1.PCBとは
○PCBの性質
水に極めて溶けにくく、沸点が高いなどの物理的な性質を有する主に油状の物質です。
また、熱で分解しにくい、不燃性、電気絶縁性が高いなど、化学的にも安定な性質を有することから、電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙など様々な用途で利用されてきましたが、現在は製造・輸入ともに禁止されています。PCBとはポリ塩化ビフェニル化合物の総称であり、その分子に保有する塩素の数やその位置の違いにより理論的に209種類の異性体が存在し、なかでも、コプラナーPCB(コプラナーとは、共平面状構造の意味)と呼ばれるPCBの毒性は極めて強くダイオキシン類として総称されるものの一つとされています。
○PCBの毒性
脂肪に溶けやすいという性質から、慢性的な摂取により体内に徐々に蓄積し、様々な症状を引き起こすことが報告されています。
PCBが大きくとりあげられる契機となった事件として、カネミ油症事件があります。この事件は、米ぬか油(ライスオイル)中に、脱臭工程の熱媒体として用いられたPCB等が混入したことが原因で、昭和43年10月、西日本を中心に広域にわたって、米ぬか油による食中毒が発生しました。当時の患者数は約1万3千名に上ったと言われています。一般にPCBによる中毒症状として、目やに、爪や口腔粘膜の色素沈着などから始まり、ついで、座瘡様皮疹(塩素ニキビ)、爪の変形、まぶたや関節のはれなどが報告されています。
○PCB(コプラナーPCB)の発生源
ダイオキシン類の主な発生源は、ごみ焼却などの燃焼によって発生することが一般に知られていますが、その他製鋼用電気炉、たばこの煙、自動車の排気ガスなど様々な発生源があり、いずれも意図的に製造したのではなく、非意図的に生成されたといえます。
一方、PCBに含まれるダイオキシン類であるコプラナーPCBについては、前述のようにごみ焼却によって発生することが判明しているほか、トランス、コンデンサ等の紛失・不明による機器内に含有していたPCBの流失が環境中に存在している要因の一つではないかとの指摘があります。
2.PCB廃棄物を保管する事業者に課せられる規制
○保管及び処分の状況の届出
PCB廃棄物を保管している事業者は、毎年度、そのPCB廃棄物の保管及び処分の状況に関して都道府県知事(保健所を設置する市にあっては、市長。以下同じ。)に届け出なければなりません。
なお、都道府県知事は、毎年度、事業者から提出された上記保管等の届出書について、PCB廃棄物の保管及び処分の状況を一般に公表することとなっています。
○期間内の処分
事業者は、法律が施行された日(平成13年7月15日)から15年の期間内に、PCB廃棄物を自ら処分するか、若しくは処分を他人に委託しなければなりません。
なお、環境大臣又は都道府県知事は、事業者が上記期間内の処分に違反した場合には、その事業者に対し、期限を定めて、PCB廃棄物の処分など必要な措置を講ずべきことを命ずることができます。
○譲渡し及び譲受けの制限
何人も、PCB廃棄物を譲り渡し、又は譲り受けてはならないこととされています。
○承継
事業者について相続、合併又は分割があったときは、相続人、合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人又は分割によりその事業の全部を承継した法人は、その事業者の地位を承継するものとされています。事業者の地位を承継した者は、その承継があった日から30日以内に、その旨を都道府県知事に届け出ることになっています。
○特別管理産業廃棄物管理責任者の設置
PCB廃棄物の処理に関する業務を適正に行わせるために、事業所ごとに廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく「特別管理産業廃棄物管理責任者」を置かなければなりません。
PCB対策については、
県庁循環型社会推進課のホームページもご覧ください。