依頼主の魅力伝わる表現
相手の思いを丁寧に聞くところから全てが始まる。人や企業の魅力を文章で伝えるこの職業は、出合いと発見であふれている。
結婚し子育てに専念していたが、社会とのつながりを求めて、自宅でできる文字起こしの仕事を始めた。文章と向き合い、経験を積んだ後、フリーライターとして中国・四国の旅行情報誌の記事を書くように。11年前に広告、宣伝などの企画制作会社に入り、事務職をしながら鳥取県総合情報誌「とっとりNOW」や、県文化振興財団の情報誌「Arte」などの執筆を担う。文章を含む制作物に対応できることが同社の強みの一つで「喜びとやりがいになる」と話す。
取材時間は、1秒たりとも無駄にしない。「根掘り葉掘り聞き、一番よく見せられる表現を探る」と自分流のやり方を貫く。「代筆の立場」として、依頼主の思いをくみ、読み手に負担をかけない構成にする。ライター歴は約20年だが「今でも悩むことが多い」と難しさを感じる毎日だ。
リフレッシュになるのが、小学生の頃から続けている、なぎなた。県連盟の理事長として若手を育成しながら、全国大会に出場する現役選手。「一つのことに打ち込んで得られるものは大きい」という自身の経験から、娘2人の習い事を全力で支えた。大きくなってもバレエに吹奏楽、没頭できることがある娘たちの姿が誇らしい。
仕事と育児に忙しい日々だったが、最近、うれしいことがあった。「大学で小論文を書き始めた次女が私の文章を読み、ライターの意義を見いだしてくれた」と目を細める。家庭との両立は楽ではないが、「フリーであれば融通が利く。少しずつ知識と実力を高め、子育てが一段落する頃には大きな仕事も手掛けられる」と挑戦したい人へエールを送る。そして「私も求められる限り書き続けたい」と瞳を輝かせた。
【写真説明】「代筆する立場として、一番よく見える表現を探る」と話す鳥飼さん
(令和3年11月27日(土)日本海新聞掲載)