特集<手話の聖地、10年>

手話の聖地、10年

  鳥取県は、ろう者とろう者以外の人とが互いを理解し共生できる社会を築くことを理念に掲げ、全国に先駆けて平成25年に「手話言語条例」を制定しました。翌年、第1回全国高校生手話パフォーマンス甲子園を開催し、今年第10回の節目を迎えます。出場した高校生をはじめ多くの人が“手話の聖地”鳥取県に集い、絆を深めてきました。

共に生きる社会目指し広がる輪

  障がいのあるかたが暮らしやすい社会を、一人一人の理解とちょっとした気配りで目指していく「あいサポート運動」発祥の地、鳥取県。共生社会の一層の推進を図るため「手話言語条例」を定めて10年が経ち、条例制定翌年から毎年開催してきた全国高校生手話パフォーマンス甲子園も10回を数えます。今大会をもってすべての都道府県からの参加があり、本年過去最多の69チームがエントリーするなど着実に共感の輪が広がっています。
  手話パフォーマンス甲子園では、全国の高校生が歌やダンス、演劇、コントなど手話言語を使ったさまざまなパフォーマンスを繰り広げます。互いに切磋琢磨する高校生たちのパフォーマンスを通じて、手話言語が魅力ある優れたコミュケーションの手段であることを発信してきました。


生徒の自主性尊重し、世界広げる

  「ここ、顔は上げる?下げる?」「前向いてた方がいいよね」「うん、じゃあみんな前で統一しよう」。真剣な表情で意見を交わすのは、県立米子東高校ダンス部の1年生。同部では、例年1年生が手話パフォーマンス甲子園にエントリーしており、選曲から振り付けまで、手話通訳者の指導を仰ぎながら生徒自身が手掛けています。昨年の大会に出場した2年の金本恋さんは、「入学したばかりでお互いのことをまだよく知らない中で、意見をぶつけ合い、尊重し合える関係を築けたことが財産。それに、ほかの学校の演技を見るのもすごく勉強になりました。こんなにいろんな方法で気持ちを伝える表現ができるんだ、と感動したことをよく憶えています」と振り返ります。
  「医療、福祉系の進路を志す生徒も多いので、手話を学び、ろう者のかたと交流することの意義は大きい。普段接することの少ない世界に触れることで、視野を広げてほしいと考えています」と話す、顧問の廣江淳一教諭。手話パフォーマンスを通じて毎年一回り大きく成長する1年生の姿を見て、目を細めます。


第10回全国高校生手話パフォーマンス甲子園予選参加 県立米子東高等学校 ダンス部
県立米子東高等学校 県立米子東高等学校 県立米子東高等学校 県立米子東高等学校

国境を越えて通じ合う

  一方、第1回大会からすべて参加している鳥取城北高校ボランティア部では、毎年テーマを定めて特色あるパフォーマンスを作り上げてきました。昨年は、アーティストとしても活躍する石畑晴一朗さん(当時3年)のイラストと絵本を題材とし、当時1年の石坂心さんと2人だけで演技に臨む大胆な構成で挑戦しました。
  そして今年のテーマは「世界の手話」。英国、インドネシア、中国と国際色豊かなルーツを持つメンバーの強みを生かし、各国での手話表現の違いや共通点に着目して演技を構成しています。生徒たちは、より伝わるようにと表現や演出を工夫しながらパフォーマンスに臨みました。2回目の参加となる石坂さんは、「母がインドネシア人で、国での手話表現を調べてもらい一緒に練習するうちに、インドネシア語にも興味を持つようになりました。ほかの国の手話を学べるのも楽しいし、人前で演じることで自分に自信が持てるようになった」と言葉を弾ませます。
  顧問の安藤章夫教諭は、「部では元々ろう者のかたとの交流があり、指導にも協力していただいている。手話パフォーマンス甲子園はその集大成としてしっかり成果を見ていただけるよう心を込めて取り組んでいます」と感謝を口にし、今後の更なる進化を誓います。


第10回大会予選参加校 鳥取城北高校
鳥取城北高校 鳥取城北高校 鳥取城北高校

The voice of participants
参加者に聞きました

米子東高等学校 ダンス部 1年
山本(やまもと) 凜歌(りんか) さん
山本凜歌さん

  ダンスはずっとやってきたけれど、手話は初めて。ちょっとした動きの違いで意味が変わってしまうこともあり、ダンスの中で正しく表現するのが難しかったです。みんなで相談しながら、手話もダンスも楽しんで取り組みました!
米子東高校ダンス部1年生
1年生リーダーとして皆をまとめる(中央)

鳥取城北高等学校 ボランティア部 3年
竹内(たけうち) 逢妃(あき) さん
竹内逢妃さん

  将来は教員を目指していて、障がいのある子どもにも対応できるようにとまずは手話を勉強しています。第8回大会にも出場し、たくさんの人と交流して多くの刺激やアイデアをもらうことができ、とても良い経験になりました。
鳥取城北高校ボランティア部
出場経験も生かし部員を引っ張る存在に(左端)

次の世代へ

  手話パフォーマンス甲子園では、ゲストとして鳥取市立宮ノ下小学校と県立鳥取聾学校小学部の児童が「手話チャレキッズパフォーマンス」を披露。両校は、手話言語を通じて交流を進めており、大きな舞台で日頃の成果を発表します。幼いうちから手話に親しみ、きこえの違いを越えてコミュニケーションを深める経験を得ることで、共生社会の礎となる相互理解を推し進めようという取り組みです。
  10年前の鳥取県手話言語条例制定をきっかけに、全国で同様の条例が作られる動きが広がっています。制定した自治体は、都道府県では実に8割近くにのぼり、多くの人が待ち望んでいたものであることを物語っています。
  鳥取県は、トップランナーとして名実ともに「手話の聖地」であり続けられるよう、誰もが暮らしやすい社会をこれからも目指し続けていきます。


披露する手話歌の練習に取り組む宮ノ下小学校と鳥取聾学校の児童。初めは緊張もあったものの、次第に笑顔がこぼれる
手話チャレキッズパフォーマンス練習の様子
手話チャレキッズパフォーマンス練習の様子 手話チャレキッズパフォーマンス練習の様子


T O T T O R I S H U W A F E S

とっとり手話フェス ロゴ
【日時】2023年9月16日(土)から9月24(日)
【会場】とりぎん文化会館

とっとり手話フェス チラシ

  手話言語条例制定10周年を記念し、手話パフォーマンス甲子園と合わせて1週間にわたりLIVEやワークショップ、映画上映など盛りだくさんでお送りする「とっとり手話フェス」。“手話で広がる、エンターテインメント”をテーマに、どなたでも楽しめるメニューばかり! ぜひチェックしてみてくださいね。
とっとり手話フェス公式サイト

手話パフォーマンス甲子園 ロゴ
■日時 9月24日(日) 9時30分から16時10分
■会場 とりぎん文化会館 梨花ホール

手話パフォーマンス甲子園公式サイト

【問い合わせ先】 県庁障がい福祉課
電話 0857‐26‐7682 ファクシミリ 0857‐26‐8136



 

 

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