鳥取県東部(因幡)一円に広く分布する麒麟獅子舞は、頭部に角を持つ面長の獅子頭を二人が操り、あやし役の猩々を加えて、太鼓・鉦・笛の囃子に合わせて舞います。鳥取県東部だけでなく、兵庫県北部、北海道の一部にも分布しており、その数は百数十か所にも及びます。春や秋の地域のお祭りに、神社やそれぞれの氏子の家で地域や人々の幸福を願って舞うのはもちろん、学校の郷土学習の教材に取り入れられたり、公民館などでのイベントに出演したりと、因幡の人々にとって非常に親しみのある存在となっています。
平成21年(2009)3月11日には、芸能の変遷過程や地域的特色を示すことから、「因幡の麒麟獅子舞」として国の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選択されました。
本報告書は、平成26年度から29年度の4年間にわたり、文化庁の協力を得て実施した「因幡の麒麟獅子舞」調査の成果をまとめたものです。