現状・課題

 食の豊かさの認識及び消費地における鳥取県産品のイメージが希薄です。県内の美しい環境の中で大切に育てられた素晴らしい多数の食材は、素材は良いですが、消費者ニーズをとらえた販路拡大、有利販売や商品開発、大都市圏への情報発信及び売り込みが十分ではありません。また、豊かな食材、料理及び食文化を有する「食のみやこ鳥取県」としての認知度が不足しています。

 梨やスイカなど全国レベルの特産品はありますが、農産物の収益性が低下しています。有機農産物、特別栽培農産物(農薬や化学肥料を削減するなど一定の要件を満たした方法により生産された農産物)等の栽培面積は増加していますが、消費者の認知度がまだまだ低く、有利販売に結びついていません。和子牛価格は、母牛の改良により上昇してきましたが、まだ全国平均に届いていません。生産資材、配合飼料等の価格の高騰が農業経営を圧迫しています。中山間地域の果樹園等、条件不利な農地を中心に耕作放棄地が増加しています。

 木材価格の低迷等による採算性の悪化により、森林所有者の施業意欲が減退するとともに、林業生産活動が停滞し、県産材の利用が進んでいません。更に、林業従事者は年々減少し、65歳以上の方の割合が増加するなど、高齢化が進んでいます。一方で、外材の高騰等による国産材需要の回復傾向を背景に、県内で木材加工工場の整備を行う取組も出てきています。

 漁業者の高齢化が進み、将来的に漁村の活力低下が懸念されています。また、燃油等の高騰で漁業経営が悪化し、漁業経営を続けていくことが一層困難となっています。漁業資源は減少傾向で、先行きが不安な状態にあります。また、これまで漁獲されていなかったサワラが水揚げされるなど漁場環境も近年大きく変動しています。鳥取県ならではの魚種のブランド化の取組が行われていますが、市場価格に反映されていません。


取組の方向性等

  1.  高速交通体系の整備等により、県内の新鮮な農林水産物が新鮮な状態で県内外に流通し、その農林水産物、加工品等を求めて県外からの買物客が増加する「食のみやこ」を目指します。
  2. 素材が良く、安全安心で、美味しい農林水産物、加工品など、本県の食の魅力を県内外に発信します。東京のアンテナショップに加え、大阪、名古屋、福岡等における情報発信機能を強化します。ふるさと認証食品を増加させます。
  3. 本県の食が健康、安全、観光等と結び付き、一つの「文化」として定着させる取組を推進します。併せて、「食」を、鳥取県で生活・事業展開する際のキーワードとし、様々な場面で本県の食に着目し、食にこだわった事業展開等を進めます。
  4. 安全安心で美味しい鳥取の農産物や、これを原料として県内で加工された様々な加工食品が、国外に輸出され、収益の拡大やブランド化など知名度の向上にもつながるよう、農産物や加工食品の輸出拡大の取組を進めます。
  5. 安全で美味しい地域の農産物・食品を安心して供給する地産地消を進めることはもとより、本県の豊かな農林水産物を単に食材としてとらえるだけでなく、「食」を、健全な心と体を育み、いきいきとして豊かな暮らしを実現する「源」としてとらえ、地域の食材を使った、家庭や学校給食等における
    「美味しい食」「あたたかい食」「楽しい食」を通じ、健康づくり・人づくり・地域づくりを行い、また、地域の農業と関連産業も活性化するよう、「食」をキーワードとした運動を全県で展開します。
  6. 年間を通じて切れ目なく本県のいろいろな農産物を出荷するとともに、鳥取オリジナル品種、こだわりのある農産物等(二十世紀梨につながるリレー出荷(連続的な出荷)が可能な梨新品種の導入による鳥取梨のシリーズ化等)を育成・普及します。隣県・近県と連携して「地域連携ブランド」(大山・中海圏域等)を打ち出すなど、地域の特性を生かした特産品創出・ブランド化を推進します。
  7. 水田の有効活用の視点から新規作物の導入や米を活用した加工品等の生産を促進するとともに、消費者のニーズにマッチした安全で安心な食材の供給拡大を目指し、県と農家とが連携して有機農産物、特別栽培農産物(農薬や化学肥料を削減するなど一定の要件を満たした方法により生産された農産物)等の独自の生産技術を開発し、普及を促進します。また、地域の実情に応じ、効果が高く、安価で省力的な鳥獣被害防止対策を普及定着させ、農作物等の安全安心を推進します。
  8. 県産椎茸のより一層の品質向上を進め、県産椎茸のブランド化や生産拡大・有利販売を目指します。
    育種改良や飼養技術の向上等により、「鳥取和牛」「大山ルビー」「鳥取地どりピヨ」など、おいしい鳥取ブランドを形成します。子牛・肉牛の出荷頭数の増加や高価格販売により「和牛王国鳥取」の復活を目指します。県内産の自給粗飼料を給与し、生産・加工を県内で行い、安全で安心な付加価値の高い牛乳を生産します。
  9. 本県の特徴である多様な農林水産物の生産に対応した生産基盤の整備を促進します。
    また、高品質な県内農産物の生産・加工を通じた輸出拡大や、食品加工産業への県内農林水産品の供給拡大、新品種や機能性食品など付加価値の高い新商品開発を通じた、農林水産物供給・加工の一大生産・供給拠点を目指すフードバレーの取組を推進し、農家所得の向上を目指します。
  10. 退職された団塊世代の方、IJUターンされた方等も含め、認定農業者、新規就農者、集落営農組織、農外からの企業参入など多様な経営主体の育成・確保を推進します。
  11. 地域の農業者等による耕作放棄地解消に向けた取組(農業者等への集積、市民農園等としての活用、広葉樹等の植栽等)の進展を図ります。
  12. 低コスト林業(団地化、機械化及び高密路網整備による低コスト林業団地の形成等)の普及定着により収益性を向上させ素材生産の拡大を図るとともに、必要な林業担い手を確保し活力あふれる林業経営を展開します。
    公共施設での県産材使用を推進するとともに、県産材の品質向上によるブランド化、販路開拓等により県産製材品の需要の拡大を図ります。
  13. 漁業資源の適正な管理、漁場環境の改善等により水産資源・豊かな漁場環境を維持し、資源を持続的に利用します。省エネ型漁業の推進や新たな漁法の導入等により、活力ある漁村づくりを進めます。
    高鮮度化や市場の衛生管理強化、流通チャンネルの多様化、新たな特産魚種の育成・普及等を行い、差別化によるブランド化を進め、日本海の幸を供給する強い産地と豊かな漁場をつくります。

主な目標指標

項目 現状 目標
鳥取県ふるさと認証食品の認証数 317件 (平成19年度末) 500件 (平成30年度末)
梨新品種の導入面積 16ha (平成19年度末) 200ha (平成30年度末)
肉質等級「4」以上の割合 57% (平成19年度) 80% (平成30年度)
県内木材生産量 146千立米 (平成18年度) 250千立米(平成30年度)
栽培漁業の実用化対象魚種の数 4種 (平成19年度末) 8種 (平成30年度末)
  

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