部下が育つ環境づくり
「お客さまの思い出を輝かせ、人生に彩を添えるお手伝いができる楽しい仕事」-。温泉旅館で食事の提供・後片付け、部屋の点検・案内など接客の最前線に立つ。
入社11年目。予約課、フロント課を経て、おもてなし課の主任を3年務めた後、係長に昇格して1年半が過ぎた。正社員のほか、パート・派遣社員を含め繁忙期には20、30人体制になる大所帯を切り盛りする。
マニュアルもなく先輩の見よう見真似だけで育った自身の経験から、新人でも一通りの仕事の流れがイメージしやすい動画アプリなどを作成し、社員教育のスピードアップに力を注ぐ。さらに教え漏れを防ぐため、教育チェック表を昨年導入。誰もが長く働きやすい職場環境を目指す。
人を育てていく立場になり、部下の成長のチャンスを奪わないことにも気を配る。「任せた仕事をちゃんと見守ることができているか、任せきりになっていないか」。自問自答の日々が続く。ミスをした部下には努力を怠ったためのミスか、頑張った結果のミスか、常に確認し、信頼関係の構築にも余念がない。
「自分で直接対応できるお客さまは一日10人が限界。課のみんなが自信を持っていい笑顔になれば、200人、300人のお客さまに満足していただける。それは会社のためになるだけでなく、従業員満足度も上がることにもつながる」と力説。「そのためにも、みんなのサインを見逃さず、感受性豊かに働ける職場にしていきたい」とほほ笑む。
【写真説明】
客室で接客する山本さん。「良い思い出づくりのお手伝いができるチャンス」と話す。
[令和5年11月18日(土)日本海新聞掲載]