今回の昭和24年2月の軍政部活動報告書の解読では、最初に、労働基準局の検査により発覚した労働基準法違反の案件や労働組合の活動、賃金引上等の争議などの労働監督関係の報告を読み進めました。次に、小麦の不作や農業会の解散と農協の結成、農業改良普及員による普及活動といった農業関係の報告について解読しました。
今回の解読部分には「労働ボス(labor boss)」という用語が出てきて、会員から、「労働ボスとは戦前の口入れ屋や手配師、人夫出しなどのことだろうか」とか、「(中間の手数料を搾取しない)無料職業あっせん事業は戦前にもあり、第一次世界大戦前後から無料の職業紹介所を行政が設置していた」というお話をいただきました。
農業関係では、報告書に出てきた4Hクラブについて、会員から、「4つのH、Head(頭脳)科学的にものを考える、Hand(技術)腕を磨く、Heart(心)友情、Health(健康)健康にやっていくが4Hクラブの信条で、アメリカで始まり日本に導入された」という解説や「家のかまどを近代的にした事業を4Hクラブの食生活改善活動として発表したことがある。」という思い出などをお話しいただきました。
引き続き、会員の方の疑問や記憶も参考にし、報告書の解読を進めたいと思います。
(写真1)10月例会の様子
(写真2)活発な議論が交わされました
(写真3)当時の新聞記事の説明
今回の昭和24年2月の軍政部活動報告書の解読では、鼠族昆虫駆除講座や2回目のネズミ退治運動といった衛生活動、生活保護の生活扶助費算定の査察と過払い・不足の是正状況、地方児童福祉委員会での検討や施策の実施状況、福祉施設・少年院の査察状況などについての翻訳を進めました。
前回の「本当に(入院患者の身内の人が)病室で煮炊きをしていたのか。建物の外ではないのか。」という疑問点については、澤田晶子調査委員(翻訳担当)から、いろいろな資料に病院内で煮炊きしていたという記載があり、入院となると、鍋釜、七輪、布団と共に、患者がリヤカーに乗せられて入院するという姿が一般的だったとの講演録もあるという説明がありました。参加者の方からも、当時入院した時に、母が家から食べ物を持って来てくれた等の体験談をいただきました。
また、これまでの会で話題に出ていた鳥取地震復興住宅(バラック)について、澤田調査委員から罹災者住宅入居公募の当時の鳥取市報(公報鳥取)の記事の紹介があったあと、やまびこ館の横山展宏学芸員から、市内に1戸残っているバラックの写真を撮影してきたとの紹介がありました。
横山学芸員からは、当時の広島県仮設住宅建設部隊と墨書のあるバラックの写真紹介や支援に来てくれた4県と軍隊の説明などがありました。また、以前の解読で出てきたアニメーション作品「森の泣蟲坊や」について、神戸映画資料館から澤田調査委員に映画祭でゲストスピーチをしてほしいと依頼があったことの報告もありました。
今回の解読部分では、鳥取と倉吉に孤児院があったが米子はどうだったのかとの質問や少年院の歴史、学校にあった大きな火鉢の思い出、施策への軍政部の関与の度合いは強かったが全てが軍政部の言うとおりになったわけではないのでは等の話がありました。
引き続き、参加者の方の疑問や記憶も参考にしながら、軍政部活動報告書を解読していきたいと思います。
(写真1)例会の様子
(写真2)澤田晶子調査委員からの説明画面
(写真3)やまびこ館の横山展宏学芸員による写真の紹介
(写真4)解読の様子