平成19年12月26日、国の世界文化遺産特別委員会で継続審議案件となっている「三徳山」の世界遺産登録を目指し、鳥取県と三朝町が共同して次のとおり提案書の再提出を行いました。
◇提案書の概要等(Word)
提案書の概要、今後の見通し等は次のとおりです。
1 昨年提出の提案書に対する世界文化遺産特別委員会の見解(課題)
山岳修験の場として急峻な地形と独特の意匠・構造を持つ建築が調和し、神仏習合が進んだこ
とを示す事例として価値は高い。現時点での個別の課題は次のとおり。
・主題及び顕著な普遍的価値について検討が必要。
・山岳修行の観点から、本資産の位置付けについて検討が必要。
・三徳山のみの資産構成が適切であるか否かについても検討が必要。
・既登録の「紀伊山地の霊場と参詣道」と主題が類似する。また、信仰関連遺産としては、他の提
案の中に主題の類似するものがある。
2 再提案にあたっての変更点等
・主題を明確にするために「三徳山-信仰の山と文化的景観-」に変更する。なお、三徳山の主
題、普遍的価値を説明するために、その歴史的背景として、伯耆国分寺跡や上淀廃寺跡、大山
等をとりあげる。
・資産の範囲を国名勝小鹿渓や未指定地を含む広義の三徳山全体に拡大し、周辺にバッファゾー
ン(緩衝地帯)を設定する。
・保存管理計画(未策定)の方向性を提示する。
・顕著な普遍的価値を証明するための調査、研究を継続する。
3 提案書要旨
(1)構成 (1)提案のコンセプト、(2)資産に含まれる文化財、(3)保存管理計画、
(4)世界遺産の登録基準への該当性
(2)主題 「三徳山-信仰の山と文化的景観-」
○三徳山は信仰の場、宗教施設群としての歴史的価値が高いだけでなく、「人と自然との調
和」という思想が通底する信仰の空間として、時代を越えて人と自然との関わりを表現した
顕著な文化的景観である。
○神仏習合に表れた三徳山信仰の中核をなす行者道と建造物群は、優れた設計思想のもと
に、信仰の基盤をなす自然環境との調和を見事に実現しており、人類の創造的才能を示し
ている。
(3)資産構成
名勝及び史跡三徳山、名勝小鹿渓、国宝投入堂をはじめとする仏教建造物群ほか
○三徳山特有の自然環境とその中に育まれた信仰空間を構成資産とする。
○投入堂等の有形文化財はもちろんのこと、無形文化財、民俗文化財を継承していく場とし
ても評価していく。
(4)保存管理計画の方向性
三徳山全山(名勝小鹿渓の指定範囲等を含む)をコアゾーンとし、その周辺に中世三徳山領
を視野にいれたバッファゾーンを設ける。資産全体とこの周辺を含めた包括的な保存管理計画
の策定を検討する。
4 経過
平成18年 9月 文化庁から世界遺産暫定一覧表記載資産候補の提出についての照会
11月 提案書提出(三徳山他24件)
平成19年 1月 世界文化遺産特別委員会における調査・審議結果の発表
→「富士山」他3件が暫定リストに登録、「三徳山」他19件が継続審議案件
9月 新規案件13件が提出される
12月 再提案書を提出→平成20年1月から継続審議案件の審議開始
5 今後の審議等の見通し
・継続・新規案件について、専門的な観点から十分な審議を行うため、世界文化遺産特別委員会
の下に専門分野ごとに第1~第4までのワーキンググループ(以下「WG」という。)が設置され
る。
・各WGでは、以下の事項が審議される。
(1)地方公共団体からの提案案件に関する専門的な評価
(2)提案案件に盛り込まれている主題に関し、「顕著な普遍的価値」の観点から、主題が共通する
複数の資産相互の比較又は統合に関する検討の実施
(3)その他これらに関連する課題の検討
・「三徳山」は第4WGで審議され、ヒアリング等も実施される予定。
○第4WG:時代を超えて、人と自然との関わりを中心とする資産を審議
→特に、「宗教・信仰・習俗に関係する山岳・島嶼及び巡礼道・参詣道等の資産」に関する比較
調査を行う。
【新規案件】「天橋立-日本の文化的景観の原点」「阿蘇-火山との共生とその文化的景観」
【継続案件】「出羽三山と最上川が織りなす文化的景観」「霊峰白山と山麓の文化的景観」
「若狭の社寺建造物群と文化的景観」「三徳山」「四国八十八箇所霊場と遍路道」
「沖ノ島と関連遺跡群」「宇佐・国東半島八幡文化遺産」
「黒潮に育まれた亜熱帯海域の小島「竹富島・波照間島」の文化的景観」
※継続案件の担当については、今回の提案書再提出に伴い、再調整される場合がある。
「世界遺産暫定一覧表記載資産候補に係る提案書」(PDF)