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1 請求の要旨

鳥取県に保有個人情報の開示請求をしたところ、その「本人確認」の求めが、配達証明郵便で郵送されてきた。本来、地方自治法第2条第14項によれば、地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならないとされているところである。

郵便物の配達の事実を証する方法には、より安価な特定記録郵便などの方法もあるところ、これは地方自治法の「最小の経費」(原文ママ)原則に反する不当な財務会計上の行為に該当すると思料する。

この支出を行った本人(県民課情報公開担当)は、「最小の経費」(原文ママ)たる特定記録郵便との差額を県に返還する義務がある。

また、鳥取県は、職員に対してこの求償権を有しているところ、その行使を怠っている。

これは地方自治法第242条第1項の「不当な公金の支出」であり速やかに、当該職員に対し、利息を付した形で返還請求を行い、これが是正されるべきである。

2 補正を求めた事項と回答

(1)配達証明郵便を使用したことが地方自治法第2条第14項の「最少の経費」の原則に反していることの根拠を示すこと。

回答:いうまでもなく、最小とは、最も小さい費用を指す。辞書においても、次の通り定義されている。これは、公知の事実であり、証明を要しない。

「さい‐しょう〔‐セウ〕【最小】 いちばん小さいこと。「世界で—の国」⇔最大。」

 配達証明は、書留郵便に、さらに「配達証明」を付加する郵便物である。書留郵便や、その下位の簡易書留、特定記録郵便ですら、いわゆる追跡サービスが付加されており、ネットで番号さえ入力すれば、配達されたことはわかるものである。

(参考)特定記録郵便 特定記録郵便は、郵便物やゆうメールの引受けを記録するサービスで、配達の際は受取人の郵便受箱に配達します。インターネットで配達状況を確認できます。

本来、封書に、より安価な特定記録郵便(160円)を付加すれば、ネット追跡サービスで配達の事実は証明できるし、そうでなくても、日本の郵便の事故率の低さや、信書便法や個人情報保護法に基づき、日本郵便が負っている守秘義務を考えれば、公的機関が発送する郵便に関しては、原則的には普通郵便でも十分である。

(参考)https://www.soumu.go.jp/yusei/kojin_hogo/pdf/070409_2_si7.pdf

※信書便法第5条 一般信書便事業者又は特定信書便事業者の取扱中に係る信書の秘密は、侵してはならない。

さらにいえば、120円(50gまで)する、定形外の大判の封筒を用いずとも、84円ないし94円の通常の定型封書でも発送でき、それで足りる。

 

(2)配達証明郵便を使用したことが地方自治法第242条第1項の「不当な公金の支出」に当たる根拠を示すこと。

回答:これは、(1)で述べたとおり、そもそも普通郵便(場合によって、仮に記録を付けたいにしても、特定記録郵便が受忍限度)が、私の家に郵便を配達できる最小の経費なのであるから、その差額は、不適切かつ不必要な特別取り扱い料金の支出であり、その返還がなされるべきである。

3 却下の理由

行政の執行における通知に配達証明郵便を使用したことについて、執行機関に裁量権の逸脱又は濫用があり、違法又は不当であるということが具体的に摘示されていないため。

 

(参考)

・福岡高等裁判所判決(平成15年8月20日)(抜粋)

地方自治法及び地方財政法は、地方公共団体の支出の必要最少限度性について規定しているが、あくまでその行政目的を達成するための支出について要求されるものであり、地方公共団体の執行機関には、行政目的の決定及び同目的達成のための手段の選択について一定の合理的な裁量が認められているから、決定された行政目的及び同目的達成のために選択された手段に裁量権の逸脱又は濫用がない限り、他の手段を選択したとしたらより少ない支出で済んだとしても、選択された手段実施に伴う支出につき地方自治法2条14項、地方財政法4条1項の違反は生じない。

  

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