「越えられない壁はない」
「女性は男性の何倍努力すれば、仕事で認められるのか…」。評価に対する不満はあったが、家庭と仕事の両立やスキルに自信がなく、管理職になることに後ろ向きな自分がいた。
そんなとき、昇任試験を勧める上司の一言が胸に刺さった。「あなたが踏み出さない限り、次に続く女性社員のチャンスさえ奪ってしまう」。家族の応援も背中を押した。42歳で主任、44歳で課長になった。
国内外に生産拠点があり、電子・電池の開発、製造、販売を手掛ける会社で、品質管理の社員教育などに携わってきた。「会社が自分の力を生かせる環境を整えてくれたことも大きかった」と振り返る。
静岡で3年余りの単身赴任も経験。上司に認められたことがやりがいとなり、モチベーションを維持できた。
「女性は何かと卑下する傾向にあるが、やる気があれば、越えることができない壁はない」と強調。その前提となるのが職場と家族の協力だ。「“隠れ介護”などがないよう、苦しいことは声に出し、みんなで支え合える職場にしたい」と訴える。
今、部長職となり、約4千人の社員(女性約2割)がいるFDKグループ全体の女性活躍推進部署「ダイバーシティ推進室」室長を兼務。女性管理職をはじめ、やる気を持って研修に参加する女性社員の数も増えてきた。着実に社内の“空気”が変わりつつあることを実感している。
【写真説明】資料を見ながら仕事の打ち合わせをする野澤さん(中央)
(平成30年6月21日(木)掲載)