1 平常時の対策
(1)目的
福祉型障害児入所施設等(以下、「施設等」という。)は、利用児童等の健康と安全を守るための支援が求められている。
利用児童等の安全管理の観点から、感染対策はきわめて重要であり、利用児童等の生命や
身体の安全確保は施設の責務であることから、感染を未然に防止し、発生した場合感染症が
拡大しないよう可及的速やかに対応する体制を構築することが必要である。
この指針は、感染予防・再発防止対策及び集団感染事例発生時の適切な対応等、施設における感染予防対策体制を確立し、適切かつ安全で、質の高い支援の提供を図ることを目的とする。
(2)体制
ア 委員会の設置・運営
(ア)目的
施設の感染症の発生や感染拡大を防止するため、感染対策委員会を設置する。感染対策委員会は、施設の衛生委員会と一体的に運営する。
(イ)位置づけ
(ウ)活動内容
感染対策委員会の主な活動内容は、以下のとおりとする。
•施設の感染課題を明確にし、施設内の感染対策を計画・立案する。
•感染に関する最新の情報を把握し、指針・マニュアル等の作成及び見直しを行う。
•施設内の感染対策について、職員研修及び訓練(シミュレーション)を企画、実施する。
•新規利用児童等の感染症(麻疹、風疹、水痘、流行性耳下腺炎、結核、B型肝炎等)の既往を利用前に把握する。
•感染予防に関する決定事項や具体的対策を施設全体に周知する。
•施設における感染に関する問題を把握し、問題意識を共有・解決する。
•利用児童等及び職員の健康状態を把握する。
•感染症が発生した場合、適切に対処するとともに、感染対策及び拡大防止の指揮を執る。
•各課、各棟での感染対策実施状況の把握、改善を要する点を検討する。
•その他、感染関連の検討が必要な場合に対処する。
•委員会で検討した内容を、委員会DBを用いて施設内に周知する。
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(エ)委員会構成員
感染対策委員会は、各部署から選出し、構成する。
感染対策委員会の構成員は次のとおりとし、感染対策担当者は保健師及び管理栄養士とする。
・園長
・次長
・保健師
・児童指導員
・各棟保育士
・管理栄養士
・『エール』発達障がい者支援センター職員
・その他、園長が必要と認める者(養護課長、育成課長、保育士長、嘱託医等)
※協議が必要な事項については、保健師が事前に嘱託医へ相談し、嘱託医の助言をもとに施設の対応を検討する。
(オ)運営方法
感染対策委員会は、3か月に1回定期的に開催することとし、4月、7月、10月、1月の第3火曜日に実施予定とする。
会議の詳細(実施時間や内容、検討事項、開催方法等)は、感染対策委員会開催日までに感染対策担当者から各メンバーへ連絡する。
地域で感染症が急激に増加し、施設内での発生が懸念される時、施設内で同時に複数感染症が発生し、集団感染の恐れがある時、重篤な感染症(例:コロナウイルス、ノロウイルス等)が発生した場合は、統括委員会と合同で必要に応じて随時開催する。
イ 役割分担
各担当の役割分担は、以下のとおりとする。
役割 |
担当者 |
施設全体の管理 |
園長 |
関係機関との連携 |
次長、総務課職員 |
感染対策委員会実施のための各所への連絡と調整 |
保健師、管理栄養士 |
医療・治療面の専門的知識の提供 |
保健師(嘱託医の助言)、管理栄養士 |
感染対策担当者
医療の提供と感染対策の立案・指導
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保健師、管理栄養士 |
利用児童等、職員の健康状態の把握 |
各棟保育士、児童指導員、保健師、管理栄養士 |
支援現場における感染対策の実施状況の把握
感染対策方法の現場への周知
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各棟保育士、児童指導員 |
食事の提供状況の把握(検食・検食簿で把握)
食品衛生面の管理(食材の納品書、衛生管理チェックシート、検食・検食簿で確認、給食会議で課題を検討し対策を講じる)
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管理栄養士 |
利用児童等の栄養状態の把握 (栄養ケア・マネジメントで把握) |
管理栄養士、保健師、各棟保育士 |
ウ 指針の整備
感染対策委員会は、感染に関する最新の情報を把握し、研修や訓練を通して課題を見つけ、定期的に指針を見直し、更新する。
エ 研修
感染対策の基本的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、本指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的な支援の励行を行うものとする。
指針に基づいた研修プログラムを作成し、全職員を対象に定期的に年2回以上、かつ、新規採用時に感染対策研修を実施する。研修の企画、運営、実施記録の作成は、感染対策委員会が実施する。
対象
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全職員 |
新規着任者(異動職員、新規採用職員) |
開催時期 |
5月、12月 |
着任時 |
目的 |
感染予防対策と感染症発生時の対応方法 |
感染対策の重要性と標準予防策の理解 |
研修講師は、感染対策委員会が選任する。
研修内容の詳細(開催日時、講師、方法、内容等)は、事前に全職員へ周知する。
オ 訓練(シミュレーション等)
感染者発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた本指針及び研修内容に基づき、全職員を対象に年2回以上の訓練を実施する。
内容は、役割分担の確認や、感染対策をした上での支援の演習などを実施するものとする。
訓練方法は、机上訓練と実地訓練を組み合わせながら実施する。訓練の企画、運営、実施記録の作成は、感染対策委員会が実施する。
訓練内容の詳細(開催日時、実施方法、内容等)は、事前に全職員へ周知する。
対象 |
全職員 |
全職員 |
開催時期 |
5月 |
12月 |
目的 |
感染症防止対策マニュアルや皆成学園感染症発生時における業務継続計画を利用した行動確認等 |
感染症発生時の対応訓練等
(防護具の装着、ゾーニング、衛生用具の設置、汚染物等の処理、食事の運搬、物品の供給等々の演習)
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(3)日常の支援にかかる感染管理(平常時の対策)
ア 利用児童等の健康管理
主担当部署 養護課(保健師)、総務課(管理栄養士)、(副担当部署 育成課)を中心に、利用児童等の健康を管理するために必要な対策(利用児童の健康に関する業務要領、健康管理マニュアル参照)を講じる。
(ア)利用開始以前の既往歴について把握する。
(イ)利用児童等の日常を観察し、体調の把握に努める。
(ウ)利用児童等の体調、様子などを共有する方法を構築する。
(エ)利用児童等に対し、感染対策の方法を教示する。
(オ)利用児童等の感染対策実施状況を把握し、不足している対策を支援する。
イ 職員の健康管理
主担当部署 養護課(保健師)、総務課(副担当部署 育成課)を中心に、職員の健康を管理するために必要な対策を講じる。
(ア)新規着任時の感染症(麻疹、風疹、B型肝炎、結核、水痘、流行性耳下腺炎等)
の既往やワクチン接種状況を確認、把握する。
(イ)定期健診の必要性を説明し、受診状況を把握する。
(ウ)職員の体調把握に努める。
(エ)体調不良時の申請方法を周知し、申請しやすい環境を整える。
(オ)職員へ感染対策の方法を教示する。
(カ)感染に対する正しい知識を職員へ広める。
(キ)ワクチン接種の必要性を説明し、接種を推奨する。
(ク)業務中に感染した場合(感染リスクが考えられる場合を含む)の方針(報告体制及び適切な処置を医師へ仰ぐ体制等)を明確にし、対応について準備する。
ウ 標準的な感染予防策
主担当部署 養護課(保健師)、総務課(管理栄養士)、(副担当部署 育成課)を中心に、標準的な感染予防策の実施に必要な対策を講じる。
(ア)職員の感染予防策
a 手指衛生の実施状況(方法、タイミング等)を確認し、適切な方法を教示する。
b 個人防護具の使用状況(着用しているケアと着用状況、着脱方法等)を確認し、適切な方法を教示する。
c 食事支援時の対応(食事の衛生管理マニュアル参照)を確認し、適切な方法を指示する。
d 排泄支援時の対応を確認し、適切な方法を指示する。
e 医療処置時の対応を確認し、適切な方法を指示する。
f 上記以外の支援時の対応を確認し、適切な方法を指示する。
(イ)利用児童等の感染予防策
a 食事前、排泄後の手洗い状況を把握する。
b 手指を清潔に保つために必要な支援について検討し、実施する。
c 共有物品の使用状況を把握し、清潔に管理する。
(ウ) その他
a 十分な必要物品を確保し、管理する。
エ 衛生管理
衛生環境チェックシートを用いて定期的に点検を行い、主担当部署 養護課(保健師)、
総務課(管理栄養士)、(副担当部署 育成課)を中心に、衛生管理に必要な対策を講じる。
(ア)環境整備
a 整理整頓、清掃を計画的に実施し、実施状況を確認する。
b 換気の状況(方法や時間)を確認し、把握する。
c トイレの清掃、消毒を計画的に実施し、実施状況を確認する。
d 効果的な環境整備について、検討、試行、変更する。
(イ)食品衛生(食材の納品書、衛生管理チェックシート、検食・検食簿で確認)
a 食品の入手、保管状況を確認する。
b 調理工程の衛生状況を確認する。
c 環境調査(使用水・温度・湿度等)の結果、機器等の清掃状況を確認する。
d 調理職員の衛生状況を確認する。
e 課題を検討し、対策を講じる(給食会議で実施)。
f 衛生的に調理できるよう、指示をする。
(ウ)血液・体液・排泄物等の処理
以下の内容について、別表を基に確認を行う。
a 標準予防策について確認する。
b ケアごとの標準予防策を策定し、周知する。
c 処理方法、処理状況を確認する。
d 適切な血液・体液・排泄物等の処理方法について、指示をする。
2 発生時の対応
(1)発生状況の把握
主担当部署 養護課、総務課(副担当部署 育成課)を中心に、感染症及び食中毒発生時の状況を把握するための必要な対策(利用児童の健康に関する業務要領、健康管理マニュアル、食中毒等対応マニュアル参照)を講じ、園長へ報告する。
保健所等への相談や技術的な応援依頼等は園長又は次長が適当と認める者が行う。
ア 感染児童等及び感染疑い児童等の状況(発生日時、居室ごとの罹患状況、エリア等)
を把握し、情報を共有する。
イ 施設全体(職員を含む)の感染児童等及び感染疑い児童等の発生状況を把握する。
ウ 発生日時や状況等について園長へ報告し、園長の指示を仰ぐ。
エ 保健所等への報告に該当する場合は、受診状況、診断名、検査、治療の内容等について、保健所所定の様式を用いて報告するとともに関係機関と連携を図る。
(2)感染拡大の防止
主担当部署 養護課、総務課、(副担当部署 育成課)を中心に、感染拡大防止のために必要な対策を講じる。
ア 保健師、管理栄養士
(ア)感染児童等及び感染疑い児童等の対応方法を確認し、周知、指示する。
(イ)感染児童等及び感染疑い児童等と接触した関係者(職員、家族等)の体調を把握する。
(ウ)職員の感染対策の状況を確認し、感染対策の徹底を促す。
(エ)消毒薬は対象病原体を考慮した適切な消毒薬を選択する。
イ 支援職員(保育士、児童指導員等)
(ア)保健師の指示に基づき、必要に応じて感染児童等及び感染疑い児童等の隔離等を行い、各々の支援方法を確認する。
(イ)感染状況を当該児童等へ説明し、感染対策(マスクの着用、手指衛生、行動制限等)の協力を依頼する。
(ウ)感染児童等及び感染疑い児童等と接触した関係者(職員、家族等)の体調を確認し、保健師、各課長(保育士長)等へ報告する。
(エ)保健師の指示に基づき、ウイルスや細菌に効果的な消毒薬を選定し、消毒を実施する。
(3)医療機関や保健所、行政関係機関との連携
主担当部署 養護課、総務課(副担当部署 育成課)を中心に、必要な公的機関との連携
について対策を講じる。
保健所及び行政関係機関との連携は、次長及び総務課が行う。
ア 医療機関との連携
(ア)感染児童等及び感染疑い児童等の状態を報告し、対応方法を確認する。
(イ)診療の協力を依頼する。
(ウ)医療機関からの指示内容を施設内で共有する。
イ 保健所との連携
(ア)疾病の種類、状況により報告を検討する。
(イ)感染児童等及び感染疑い児童等の状況(人数、症状、施設における対応状況等)を報告し、指示を確認する。
(ウ)保健所からの指導内容を正しく全職員に共有する。
ウ 行政関係機関との連携
(ア)報告の必要性について検討する。
(イ)感染児童等及び感染疑い児童等の状況を報告し、指示を確認する。
(4)関係者への連絡
各所属(総務課、養護課、育成課、『エール』発達障がい者支援センター)で、関係先との情報共有や連携について対策を講じる。
ア 施設内での情報共有体制を構築、整備する。
イ 利用児童等の家族や保護者との情報共有体制を構築、整備する。
ウ 相談支援事業所との情報共有体制を構築、整備する。
エ 出入り業者との情報共有体制を構築、整備する。
(5)感染者発生後の支援(利用児童等、職員ともに)
主担当部署 養護課、総務課(副担当部署 育成課)を中心に、感染児童等の支援(心のケア等)について対策を講じる。
ア 感染児童等及び感染疑い児童等の病状や予後を把握する。
イ 感染者及び関係者の精神的ケアを行う体制を必要に応じて構築する。
(6)利用児童等及び保護者(または家族)による本指針の閲覧
本指針は、施設で使用するマニュアルに添付し、全職員が閲覧を可能とするほか、利用児童等や保護者(または家族)が閲覧できるよう施設への掲示や施設ホームページへ掲載する。
3 その他
本指針の変更及び廃止は、園長の決裁により行う。
附則
本指針は、令和6年3月29日から適用する。