これまでCLT部材が建築中途に雨に濡れることで、施工後の居住性に悪影響を及ぼすことがないか懸念されてきました。この懸念を払拭し対策するため、当場の佐々木研究員が、実際の施工にあたって建築部材であるCLTが降雨などで濡れた際、どこまでどのように水がしみこむのかを、膨大な数のモデルを使って実験してきました。その結果、CLTの接着層や、板のつなぎ目、節等の有無や、木口面・板目面など部材の方向によって、水の浸潤経路が異なり、場合によっては深部まで水が染みこむことなどを明らかにしました。
この結果は、原著論文「雨掛かりを想定した浸透試験によるスギCLTの浸透特性」として木材工業に関して最も権威あるジャーナルである日本木材加工技術協会発行の学術誌「木材工業」の査読(学術誌等に投稿された論文を、あらかじめその分野を専門とする研究者が読み、内容の妥当性などをチェックし、掲載するか否かの判断材料にする評価や検証のこと)を経て同誌第77巻第8号に載録されることが決定しました。
林業試験場ではこの研究成果を活かし、実施工に際してのシート養生や耐水塗装等の水濡れ対策の重要性をわかりやすく解説したリーフレットを発行していますので、是非ご利用ください。
リーフレットは下記のリンク先からPDFファイルをダウンロードできます。
「濡れてどうなるCLT」リーフレットを作成しました。
「木材工業」2022年8月号(第77巻第8号 通巻905号)
https://www.jwta.or.jp/publication/journal.html?y=2022&m=8