(1)会場の配置
会場全体を楽しく、魅力的にするような配置を考えるとともに、参加者が会場内で自分の位置を容易に確認できるよう、わかりやすい会場配置となっているか確認しましょう。
(2)出入口
(参考)車いすで通過しやすい寸法
誰もがスムーズに出入りできるよう、段差や出入口の幅などをチェックし、不都合がある場合は、人的支援や簡易スロープの設置などの急的処置を検討しましょう。
(3)車いすの準備
出入口、受付付近に車いすを設置しておきましょう。なお、車いす貸出希望者からの事前連絡により、会場への到着時間及び降車場所が把握できている場合は、あらかじめ降車場所付近に車いすを用意しておきましょう。
(4)会場内移動
(参考)人が横向きになれば車いすとすれ違える寸法
移動しやすい会場を実現するため、余裕のある通路幅を設けましょう。
混雑が予想される場所では、一方通行とするなどの対策に併せて、交通整理などの人的支援やサインにより周知を図りましょう。
なお、通路や点字ブロックなどに物を置かないように気を付けましょう。
会場内の階段や段差、電源コードの敷設などによる床面の凹凸をチェックし、不都合がある場合は、人的支援や簡易スロープの設置等の応急的処置を検討しましょう。
エレベーターがある場合は、車いす使用者や視覚障害者も使用できるか確認しておきましょう。
(5)舞台、客席等
ア 車いす使用者の客席
車いす使用者の座席の配置は、固定せず、複数の位置に設け選択が可能なよう配慮しましょう。
固定する場合には、災害時の避難を考慮し出入口から容易に到達できるとともに、避難し易く、舞台やスクリーン等が見やすい場所に確保しましょう。
なお、これらの席のスペースの中又は近傍に同伴者(介助者など)の席も併せて確保し、車いす使用者が同伴者と一緒に観覧できるよう配慮しましょう。
(参考)車いす使用者用客席の基本寸法
イ 手話通訳者等及び聴覚障害者の客席の位置
舞台設営時に手話通訳者の位置、要約筆記をするOHP、スクリーンの設置場所を確保しましょう。
なお、手話通訳者の位置については、会場の設営方法などで微妙に変わりますので、事前に手話通訳者との十分な打合せをしましょう。また、手話通訳者を見る聴覚障害者が事前に把握できる場合は、その聴覚障害者との打合せができればさらに望ましいです。
また、聴覚障害者の客席は、磁気誘導ループに近く、手話通訳者やOHP、スクリーンが見やすい場所に確保しましょう。
(参考)劇場形式の会議・講演会での配置例
(6)トイレ
(参考)多目的便所の表示例
車いす使用者やお年寄り、親子連れなどが利用できるトイレが設置されているか確認し、ない場合は、仮設トイレの設置を検討しましょう。仮設トイレを設置する場合は、入口の段差にも注意しましょう。
また、トイレの機能がわかる表示がされているかを確認しておきましょう。
(7)受付・案内所
(参考)カウンター(車いす対座位)の基本寸法
受付設備は、車いす使用者や子どもなどが利用しやすいよう、カウンターの高さ、間口及び奥行きに配慮しましょう。
また、手話通訳者や要約筆記者がいる案内所等には、どこからでも見えるように会場案内図に表示してあるものと同一のマークを入れた旗などを掲示しましょう。
(8)必要スペースの確保
ア 休憩スペース
高齢者や妊産婦、乳幼児連れの親子など、会場内の移動で疲れやすい人が、休憩して疲れをとることができるスペースを、案内表示などにより会場内のわかりやすい適当な場所に設けましょう。
休憩場所には、ベンチや椅子、給水施設を用意するなどして休みやすい場所にしましょう。
イ 救護スペース
イベント会場内で、けが人や病人が出たり、参加者の体の具合が悪くなったりした場合に備えて、救護室又は救護スペースを確保し、医師や看護婦など医療知識を有するスタッフを配置しましょう。
救護室又は救護スペースには、横になって休むことのできるベッド等を設置し、応急処置に必要な医薬品を用意しておきましょう。
ウ 託児・授乳スペース
(参考)授乳スペースの配置例
講演会やシンポジウムなどでは、育児中の人が参加しやすいように、託児や授乳ができるスペースを設置しましょう。
託児ができるスペースは、子どもたちが楽しく遊ぶことができるよう配慮しましょう。
授乳ができるスペースは、安心して利用できるように授乳室とすることが望まれますが、授乳コーナーとする場合は、ついたて等で十分に視線を遮り、プライバシーの確保に配慮しましょう。また、授乳ができるスペースには、いすの用意、お湯を自由に利用できるような用意、おむつ換えができるようにベッドの用意をしておきましょう。
(9)案内標識
仮設の車いす使用者用駐車場、トイレ、休憩室などにはその旨を表示しておきましょう。
会場となる施設のサインが不十分なため、初めて訪れた人にとっては、わかりにくい場合もあります。こうした場合には、会場の了解を得る必要がありますが、イベントの開催においては、臨時のサインを用意するなどサインを充実することが大切です。
サインについては、基本的に、初めての来訪者でも円滑に会場に入ることができ、人に尋ねることなく、トイレなど目的の施設を見つけられることが大切です。
施設の敷地(可能であれば敷地外)から歩行者などの動線を考え、曲がり角などに適切にサインを設置しましょう
その際は実際に会場を下見し、平面図などを基にサインの配置を検討しておきましょう。
なお、車いす使用者については車いす使用者用駐車場からの入場が多いことも考慮し、動線を確保するとともにサインも適正に設置しましょう。
トイレ、車いすなどのサインについては、交通エコロジー・モビリティ財団が定める標準案内用図記号を使用することが望ましいです。
(参考)標準案内用図記号
交通エコロジー・モビリティ財団が平成13年3月に策定したもので、国内の交通施設、観光施設、スポーツ施設などで使用される案内用の図記号が125種類定められており、ここではその一部を紹介します。
詳細及びこの他の図記号については、交通エコロジーモビリティ財団のホームページをご覧ください。