金色に光る稲穂の中で、農作業されている方がいます。その頭の上でトンボがのんびりと飛んでいます。素敵な風景だなぁ、と思いました。
さて、今回は秋を感じるお花、マツムシソウを紹介します!
マツムシソウは、北海道から九州の山地草原に生息しているキク科の植物。花期は8月~10月。美しい淡青紫色の花が、涼しげな印象を与えます。
マツムシソウは、山地草原の利用放棄による環境変化で個体数が減少してきています。確かに、山で牛や馬が放牧されている風景って、あまり見なくなりましたよね。
「時代が求めていないのなら、もう草原はいらない。そのまま森に戻してしまえばいいじゃないか?」という声が聞こえてきそうです。
生き物は環境によって、生きれたり生きれなかったりします。もし、地球に森しかなかったら、砂漠の生き物は生きていくことができませんし、生き物の種類は限られたものになるでしょう。
いろんな環境があって、いろんな生き物が生息できること…。それが生物多様性に繋がっていきます。
だから、人にとっては不必要になったものでも、それを保護していく必要があるのです。
大山隠岐国立公園内にある鏡ヶ成では、湿原と草原が保護されています。草原は毎年草刈が行われています。
人は自然と直結している…。なかなか普段の生活で感じることはできないかもしれませんが、一度マツムシソウを見ながら考えてもらえたら、うれしいです。
マツムシソウとヒメアカタテハ。大山隠岐国立公園内の鏡ヶ成で、今見ごろを
迎えています。
マツムシソウは、鳥取県では準絶滅危惧。国立・国定公園内で採取を行うと罰
則がある植物に指定されています。
「採っていいのは写真だけ…。残していいのは思い出だけ…。」の精神で愛でてくださいね。
日野振興センター 2012/09/05