平成28年11月30日(水)、とりぎん文化会館において表題のセミナーを開催しました。
[参加者]80名
農林業、木材業、建築業、製造業、サービス業、消費者、教育研究関係、国・県・市町村
職員など
【特別講演(1)】
はじめに、鳥取県埋蔵文化財センター 青谷上寺地遺跡調査担当の君(きみ)嶋(じま)係長(写真)から、「弥生人の木材利用と匠(たくみ)の技」と題してご講演いただきました。
弥生人は、身の回りにある木材(スギ・広葉樹)の特質を熟知し、用途に合わせて樹種を選択しつつ、優れた木工技術と高いデザインセンスをもって木を扱っていたことを、出土した多種多様な遺物やその分析データで解説されました。また、森林資源を循環利用し続けていたことや、木製品をリサイクル利用していたことなど、これからの時代にも弥生人から学べることが多いことを話されました。
来場された方からは、「弥生人の木材利用は、とても興味深かった」、「弥生時代の話をもっと一般の人に聞いてもらうと木材に興味をもって貰えそう」、「こういう弥生時代の話で、森林・林業にもっと関心を持って貰えるとありがたい」などの声(アンケート)がありました。
身近な資源を循環利用しながら暮らしに活かしていくことは、これからの地域づくりにますます重要になりつつありますが、古くからの「人と木との関わり」の歴史を知ること、思い起こすことが今後の取組に繋がるのでは、との話に皆さまが共感されていました。
【特別講演(2)】
続いて、森林総合研究所 林業経営・政策研究領域 木材利用動向分析担当の青井チーム長(写真)から「広葉樹のマテリアル利用の現状と今後に向けた課題」と題してご講演いただきました。
近年、海外産の広葉樹の価格が高騰していることなどを背景に、国産の広葉樹資源に目が向けられつつあります。国産広葉樹には、まだ多くの課題がありますが、燃料用や紙パルプ用だけではなく、家具や住宅部材などに利用可能な原木については、付加価値を高めた木材利用も想定しつつ取り組むことや、広葉樹の経済的価値について川上に情報提供・PRしていくことの必要性について話されました。
セミナー参加者へのアンケート結果では、「針葉樹も広葉樹も地域資源としてもっと付加価値が高まるよう取り組むべき」、「広葉樹の有効利用にもっと目を向けて取り組むべき」との意見が大半であり、林業・木材関係者や一般県民の広葉樹へ期待や有効利用の必要性を知ることができました。
【研究発表】
その後、林業試験場の研究員4名が、研究成果等の報告・情報提供を行いました。
発表内容の概要は、林試研究成果概要をご覧ください。
(1)クロスパネル(CLT)の開発 川上主任研究員
(2)地震に強いスギ厚板耐力壁の開発 森田主任研究員
(3)次世代のスギは強いスギを 桐林研究員
(4)早生樹(センダンなど)の利用について 池本主任研究員
【セミナー参加者アンケートの結果】