新しい働き方見つけていく
さまざまな建物を用途に応じて設計し、建築が始まると監理も担当する。手掛ける建物は公共施設や民間施設など多くの人が利用している。
約10年前に1級建築士の資格を取得。以前は女性の建築士が少なく、打ち合わせの際も技術者と認識してもらえないこともあったが、資格取得後は変わった。大きな転機は大型事業の担当になり、県外の大手設計事務所との共同企業体(JV)での経験。初めは気後れすることもあったが、事務所の大きさやレベルは違っても手掛けている仕事は同じ。コミュニケーション能力と真摯(しんし)に向き合う力があれば通用すると実感し、自信が付いた。
父が建築士で、幼い頃から働く姿を見てきて身近な職業だった。「人生全てが生かせる素敵な仕事」と自然と父と同じ職業を選択していた。ユーザー目線を忘れず、自身の人生経験が生かせることにやりがいを感じている。経験年数と共に責任も重くなるが、その分達成感は大きい。
結婚し、現在子育て中。やりがいのある仕事をどんどんしたい思いと、もっと子どもと一緒に過ごしたい思いが交錯し、もどかしく感じることもある。しかし、家族の協力と理解ある職場のおかげで、子育てと仕事を両立させている。
「私は職場の仲間や家族に恵まれてのびのび仕事ができているが、必ずしもそうでない人もいると思う」と話す。女性の建築士が増えてほしいと思う一方で、現状では厳しい面も感じている。「今後、私たち世代がITなどを活用しながら新しい働き方を見つけていき、若い人たちが活躍できる業界にしていきたい」と話し、そのための環境づくりを模索していく。
【写真説明】事務所で打ち合わせをする山下さん(左)
※写真撮影時のみマスクを外しています
(令和4年2月16日(水)日本海新聞掲載)