夏といえば、各地で行われる夏祭りが楽しみの一つですね。夏祭りに欠かせないものの一つに盆踊りがあります。
県内には多くの個性的な盆踊りが伝わっており、主なものを挙げると、たとえば東部では「傘踊り」と「はねそ踊り」、中部では「みつぼし踊り」と「いさい踊り」、西部では「こだいぢ踊り」、「ばんば踊り」、「さいご踊り」、「かんど踊り」、「さんこ踊り」があります。また、中・西部では櫓などを中心とした輪踊りが一般的なのに対し、東部では列になって踊る形が多くみられます。
さて、そもそも盆踊りとはどういうものでしょうか。
その由来をみてみると、例えば湯梨浜町の東郷浪人踊りは、戦国時代に吉川元春に滅ぼされた南条貞宗とその家臣の慰霊のために踊り始めたといい、南部町の小松谷盆踊りは先祖供養のために位牌を背負って念仏踊りをしたのが発祥とされています。
このように盆踊りとは、お盆にやってくる死者の霊を慰め、歓待し、また送り出すという意味をもっています。
それをよく示しているのが、初盆の家で行われる盆踊りの例です。
因幡の傘踊りで有名な鳥取市国府町麻生では、8月14日の夕方、傘踊りのグループが初盆を迎える家を訪れます。そして三番叟、因幡大津絵、浄瑠璃くずし、貝殻節など4曲程度選んで踊ります。踊りの合間には、音頭とりが故人との思い出話や曲の説明を語り、1軒あたり30分程度演じた後、飲食の振る舞いがなされます。
こうした風習は国府町だけでなく、東部の広い地域でみることができます。中でも珍しい例に岩美町陸紙の墓踊りがあり、ここでは初盆のお墓そのものを取り囲んで踊ります。
こうした初盆の盆踊りをみていると、初盆を迎えた家だけでなく、その周りの地域の人々が、亡くなった人を弔い、慰める儀式を行っているように思います。そしてそれは、生きている人たちの絆を深め、地域を結びつけることにもつながってきたと思います。
今年はぜひ親子で住んでいる地域、あるいは縁のある地域の盆踊りに参加し、一緒に踊ってみてはいかがでしょうか。