令和7年3月30日がグランドオープンとなりますので、残り1年にかけてのカウントダウン事業を、これまで同様に好評だった親子の体験型イベントを随所に盛り込んだ県民イベントや、メディアと連携した開館記念イベント、これはNHKがEテレで美術関連の事業をしておられますので、こことリンクをさせていただきながら、美術館の楽しみ方紹介をPRしたりとか、そういうふうなイベントを随時取組を発信をして参りたいと思っております。また、初年度は、5回の企画展を予定しておりますので、その準備、また岡山や瀬戸内海の国際芸術祭等との連携をしたというのを3つに挙げておりますが、岡山県中心にある森の芸術祭、また国際瀬戸内国際芸術祭と連携をしながら開館に向けたPR特別連携企画等も実施をして参りたいというふうに思っているところでございます。
予算関係は以上となります。
●足羽教育長
次に組織につきましては、お手元の資料の中に、教育委員会関係では、来年度に向けては大きなものは先程申しました美術館の業務移管、これが大きな変更点となります。それ以外は多少内部組織の新設だったり等がございますけれども、微々たる調整的なことでございますので大きく変わりませんし、1頁のほうの小中学校課にございました県立夜間中学設置準備室は、もう既に10月に県立まなびの森学園が設置されましたので、ここは廃止となっているところでございます。そういったところが主なものでございますが、冒頭申した「若者ふるさと定住」については、教育総務課の中の若者定住担当という形で総務担当のところと並んで担当というレベルで、ここが主管しながら、先程のふるさと定住に向けた取組を進めて参ることとしているところでございます。そういう意味では知事部局の「輝く鳥取創造本部」と連携をしながら、この若者Uターン定住に向けた取組を進めて参りたいと思っております。
いろいろ説明して参りましたが、私からの説明は以上としたいと思います。よろしくお願いします。
・県立博物館の耐震改修について
〇記者
博物館について3つお尋ねをします。1番目に、耐震改修のことですが、耐震危険度数値から見て、入館者の安全は守れるのか。2番目に、公の施設のうちで博物館の改修が一番最後になった理由はなんでしょうか。3番目に、博物館の耐震改修が完了するのはいつごろでしょうか。
●足羽教育長
博物館改修についてお尋ねいただきましたが、まず1点目、0.66を下回る、平成26年に調査をして、こういう数値が出ました。旧耐震であれば大丈夫だったのが、新耐震の基準でいくと構造的には危険性があるという診断がなされたところでございますが、この言葉の捉え方、危険性があって、ちょっとした地震ですぐにという、そうした危険性ではないというふうに伺っております。一方で、じゃあ安全かというと基準値は満たしていないので、やはり基準値を上回るような耐震化を計っていく必要があるということですので、いまいま危険性が高くてということではございません。
2つ目にも絡みますが、これが一番最後になった理由は、ちょうど美術館の建設と並行した形になっておりますので、とくに美術館は中部でということでスタートしていきました。さらに博物館は国立公園の中にあるということが1つポイントでございまして、鳥取西高を改修する時も、随分「出ていくんだ、いかないんだ」という改修に議論がございました。文化庁さんとのやっぱりやり取りが十分必要になること、それと同時に鳥取市との連携、この辺りも必要になるということ、この両面から当面美術館を優先していこうということで、博物館改修は少しおいておこうという戦略的な形で、これまで進めてきたところでございます。ただいよいよ美術館竣工も見えてきましたので、この博物館も急ぎ入っていくということで、いつまでにという具体はこれから文化庁とのやり取りも含め、基本設計を経た上で具体を決めていきますが、1年や2年ではなかなか難しい、3年から5年ぐらいのスパンが必要かなあと思っておりますので、これは基本設計をきちんとしていただいて、どんな形でどんなところに手を入れるのか、これによってまた文化庁との協議も変わってきますので、その辺りまでが見えてきたら今お尋ねいただいたような具体のスケジュール感も見えてくるのかなあというふうに思っているところでございます。以上です。
・部活動の地域移行について
○記者
部活動の地域移行についてですが、部活動指導員が何人必要で、何人不足しているんでしょうか。
●足羽教育長
資料に中学校の部活指導員配置事業というのがありますが、今年度は155名、これは市町のほうに希望を取りまして、人材が必要であって、確保できる人数を上げてきていただいて配置をしておりますので、この数だったものが来年度は194名というふうに伺っています。これが1つの目安になろうかなというふうに思います。
○記者
194名で100パーセントになるんでしょうか。これで何割カバーできるんでしょうか。
●足羽教育長
これでどのぐらいカバー率かということですね。人材バンクとも、いまスポーツ協会さんと運動部のほうは作るような方向で進めているんですが、これをやれる人はほとんど194名に入って、各地区の中学校に入っています。岡山県さんが平成29年に、県全体でそういう人材バンクをスポーツ振興の視点でつくられたんですが20名だそうです。岡山県でそこにエントリーしておる方が、あとの方は皆同じように地域の中学校に入っておられて、県の全体の枠にエントリーされる方は岡山県全体でも20名です。「声がかからんなあ。やったるぞ」と言われる方はそれぐらいの数です。
○記者
それでは子どもたちが困るわけじゃないですか。先生方の負担は相変わらずじゃないですか。
●足羽教育長
当面はやはり部活動という形で、金曜までは部活動は継続ですので、土曜・日曜をするかしないかは、これは先生方の負担軽減というところでの判断にはなろうかと思います。
・小中高校生への地元定着促進事業について
○記者
3頁のとりふるの保護者向け登録啓発ですが、目標値とかを定めて、こういう事業をされていると思いますが、登録者数の目安があって、それに向けて事業を進めていくのと、あとインターンシップ交流会も500万円程度入っていますけれど、これもある程度目標値があって設定されていると思うんですけど、何回ぐらいにしていきたいとお考えでしょうか。
●足羽教育長
まず1つ目のとりふる登録についての具体的な目標というのは、希望でいえば100パーセント、できれば入学時に入学説明会がございますので、入学した時点で保護者の方に、一番情報提供すると、鳥取にどんな企業だったり、どんな鳥取が取組をしているかということの情報提供に、使われなければ全然問題はないんですが、いつでも使える状態を保っていくということで言うと、ぜひ入学時点で保護者への登録をお願いしたいと思っております。そういう意味では100になるべくしたいと思っております。そしてインターンシップは、これまでも専門高校がすべてやってきたというふうに申しておりますので、継続費的な部分もございますので、専門高校プラス、いま普通科の学校で今年度は6校が、先程言いましたプロジェクト事業を実施しておりますので、少なくともまずこの6校は若手とのセッティングができるんじゃないかなと、これはちょっと企業さんのほうに働き掛けですが、やってみたいなと思っています。