鳥取県内のスギ人工林は高齢化・大径化が進行し、皆伐再造林の推進とともに、木材の活用が課題となっています。
スギ材は柔らかく温かみのある質感で、建築物の床、壁等の内装材として好適な反面、傷つきやすいという欠点を持ちます。
当試験場の桐林上席研究員は、このスギ材の欠点を克服するための処理方法の研究に取り組んできました。
そして、鳥取県はこの研究成果を含む技術について、令和2年2月に特許出願していましたが、厳しい審査を経て本年2月に特許を取得することが出来ました。
本技術は、無垢のスギの風合いを残しながらスギ板の表層を圧密化し、節のあるスギ板に広葉樹と同等以上に傷つきにくさを付与することが出来る技術です。
また、特殊な機械や資材が不要であり、本技術が実用化されれば、付加価値の高い内装材としてスギ板の利用拡大につながり、節のある大径原木価格の向上と、山林所有者への利益還元が期待されます。
▲圧密加工前の状況 ▲圧密加工の前後(左:加工前、右:加工後)
タオルと水(水蒸気)を用いる 表層部を集中的に圧縮し耐傷性能を付与する
▲加工後の表面性状 ▲圧密加工板による床の例
年輪や節などが浮き出る 適度に堅く、滑りにくい
特許証(圧密化木材の製造方法)➡(pdf:656KB)