2013年10月24日
また、10月に入ってからベニ篭組合と水試とが共同で、漁場内の資源状況やリング付の篭(通常篭)の資源保護効果をみるため、水産庁の許可のもと、試験篭(通常のリング付かごと3cm目合かご)を使って、試験操業を実施しています。 下の写真は、試験操業で採集されたかにを篭から出して、通常かご、3cm目合かご別に床面に並べたものです。写真の手前が通常篭での採集かに(トレー1杯分:甲幅9cm以上の雄ガニが主体)、後ろが3cm目合篭での採集かに(トレー4杯分:雌ガニや小型の雄が多く含まれています)です。一目瞭然で、リング付通常篭での採集量が3cm目合試験篭に比べて極めて少ないことが、分かります。
操業時に、水深が1000メートルを超える海底にかごが到達すると、餌に誘われて、周辺に生息していたカニが一斉に篭の中へ入ってきます。かごは、カニがいったん入ると二度と逃げられない構造になっているので、かごを引き上げれば、カニが漁獲できる仕組みになっています。 それで、3cm目合篭に入ったカニの量を調べるとその地点のおおよそのカニの資源状態(どの程度の大きさのものがどれくらい)が分かります。 通常篭、3cm目合篭とも、餌に誘われて篭に入るカニの量は同じです。しかし、通常篭には、内径が9.5cmのリングが3個取り付けられているため、いったんは篭の中に入った、リングの径よりも小さい雌ガニや小型の雄ガニは、容易に篭から逃げ出すことができ、リングの径よりも大きな大型のカニだけは逃げることができないので、大型のカニだけが漁獲される工夫がされています(写真の手前側です)。
というわけで、このリング付通常篭を使用することで、海底で相当量の小型のカニの保護がなされているのが、百聞は一見にしかずで、視覚として実感することができます。
つまり、餌に集まって篭に入ったカニの量は、写真の奥側のカニの山ですが、篭から、逃げ出すことができずに篭に留まってしまったカニの量が手前のカニの山ですので、奥側の山の4分の3の量のカニが、篭から逃げ出していったことが容易に想像できます。 このように、漁業者の方はリング付の通常篭を使用されて、無駄に小型の雄ガニ(次期漁獲対象のかに)を獲らないように資源保護に努められ、カニが安定して漁獲できるよう資源管理の取り組みをされているのです。
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