高知市の高地県立美術館で9月12日(木)に開催された第54回近畿・中国・四国地区治山林道研究発表会において、森林管理研究室の矢部 浩主任研究員が優秀賞を受賞しました。この研究発表会は、治山林道事業に関して調査・研究した成果を発表し、相互の情報交換や技術の研鑽を図ることを目的として開催されるものです。治山部門9課題、林道部門6課題の発表があり、各部門から2課題が選ばれ優秀賞が授与されました。これを励みに、現場に役立つ成果のさらなる創出へ向けて頑張って参りたいと思います。
【発表課題】災害に強い道づくりのために ―林業専用道の損壊事例とその特徴―
【概要】木材生産の基盤となる森林内の路網整備が急増しています。特に、鳥取県内で幹線となる林業専用道が年間25km前後のハイペースで開設されています。一方で、近年は雨の強度が増しており、路網の災害発生増加が危惧されます。そこで、今後の路網整備に役立てるために森林路網の損壊状況を地形・地質などと関連付けて原因を分析しました。その結果、損壊は、0次谷、遷急線、地すべり地形、断層地形といった山地災害の危険地形で発生していることが分かりました。このような損壊を未然に防ぐためには、事前に危険な地形を把握しルート選定時に可能な限り避けて通ることが重要ですが、地形判読の専門家でなければ危険地形を事前に把握することが困難です。そこで、前述した0次谷、遷急線、地すべり地形などの危険地形をデジタル地形解析技術によって表示させた図面を、鳥取県森林GIS※を使って森林路網関係者が自由に閲覧できるようにしました。
※森林GISとは、樹種、樹齢、地質などの様々な森林情報と位置情報を連動させてデータ管理し、必要な情報を検索すると検索条件に合致した箇所のみを図上で着色表示することができるシステムのことです。
木材搬出の幹線となる林業専用道 森林GISで表示した地すべり地形
賞状を手に受賞を喜ぶ矢部主任研究員