防災・危機管理情報


ズワイガニの雄の写真
              雄
ズワイガニの雌の写真
              雌

標準和名 ズワイガニ
学名 Chionoecetes opilio
地方名 松葉がに…大きくて甲羅の硬い雄
若松葉、水ガニ…脱皮後まもない甲羅の軟らかい雄
親がに…雌
分布 日本海側では水深約200~500m
産卵期 初産6~7月、経産2~4月
食性 クモヒトデ、イカ、魚、カニ(共食い含む)など
漁法 沖合底びき網(一そうびき)
水揚港 網代漁港、鳥取港、境漁港

























松葉ガニの名前はなぜ?
 山陰地方では、標準和名でズワイガニを松葉ガニという地方名で呼んでいます。
 しかも、松葉ガニという呼び名が雌雄を含めて総称となる場合と、食用利用面から雄を「松葉ガニ」、雌を「親ガニ」または「子持ガニ」、雄の脱皮したてのものを、「若松葉ガニ」などと呼ぶ分割名があります。
 また、松葉ガニの名の由来は、細長い脚の形や、脚の肉が松葉のように見えるという形状説と、漁業者が浜で松葉を使用して焼いて食べたという利用説などがあります。
*子持ガニを卵の発生順序にしたがって、アカコ、クロコ」と区別することもあります。

本当のカニとうそのカニ?
 カニは甲殻類に属し、大きくカニ、エビ、ヤドカリの仲間に分かれますが、いずれも1対のはさみと4対の歩脚をもっていることで十脚類(目)にまとめられています。
 この中でカニとヤドカリの仲間は区別が難しく、ヤドカリの仲間でありながら、カニと名付けられたものに、タラバガニ、ハナサキガニ、イバラガニ、イガグリガニなどがあります。本当のカニと異なるの点は、4本目の歩脚が退化していることです。

カニの大きさくらべ
 カニ類は世界に約6,000種、日本に約1,000種が知られていて、形態や大きさも様々です。小型のものとしては、甲幅(左右最大幅)2~3mmのヤワラガニ類やカクレガニ科のマメガニダマシ、大型のものでは甲幅60cmのオーストラリアオオガニがあります。歩脚の長さでは、脚を広げて測定すると3mを超えるタカアシガニがチャンピオンです。
*日本海で漁獲された松葉ガニの甲幅は18.7cmが最大記録です。

ズワイガニの一生
 ズワイガニの卵が孵化すると小さなプランクトンとなって海中へ放出されます。このプランクトンは約1ヶ月かかってプレゾエアからゾエアに脱皮変態し、さらに1ヶ月ほどでメガロパというエビに似た形の幼生になり、また1ヶ月かかって初めてカニの形をした稚ガニとなって、海底生活に移ります。このときの甲幅は2~3mmで、世界最小のカニと同じぐらいですが、その後も脱皮を繰り返し、10回目の脱皮で成体となります。
 このときの雌の甲幅7~8cm、雄の甲幅7~12cmとなり、雄の腹節(ふんどし)は三角形で幅がせまく、雌の腹節は卵を抱くために半円形となって腹部を覆うようになります。
 雄はさらに脱皮を繰り返して成長しますが、雌は産卵を繰り返すため脱皮のゆとりがなく、だんだんと雌雄の大きさに変化がついてきます。


ズワイガニの住みか
 ズワイガニは、日本海の水深200~400mの大陸棚斜面に広く分布していますが、特に能登半島沖~若狭湾~隠岐諸島周辺の海域に多く、太平洋側では、千葉県以北が生息地となっています。
 海外では、ベーリング海、オホーツク海、北部太平洋及び北大西洋の北アメリカ大陸側にも分布しています。
 しかし、一生を通して同じ場所に生活するのではなく、プランクトン時代を終えると、稚ガニとなって水深250mより深い海底に落ち着き、成体となる1年前には230m前後の深さの海底へ雌雄1:1の割合で大群となって集まり、翌年ここで産卵します。産卵後は、雌雄が別々に生活するようになり、雄は300~400mの海底へ移動していきます。
 ただし、これは日本海での例で、冷水(1~3℃)を好むズワイガニは、水温の低いオホーツク海などの北方の海では、水深100mのところでも生息が可能です。


産卵の秘密
 ズワイガニは甲幅5~6cmで生殖が可能になり、雌は雄に助けられながら採集の脱皮を終え、直ちに交尾、続いて初産卵を行います。産卵後の卵は、腹節(ふんどし)に抱きかかえられ1年半を経過すると、プレゾエアというプランクトンになって水中へ出て行きます。これを放卵といいます。つまり、産卵というのは体内にある紅色の卵が腹節(ふんどし)の内面にある腹肢の剛毛に粒となって付着することで、このまま孵化するまで抱卵され、孵化と同時にプレゾエアとして放卵されるのです。
 隠岐諸島周辺の調査では、初産卵は7~9月で、2回目以降の産卵(経産卵)は1~3月に行われています。放卵が終わると短期間の内に産卵が行われ、経産ガニは、1年間抱卵の後に放卵し、また産卵、放卵とを繰り返すため、生涯卵を抱いたままの生活を送ります。水槽飼育では、5年間連続して交尾なしの産卵が観察さrていますが、これは、第1回目の交尾のときの精子が雌の体内にある貯精のう(精子を貯めておく袋)に保存され、少しずつ使用されるからです。
 こうして一度に生み出される卵の数は7~10万粒で、雌の生涯の産卵回数は5回(5年)くらいだと考えられます。自然界では、雄と出会えば再交尾を行うものと思われます。

 
 

 

  

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