特集/「いざ」に備え、意識高めよう~いつでも起こり得る地震に対策を~

  今年3月、「東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)」(2011年)の発生から10年を迎えます。この間、県内でも鳥取県中部地震(2016年)が発生。身近で地震の脅威を実感させられました。災害はいつ起こるかわかりません。この機会に「備える意識」を高めることが大切です。

道路の落石の写真
つぶれた神社の写真
落石が相次いで道をふさぎ、神社は無残につぶれた(2000年、鳥取県西部地震)

土壁が剥がれ落ちた店舗の写真
土壁が剥がれ落ちた倉吉市の店舗(2016年、鳥取県中部地震)

原子力防災や被災者支援

  未曾有(みぞう)の被害をもたらした東日本大震災の際、東京電力福島第一原子力発電所では、巨大な津波により、電源設備や非常用発電機が使えなくなりました。その結果、原子炉の冷却ができなくなり水素爆発が発生し、放射性物質が放出される重大事故が起きました。周辺地域の住民の中には、長期間の避難生活を強いられた上、いまだに元の暮らしを取り戻せない人が多数います。
  島根原子力発電所から30キロメートル圏内に、境港市全域と米子市の一部が含まれる鳥取県は、2011年12月、原発事故に備えていち早く、中国電力株式会社との安全協定を締結しました。その後も地震による原発事故を想定した訓練の定期的な実施や、「原子力防災ハンドブック」の発行など、さまざまな原子力防災の取り組みを進めています。
  県内でも2016年には、マグニチュード6.6の県中部地震が発生し、約1万5千棟の家屋が損壊しました。その際に、「震災復興活動支援センター」が中心となり、被災者に寄り添った「災害ケースマネジメント」を実施。これは、生活の再建が困難な被災者一人一人の状況やニーズを聞き取り、解決策を提案して復興を支援するもの。住宅の修繕が進まない世帯のサポートを行いました。今後の災害に備えて全県での展開を目指します。

意識高め、いま一度確認を

  県中部地震のほか、さかのぼれば県内でも鳥取県西部地震(2000年)、鳥取地震(1943年)と、大きな地震が発生しており、明日にでも身近で起こる可能性があります。建物の耐震化や家具の転倒防止などを、いま一度確認しましょう。日頃の備えが命を守ります。
  一方、新型コロナが収束していない今、避難所の感染症対策は必須。各市町村では、間仕切りや消毒液など、避難所の感染症対策の強化を進めています。家庭でもマスクや消毒液などの衛生用品を災害時用に備えておくと安心です。

島根原子力発電所の事故を想定した訓練の様子
島根原子力発電所の事故を想定し、災害対応の訓練を行う県職員

災害時もコロナ対策を実践

鳥取市危機管理課 参事
岸本(きしもと) (まこと)さん
岸本誠さんの写真

  鳥取市は昨年5月、コロナ禍での災害を想定した訓練を実施しました。その際には、避難者受け入れ時の検温、避難者同士の距離の確保、発熱者専用スペースを設けるなどの対策を講じ、手順や方法を確認、問題点を探りました。この訓練を踏まえて、感染症に対応した避難所開設マニュアルを作成し、各地域の自主防災組織に配布。地区防災研修会でも感染対策を周知しています。
  さらに避難所の密を避けるため、私立学校や民間宿泊施設などと協定を締結し、避難場所の拡充を進めています。

避難所の区画を計測している様子
避難者同士が一定の距離を保てるように、区画を計測する職員たち(写真提供は鳥取市)

段ボールベッドの組み立て練習の様子
段ボールベッドの組み立て練習。じかに床に寝るより、飛沫が付着したほこりを吸い込む危険性が減る(写真提供は鳥取市)

原子力事故を想定、訓練や啓発活動

  境港市全域と米子市の一部が2012年、国の原子力災害対策指針でUPZ(緊急防護措置を準備する区域)(原子力施設の状態や緊急時モニタリング(放射線または放射能の測定)の結果に基づき、屋内退避や避難などを準備する区域)に定められました。そのため、県は13年4月に「原子力安全対策課」を設置し、体制を強化。原子力に関する安全対策や普及啓発を進めています。

■原子力防災訓練
  UPZ圏内の住民は、原発事故が発生した場合、事故の状況に応じて早急な屋内退避や避難が必要です。そこで県はUPZ設定に先行して、11年から、島根県や市町村と合同で原発事故を想定した防災訓練を実施。12年からは地域住民も参加し、避難手順を確認する訓練も行っています。
放射線量測定の訓練の様子
避難する住民の車の放射線量を放射線測定器で測定する訓練

■原子力防災講演会・現地研修会
  放射線の基礎知識や放射線被ばくによる人体・環境への影響などを学ぶ講演会・研修会を、年間を通じて開催しています。原子力災害への理解を深めることが、災害時の適切な対応や行動につながります。

■原子力防災ハンドブック
  原子力災害の特徴や放射線の基礎知識、日頃からの備えなどをできるだけ分かりやすくまとめた「原子力防災ハンドブック」を作成し、各戸に配布しています。令和3年版は3月下旬に配布予定。ウェブページでも確認できます。(A4版28ページ)
原子力防災ハンドブックの写真

【問い合わせ先】 県庁原子力安全対策課
電話 0857‐26‐7974 ファクシミリ 0857‐26‐8805
http://www.genshiryoku.pref.tottori.jp/?view=6424

一人一人に合わせた支援で復興につなげる

公益財団法人とっとり県民活動活性化センター(震災復興活動支援センター)
主任企画員

白鳥(しらとり) 孝太(こうた)さん
白鳥孝太さんの写真

  震災復興活動支援センターでは、鳥取県中部地震で被災した家の屋根修理や生活の困り事などの相談を受けて、復興から取り残される家庭がないよう支援しています。
  地震から4年が経ち「震災はもう終わった」と思われることもありますが、昨年末の時点でブルーシートが残っている家屋は、約150棟。経済的な困窮や地域内での孤立、相談できる家族や友人がいないなどの理由で修理が進まない家もあります。
  県が3年前から始めた「災害ケースマネジメント」では、各家庭を訪問して困り事を伺い、県や市町村、社会福祉協議会などと連携しながら、一人一人に合った解決策を検討して提案。それぞれの困り事に応じて専門の人につなぎます。屋根の修理は、ボランティア団体に加え、瓦工事や建築の専門企業の協力で、本格的な修理以外に簡易な修繕の提案が可能になりました。福祉の専門職や弁護士、ファイナンシャルプランナーに相談に乗ってもらう場合も。
  活動する中で「訪問しても不在で会えない」「県の被災者支援制度として理解してもらえない」など、困難もありますが、近所の人や民生委員などの声かけによって、役場を通じて私たちに取り次いでもらえます。地元の企業、さまざまな職業や専門職の人、地域住民など、人々の協力を結び付けて、復興につなげることが私たちの役割だと考えています。

戸別訪問の様子
被災者宅を戸別訪問する白鳥さん(写真提供は公益財団法人とっとり県民活動活性化センター)

家具類の転倒・電気火災の防止を

  1995年の阪神・淡路(あわじ)大震災では、家屋の倒壊や家具類の転倒で多くの人が死傷しました。下のイラストを参考に、家庭にある家具の固定を確認してください。また、地震による火災の過半数は電気が原因。揺れを感知したら自動的に電気を止める「感震ブレーカー」を設置しましょう。

家庭での地震対策の例(イラスト)

住まいの耐震化へ費用を補助

  2000年に建築基準法が改正され、木造住宅の耐震化基準が強化されました。これ以前に建てられた木造住宅は、耐震性が不足している可能性があります。県は、市町村と連携し、耐震診断や耐震改修などの費用を補助しています。詳細はウェブページでご確認を。

助成対象
  2000年5月31日以前に建築された一戸建て住宅
助成額
  ○耐震診断 診断費用の3分の2以内(上限8万9千円)(設計図書がある場合は7万2千円)
  ○改修設計 設計費用の2分の1以内(上限12万円)
  ○耐震改修工事(一戸建て) 工事費用の5分の4以内(上限100万円)

【問い合わせ先】 市町村担当課または県庁住まいまちづくり課
電話 0857‐26‐7697 ファクシミリ 0857‐26‐8113
https://www.pref.tottori.lg.jp/item/1051159.htm#itemid1051159

【問い合わせ先】
県庁危機管理政策課(防災関係)
電話 0857‐26‐7584
県庁原子力安全対策課(原子力防災関係)
電話 0857‐26‐7974

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