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肺がんは急速に増加の一途をたどり、がんによる死亡の第1位(2021年)となっています。この死亡率の高い肺がんですが、早期発見、早期治療すれば80%以上が治癒します。検診で少しでも異常があれば、胸部CT検査を受ける必要があります。また喫煙者は喀痰検査も受ける必要があります。そして気管支鏡検査、経皮肺生検で肺がんの確定診断をつけるのですが、大変に小さい病巣の時には、これらの検査でも正確な診断が得られないことがあります。そのような時は胸腔鏡を胸腔内に入れて小病巣を切除して診断をつけて、引き続き肺がん根治手術を行うこともまれではありません。
治療については、手術治療、放射線治療、抗がん剤による化学療法がありますが、肺がんの組織型と進行度と年齢等によりいろいろ組み合わせて行われます。特に治療効果の高いものが手術です。この手術もかつては約30cmの手術創でしたが、現在は、約5cmの小手術創で、胸腔鏡下に肺がん根治術が行われます。
この手術の利点は、手術創が小さいので痛みが少なく回復が早いこと、そのために術後の入院期間が短いことです(7~14日)。しかしすべての肺がんにこの胸腔鏡下手術が可能というわけではなく、肺がんの大きさが約3cmまでのものに適応されます。つまり、できるだけ小さい早期肺がんを発見して、回復の早い胸腔鏡下肺がん根治術を受けることが肺がんを治すために重要なことです。また抗がん剤とその関連薬剤の進歩でいろいろな治療法の選択が広がっています。個別化治療といって肺がんの組織型のみならず遺伝子検査を行い、個別に最も効果のある薬物を使用することができるようになりました。担当医とよく相談して患者様ご自身にとって最も適している治療法を決定していくことができます。
当院では、平成元年より平成27年までに859例の肺癌切除手術を施行しています(図1)。
手術症例の全体の5年生存率は63.9%です。病期別では1A期(379例):85.9%、1B期(176例):71.6%、2A期(84例)53.3%、2B期(62例):51.2%、3A期(84例):25.9%、3B期+4期:11%です。
また、平成17年から平成27年までの10年間の肺癌手術成績をみると5年生存率は75.4%と上昇しております(図2)。さまざまな理由で手術を受けることができなかった患者様の5年生存率は4.4%でした。やはり早期発見早期手術が肺癌を治すのには必要です。

肺がん手術症例病期別5年生存率 (gif:17KB)

肺がん切除と非切除症例の5年生存率 (gif:16KB)

 

従来の後側方開胸手術に比べ、傷跡が目立ちません。

後側方開胸手術後(左胸)

後側方開胸手術後

胸腔鏡下手術後(右胸)

 腹腔鏡下手術後


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