平成30年3月9日(土)、鳥取市歴史博物館で占領期の鳥取を学ぶ会の平成30年度活動報告会を行い、51人の方が参加されました。
長志珠絵教授の基調講演では、戦後の占領期研究が進まなかった背景に史料の公開の遅れがあること、占領期研究のなかでも国政や憲法の成立など国家的テーマの研究が先行し、地域へのまなざしが後手に回ってきたこと。船岡村奉安殿の移転問題をきっかけに鳥取県への関心が深まりこの会に参加したこと、鳥取県の取組は、新聞などの地域資料・英文資料・インタビューの3つの要素をもつ他の先例となりうる事業だとの評価をいただきました。
(写真1)木谷・鳥取市歴史博物館館長のあいさつ
(写真2)長教授の基調講演「占領期の地域史資料とGHQ文書」
つづく、西村報告は30年度解読の進捗状況とトピック、チラシに用いた地図・写真の説明を行いました。
小山報告は主に公文書館が所蔵する学校資料(学校日誌)を用いて軍国主義教育から民主教育に転換が図られた占領改革の学校現場の動きを豊富な事例をもとに紹介しました。
澤田報告は、鳥取軍政部教育情報担当将校のJames. K .アリマ中尉の特定、履歴の紹介と軍政レポートにみられる同氏の思想を紹介しました。
横山報告は、アメリカからの救援物資に対して礼を述べた児童が戦艦武蔵の最後の艦長猪口敏平氏の子息だということに着目し、当時の人々のアメリカに対する心情を考えさせる内容でした。
(写真3)西村報告「平成30年度の活動と解読のあらまし」
(写真4)小山報告「鳥取軍政部が行った学校視察」
(写真5)澤田報告「鳥取軍政部教育情報担当将校アリマ中尉について」
(写真6)横山報告「昭和22年天皇の鳥取行幸」
当館では、公文書館における事業内容(公文書の引継ぎ、利用提供など)について県庁内に発信し、職員に公文書管理に関する理解を深めてもらうきっかけとするため、年4回「公文書館通信」(メールマガジン)を発行することとしました。
平成30年度は、「公文書館のお仕事」というテーマで、文書の評価選別や保存修復の様子を紹介しました。
公文書館メルマガvol.1(pdf形式 626KB)
公文書館メルマガvol.2(pdf形式 713KB)
公文書館メルマガvol.3(pdf形式 610KB)
公文書館メルマガvol.4(pdf形式 662KB)
現代部会では、3月3日(日)来年度刊行予定の『現代2 経済・社会・文化』に掲載する商業金融関係の資料の調査を行いました。
閲覧した資料のひとつに鳥取県地方労働委員会事務局発行の『労働鳥取』がありました。
昭和43(1968)年度から昭和57(1982)年度までの表紙を飾ったのは、倉吉市を拠点に活躍した版画家長谷川富三郎氏の作品です。
(写真1)現代部会資料検討会の様子
(写真2)長谷川富三郎作品を表紙に掲載する『労働鳥取』
平成31年2月21日(木)、公文書館会議室において、全林野労働組合制作映画「山の合理化 軌道」の上映会を開催しました。
この映像は、沖ノ山森林鉄道(智頭町)での森林伐採、運搬などを撮影したもので、森林鉄道が廃線になる前年の昭和38(1963)年に撮影されました。映像には、智頭駅での貨車への木材積込み、木の伐採、トロッコ(山トロリー)への伐採木の積み込み、集積場への搬送・積み下ろし、事務所の様子などが、33分にわたって撮影されています。
音声もありましたが現存していないことから、このたび映像の寄贈を受けた公文書館に、関係者11名が集まり、座談会形式の上映会を行いました。その様子は了解を得た上で録音させていただきました。2時間にわたる上映会では、映像の迫力に驚きの声が上がり、撮影場所や作業の様子について熱心な議論が交わされました。
関係者の皆様、ありがとうございました。
(写真1)上映前の説明の様子
(写真2)上映後の議論の様子
公文書担当