技術を磨き引き出し多く
2017年に米国から帰国後、県内で活動を開始。主に企業や自治体などの広告やウェブ用写真などオールラウンドに手掛ける。「プロは全然違った。これからもよろしく」。クライアントからのそんな言葉を増やして足場を固め、活躍の場を広げている。
高校時代に到来した女性カメラマンブームに引かれ、鳥取市内の写真教室へ通ったのがきっかけ。大阪芸大写真学科在学中に出品した公募展での受賞が縁で、卒業後は文藝(ぶんげい)春秋写真部へ入った。
料理、ポートレート、スポーツ選手と何でも撮影した。毎日写真に関わり、「技術も向上心も鍛えられた」。いつしか編集者から指名されるまでになった。石川佳純さんなどの女性アスリートの写真群で、その年の雑誌掲載の優秀写真に贈られる「日本雑誌協会賞」で大賞も受賞した。
専門分野は持てなかったが、守備範囲の広さと引き出しの多さが強みに。「新しい挑戦を」と渡米した際も、カメラマンの仕事だけで生活できた。米国在住時に授かった4歳になる長女との現在の鳥取生活も支える。子育ては忙しいが、実母の手を借りつつ、徐々にペースがつかめてきた。娘と趣味のアウトドアを満喫する場にも事欠かず、ひとり親家庭の交流会立ち上げを機に友人が増えたのも心強い。
2年前、子ども写真部門を立ち上げた。成長の節目や行事など依頼者の希望の場所でロケ撮影する。子どもが自然な表情や動きで、型通りではない構図に収まる姿が好評で、手応えを感じている。撮影が天候に左右されないよう、スタジオも準備中だ。母親の仕事を理解し始めた娘に「働く姿を見せる機会を」との思いもある。「いつかは東京に」と脳裏をかすめていた気持ちも、コロナを機に一新した。人生を送りたい場所で、好きな仕事が続けられるよう、技術を磨き、環境を整えていくつもりだ。
【写真説明】「人生を送りたい場所で、好きな仕事を続けるために技術を磨き、環境を整えたい」と話す山田さん
(令和3年11月27日(土)日本海新聞掲載)