女性初船長へ技術と経験積む
岩美町の浦富海岸を海上から楽しめる観光遊覧船の船長候補。女性の船長は1963年の会社設立以来、初だ。「海に関心があって、お客さまに喜んでもらうのが好きなら、女性にも可能な仕事」と、きりりとした表情で操舵する。
海外で4年、町内で2年続けたスキューバダイビングのインストラクターでサービス業の楽しさを知った。1年前、この会社の船長候補の求人を知り、応募。新たな世界へ踏み出した。
遊覧船を安全に運航し、航路上に次々と現れる見どころの船内放送も行う。他のスタッフと連携し、運航前の改札や乗客のサポート、船の清掃なども手早く対応する。
所定の資格を取得した3月以降、突如のコロナ禍で休業が続くも、「しっかり練習する時間に充てる時」と乗客のいない船で先輩と実践練習を始めた。
乗客の命を預かる使命に性別は関係ない。その気持ちは先輩も同じ。コース特有の運航技術、荒天準備時の力仕事、整備作業の知識も、女性だからと遠慮することなく教えてもらっている。「丁寧な指導に応えたい」と、何度も確認して頭にたたき込む。
「来春の独り立ちは確実。全国の観光地でも女性船長が活躍中で、彼女もきっとできる」と川口博樹社長も太鼓判。訪れた人に満足してもらえるクルージングを提供できるよう、技術と経験を積み重ねる。
【写真説明】 先輩の船長(手前)の指導を受けながら、運航経験を積む田村さん
(令和2年7月31日(金)掲載)