緊張感絶やさず全力で
暑さ寒さが容赦ない整備場で、車の隅々まで不良箇所に目を光らせる。工具を握る手は汚れもいとわない。整備士になって9年。ベテランスタッフや先輩に交じって、繊細な作業も、力を必要とする作業も、丁寧にこなしている。
高校3年の就職活動で頭にあったのは「車に関われる仕事ができないか」。父の影響で小学生の頃からスポーツカーなど車を見るのが好きで、学校に届いた求人の中で見つけたのが現在の職場だ。
給油の接客から始まり、レンタカー対応、自動車の販売と多岐にわたる業務を一つ一つ覚え、5年ほどたった頃だ。タイヤ交換やオイル交換といった軽整備を経験し、車の仕組みも分かってくると、整備士を目指したい気持ちが湧いてきた。
会社側も取得を勧めてくれ、筆記試験と半年間の講習を経て、3級整備士資格を取得。男性が多い現場だが「まずやってみよう」と分け隔てなく任せてくれるため、順調に経験を積んでいる。時折、女性に任せることに不安げな雰囲気が利用者から伝わることもあるが、行き届いた整備で応えようと全力で取り組んでいる。
現在は2級整備士資格の取得を目指している最中。3級取得に挑戦している後輩の女性社員も出てきて心強い。エンジンの載せ替えといった、大がかりな整備も任されるのが目標だ。
「大きく捉えれば、車の整備は、お客さまの命を預かっているようなもの。毎回気持ちが引き締まる」。今日も緊張感を絶やさず、安全に走行する車両に仕上げている。
【写真説明】いつまでも緊張感を絶やさず、整備する坂本さん
(※撮影時のみマスクを外しています)
(2022年08月31日(水) 日本海新聞 掲載)