インフルエンザは、かぜなどを引き起こす細菌よりも小さな「ウイルス」という病原体が、体の中に入り込んで起きる病気の一つです。熱やせきなど、かぜと症状が似ていますが、全く別の病気です。
インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型の3種類があり、日本で冬にはやるのは主にA型のインフルエンザです。A型インフルエンザも細かく分類され、この中で人間がかかるとわかっているものは、H1N1(ソ連かぜや2009型)、H2N2(アジアかぜ)、H3N2(香港かぜ)の3種類があります。現在流行しているのはH1N1(2009)型やH3N2香港かぜです。またB型も流行することがあります。
感染することで身体につくられる免疫は同じ型のインフルエンザには有効でも、違う型のインフルエンザには機能しません。従って、A型とB型のインフルエンザが流行した場合、両方に感染する可能性があります。このことは新型インフルエンザが発生した時にも当てはまり、通常のインフルエンザと新型インフルエンザ両方に感染することもありえます。
インフルエンザウイルスは人間だけでなく、ニワトリやブタ、アザラシやクジラもかかります。また野生水鳥は発症はしませんが、A型ウイルスを体内に保有していていると考えられています。
インフルエンザウイルスは毎年、少しずつウイルスの性質を決める遺伝子が変化(変異)します。後で説明するワクチンを毎年接種する必要があるのは、このためです。
また、ウイルスが大きく変質(突然変異)する場合、これを「新型インフルエンザ」と呼びます。大正7年(1918年)頃に発生した「スペインかぜ」や、平成21年(2009年)春に発生したH1N1(2009)型は、世界中で流行し多くの患者が発生しました。これらもインフルエンザウイルスの突然変異型、「新型インフルエンザ」です。