| ひとりの百姓が、山腹の石の上に美しく芳しい衣が置いてあるのを見つけました。
さらによく見ると、そばの流れで、若い美しい女性が水を浴びているではありませんか。
「天女にちがいない」石の上の衣は、天の羽衣ということになる。 百姓はその羽衣を盗みました。
天女は羽衣がないので天上に帰ることができず、百姓の妻になりました。
数年たち、二人の子どももできました。
天女は、子どもに羽衣のありかをたずねました。
子どもは、父親の隠していた羽衣を、母親に渡しました。
天女は、まさにも天にものぼるよろこびで、羽衣を着けると、天上に帰ってしまったのです。
二人の子どもは、母を慕って泣きました。
母が好きだった音楽で、母を呼びもどそうと考えました。
近くの山に登り、太鼓と笛を演奏しました。
天女が衣を置いていた山を羽衣石山、また、子どもたちが一生懸命、大鼓を打ち笛を吹きならした山を打吹山といいます。