2023年のかに漁期が11月6日からスタートしました。
かにシーズンの始まりとなる11月6日から7日にかけては海況が悪く、日本海側の海上では南のち西からの風が強くなる予報がでており、各沖底船は例年とはやや異なる場所、工程で操業を行わざるを得ない船もあったようです。
まずは、解禁当日の11月6日の午後3時、網代漁港で初セリが行われるとの連絡が入り現場に向かいました。次第に風が強くなる予報のため、近場の漁場で操業する船は早めに操業を切り上げ、解禁初日にセリが行われることになったようです。(ちなみに解禁日の11月6日に初セリを行うのは平成27年以来で8年ぶりとのこと)
網代漁港には4隻の入港がありました。各船が入港してくると、親がにが仕立てられた発泡箱が船内に山積みになっています。
各船への聞き取りでは青谷沖の漁礁周辺、水深230-240m程度の海域で操業されていたようです。短時間の操業(11月6日の0時解禁から5~6回程度曳網)で、松葉がには前年並み~やや少ない程度、親がには前年並み程度の獲れ方だったとのことでした。
網代の初セリは毎年、お目にかかる機会がなく初めてでしたが(いつも賀露の初セリに行くのが恒例のため)、こちらも活気に溢れ、セリ人の威勢の良い声が印象的でした。
本県の松葉がにのトップブランド「五輝星」も1枚水揚げがあり、地元の料理店が落札しました(落札価格:250,000円、甲幅15.5cm、重量1.52kg)。
この日の松葉がに、親がにの単価は前年より1.3倍高く、解禁日当日で水揚げ量が前年より少なかったこと、他産地の状況等(福井、石川県等は悪天候により出航できなかったこと)が影響していたと思われます。
翌日の7日は境港、網代、賀露と県内のかに水揚げ市場3港すべてをはしごしました。
まずは7日の深夜1時に境港市場に着くと、田後漁協所属の5隻、網代支所所属の3隻、境港支所所属の3隻が入港していました。
田後船は隠岐の島北の海域、水深230-240mで操業しており、松葉がには大きいサイズの銘柄(特大サイズ:甲幅130mm前後)を主体に水揚げしていました。聞き取りでは、解禁初日の松葉がにの獲れた量は前年並みでサイズはやや前年よりも小ぶりとの情報を伺いました。親がにも前年並みの漁獲とのことでした。続いて、網代支所所属の沖底船に話を聞いたところ、こちらは出雲沖の水深250m付近で操業しており、松葉がには小型の銘柄(10入~20入:甲幅115mm前後)が主体とのこと。松葉がには漁獲対象未満のサイズが多く入網し、親がにもサイズが小さいものやアカコが多く、漁をするにはあまり状況が良くなかったようです。
聞き取りを終え、5時頃には昨日、初セリが行われた網代漁港を訪れました。昨日、水揚げしていなかった3隻が水揚げしていました。うち2隻は隠岐東方の海域、水深270~370mとやや深い海域で操業していたとのこと。深場にいる大型サイズの松葉がにが多く水揚げされていました(この日の一番の大物は甲幅161mm、1.5kg以上の個体がいました)。
親がにも水揚上限枚数一杯まで漁獲しており、まずまずの水揚げとなっているようです。一方で、今年は水温がまだ高く、活かして持って帰ることができないカニも多いという声も聞かれました(親がにも箱に氷を詰めて出荷されています)。
続いて賀露市場です。賀露は4隻全船入港です。賀露船は例年、解禁時から隠岐北西の海域で操業することが多いのですが、今年は風が強く操業が困難なことが予想されたため近場の青谷沖で操業されたようです。
既に市場にはこの日水揚げされた、五輝星に認定された松葉がにが4枚、特製の水槽に並べられていました。県内では一番、高値が付く賀露の「五輝星」。今年の一番の高値は280万円で落札されました(甲幅14.7cm、1.28kg)。
2番目に高い五輝星も100万円の値が付き、前年よりも高値が続出する結果となりました。コロナ禍も明け、2023年漁期のかにシーズンが華々しくスタートしました。
なお、この日、賀露市場に水揚げされた松葉がにの量は前年と比較し、少なかったようです。一方で、その後の水揚げ(11月10日揚げ)では本来の漁場(隠岐北西)で操業してきており、松葉がに、親がに共に前年並み程度の漁獲が得られているようです。