列車も職場も気持ちよく
鉄道車両整備の世界に飛び込んで１６年。「フトン」と呼ばれる座席のカバーや手すりの布の縫製と張り替えを担当する。乗客が列車を気持ち良く利用できるよう、座り心地や見栄えを追求してきた。入社当初は周囲の期待に応えたいと、高い向上心でがむしゃらに進む毎日。現場のリーダーを任される今では、働きやすい職場環境づくりと後輩の育成が、仕事の楽しみに加わった。
子どもの大学進学を機に入社。配属されたのがフトン班だった。子どもの服や小物を縫うことはあったが、本格的な縫製は未経験。「素早くきれいに作業をする先輩に私も早く追い付きたい」－。先輩たちの姿を食い入るように見つめて技術を盗み、失敗を繰り返しながらも努力を続けた。
６年ほどたった頃「これからは私がこの現場を引っ張っていく番」と自覚が芽生え、周囲からも同様の期待を寄せられるように。責任ある立場として全体のことも知っておかなければならないと、担当業務とは関係がない技能検定を受けるなど、モチベーションを高めていった。
常に前向きに仕事に打ち込んでこられたことについて「要望にすぐに応えてくれる会社に、話を聞いてくれ、サポートもしてくれる上司がいて、環境にすごく恵まれていた」と笑う。自分を育ててくれたその環境を後輩に引き継ぐため、コミュニケーションを大切に、皆で話し合いながら楽しく働ける職場を心がける。
定年が迫る今は、後進の育成に力を入れる。心がけるのは、後輩の成長をそっと見守り、励まし、後押しする姿勢だ。「失敗したとしても、後にその人にとってプラスになればいいし、反対にどんどん仕事ができる場合は、それがちゃんと評価されるようにしてあげたい」
【写真説明】「後輩の育成が楽しみ」と話す遠藤さん
※撮影時のみマスクを外しています
（2022年11月28日(月) 日本海新聞 撮影）