本日はマグロ初水揚げ、まき網市場調査、シラス調査など盛りだくさんの日記です。
まず、本日のトピックは、なんといってもマグロの初水揚げでしょう。
2隻で15トン前後のマグロが今季初水揚げされ、県営境港市場は朝から活気づきました。
水揚げされたマグロは、割裁人の手により、素早くえら・内臓を除去されます。
下の写真がその様子ですが、マグロの血と割栽人の大声が飛び交い、まさに戦場といえる状態です。
写真を撮るのも一苦労で、まっすぐ歩くこともままなりません。
その後マグロは素早くセリ場に運ばれ、氷の上に綺麗に並べられます。
氷の上に並べられたマグロですが、さらに人の手によってえら・内臓部分に氷が詰められます。
境港のマグロは、ほかの産地と異なり1度も冷凍されていませんので、一味違う風味を堪能することができます。
一方で、冷凍されていないということは、管理が大変でもあるということです。
境港のマグロは、多くの人たちのチームワークによって、最高の鮮度のまま皆様に届けられるのです。
また境港では、徹底した資源管理も行われており、資源に配慮したおいしいマグロとして、
ブランド化もなされています。下のラベルがついたマグロを見かけたら、ぜひご賞味してみてください。
資源管理といえば、水産試験場も水揚げをじっと眺めているだけではありません。
並べられたマグロの尾叉長を、人よりも大きなノギスを使って2人1組で手際よく測定していきます。
また、マグロの口と尾柄部に、番号をつけたタグを取り付けます。耳石と脊椎骨から年齢を査定するためです。
このようにして得られたデータは、資源評価に役立てられます。
次に、マグロ水揚げ前に行ったまき網の市場調査についてです。
マグロ初水揚げに沸いた6月3日ですが、まき網担当としては大漁日であったことも大きなトピックの1つです。
大漁日とは、まき網の1日の水揚げが1,000トンを超えた日で、大漁日には境港市役所に大漁旗が掲げられます。
今年に入って3回目の大漁日で、今年度では記念すべき1回目となりました。
大漁の主はマイワシで、18~19cm前後の中羽主体で1,200トン近い水揚げを記録しました。
持ち帰ったマイワシの中から、特に大型だったものを2尾並べてみました。
体側にある黒い斑点から、俗に「七つ星(ナナツボシ)」という別名もあるマイワシですが、
下の個体のように黒い斑点が「七つ星」どころではない個体や、逆に全く無い個体もあるそうです。
ちなみに下の個体、数えてみると「31つ星」でした。ここまで多い個体はあまり見かけません。
お手に取られた際は、少し気にしてみると面白いかもしれませんね。
さてマイワシといえば、6~7月の梅雨の頃に脂が乗り旬を迎えるとされ、俗に「入梅イワシ」と呼ばれています。
千葉県では、銚子で水揚げされるマイワシが夏のプライドフィッシュに指定されているほど美味しいそうですよ。
お腹を開けてみると、内臓の周りにたっぷりの脂肪がついていました。下の切り身をご覧ください。
どうでしょう、この皮下脂肪。食べたらきっと美味しいこと間違いなしです。
今年は、脂の乗るこの時期にたくさん獲れていて値段もこなれていますし、味も格別なマイワシ、
この機会にぜひご賞味ください。
続けて、前日に行ったシラス調査についてです。
朝4時過ぎに港に向かうと、既に水揚げ中の漁船、今まさに入港する漁船など合計5隻が操業していたようです。
前の週に40箱以上水揚げした漁船もあったようで、期待して今日の獲れ具合を伺うと、あまり芳しくなさそうです。
どの船も3~5箱程度で、潮が早いうえに、混ざりが多くていけんと皆さん口を揃えて仰っておられました。
現場では前回調査ほど混ざりがないように見えたのですが、持ち帰って測定すると、
シラスよりやや大きな固体や、マイワシ、ウルメイワシ、サバ、アジの稚魚などが混ざっており、
まだ薄暗い中でこれを瞬時に見分ける漁師さんはやはりすごい、と思わせられました。
前回市場日記はこちら→(https://www.pref.tottori.lg.jp/item/1247037.htm#itemid1247037)
下の右の写真は、上からカタクチイワシ、マイワシ、ウルメイワシの稚魚を並べたものです。
パッと見るとどれも同じように見えますが、測定時にはこれらを素早く、適切に見分ける必要があります。
自分は口元の違いや、肛門の位置がそれぞれ微妙に違うことで見分けています。
シラスは秋と初夏がよく獲れる時期にあたり、まさに今がスーパーで生シラスをよく見かける時期になります。
マイワシに負けず劣らず美味しいですので、こちらもぜひご賞味ください。