当院は鳥取県東部に位置する、518床、39科11センターからなる総合病院で2018年12月に新築されました。血液内科病棟はその11階にあります。東側が一般病床(20床)のエリア、西側はISO7レベルの空気清浄度が確保される22床(全個室)のエリアです。西側は化学療法や原疾患により、白血球が減少して感染症合併リスクの高い患者さんの治療に使用します。そのうち2床がISO5レベルの無菌ユニット個室で同種移植の際に使用しています。
血液疾患は難治性で治療に長期間を要するものが多く、患者さんの精神的・肉体的負担は計り知れません。また休職など社会経済的な問題も生じます。血液疾患診療は医師のみでなく、歯科医師、看護師、薬剤師、検査技師、理学療法士、臨床工学士、放射線技師、歯科衛生士、栄養士、ソーシャルワーカーなど多職種が協力したチーム医療が不可欠な医療です。私たちはチーム一丸となって、当地域で血液疾患と闘われる方々のお役に立てるよう最大限の努力をしています。
あいさつ
造血幹細胞移植は白血病などの血液疾患に対する有効な治療法の一つです。『造血幹細胞移植医療体制整備事業』は、血液疾患患者全体の生存率の向上を目的とした厚生労働省の事業で、以下の体制の構築を目的としています。
(1)造血幹細胞移植を必要としている患者さんに対して、適切な時期に、適切な種類の移植を提供できる体制
(2)どこの地域にいても、誰でも、より安全に造血幹細胞移植を受けることができる体制
(3)造血幹細胞移植を受けた患者さんが、移植後も生活の質を保ち、長期フォローアップを受けることができる体制
(4)造血幹細胞移植を受けた患者さんが、地域で安心して暮らしを続けていくことが出来るよう、関係者と連携して、社会復帰できる環境整備を支援する体制
中国地方では、造血幹細胞移植推進拠点病院である岡山大学が中心となり、各県に『地域拠点病院』を設け、上記の目的に向けた努力が行われています。当院は令和2年度より鳥取県の地域拠点病院として、本事業に参加・協力しております。具体的には、人材育成(セミナー開催を含む)、コーディネート支援、地域の実情に応じた地域連携の推進などです。
鳥取県において、造血幹細胞移植を行っている基幹病院は県東部の当院と、県西部の鳥取大学病院、米子医療センターの3施設です。人口最少の高齢県であり、移植症例数も限られ、困難な点も多々ありますが、県内の移植治療を必要とする患者さんに、適切な移植医療の提供ができるように、体制の構築・維持・強化に努めてまいります。
血液内科 部長 田中孝幸