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2022年12月2日

「難聴」は大きな認知症のリスク!年のせいにしないで対策を

【監修】鳥取大学医学部認知症予防学講座(寄附講座)浦上克哉教授

 難聴(聴力低下、聞こえの悪さ)は、認知症発症の最も大きなリスクです。年をとると耳が遠くなるのは当たり前のようですが、それが実は認知症になりやすくする最大の要因になっているということは、まだあまり知られていないのではないでしょうか。
 ここでは、なぜ「難聴」があると認知症になりやすくなるのか、どう対策すればいいのか、ご紹介いたします。

 

「難聴」が認知症につながる理由 (1)脳の活動が減る

 耳の聞こえが認知症につながると言っても、あまりピンと来ないかもしれません。実は大きく2つの理由があると考えられます。

 

 1つは、五感のうち「音」の情報が脳に入りにくくなるために、そのぶん脳が使われなくなるからです。「耳から外部の音の情報をキャッチする⇒内容を判断して、大切な情報と要らない情報を振り分ける⇒適切な対応をする」という一連のはたらきが減ってしまうために、脳が衰えやすくなるのです。

 ちなみに、周囲がうるさい中でも聞きたい声は聞き取れますよね。これは、たくさんある音の中から聞きたい声を脳が拾い上げるという作業をしているからです。耳をすませば、聞きたいものが良く聞こえるようになるのは、脳のおかげです。

 

「難聴」が認知症につながる理由 (2)コミュニケーションが減る

 2つ目の理由は、聞こえが悪い人は他者とのコミュニケーションが減りがちだからです。

 

 耳が悪い人には大きな声で話しかけますよね。しかし、いつも大きな声で話すのは疲れますから、話す内容が必要最小限になってきて、会話の機会が減ってしまいます。

 また、耳が遠い本人も、周囲が何を言っているのか分からず、何度も聞き直していることが心苦しく感じられます。しだいに他者と会話する、コミュニケーションを取ることがおっくうになり、家に閉じこもりがちになってしまいます。

 前回の記事で、他者とのコミュニケーションは最高の知的活動であり、認知症予防にとても良いことを説明しました。難聴はこの最高の認知症予防対策を妨げる原因となってしまうのです。

 

「難聴」対策をして、認知症を遠ざけよう

 認知症予防のためには、若いうちからなるべく難聴にならないように配慮し、もし聞こえが悪くなったら早めに補聴器を使うなどして対策しましょう。
 聴力低下を防ぐには、耳を使い過ぎないこと、耳の健康を守ることが大切です。具体的な方法をまとめてご紹介します。

 ・動画や音楽を大音量で聴かない

・動画や音楽を長時間にわたって聴き続けない(定期的に耳を休ませる)

・騒音や大音量のあるところに長時間いないようにする

・騒音や大音量のあるところでは防音具(耳栓、イヤーマフなど)を使用する

・静かな場所で耳を休ませる

・定期的に聴力検査を受ける

 もし、聞こえにくさを感じたら、そのままにせずに耳鼻科を受診してください。耳の病気を放置しておくと難聴が進んでしまうことがあります。

 年のせいでだんだん聞こえが悪くなってきたと感じたときも、やはり放置はしないでください。目が悪ければ眼鏡をかけるように、耳も補聴器を使って聞こえを改善することをおすすめします。補聴器はうまく聞こえるように調整したり、慣れたりするまでに少々時間がかかりますので、補聴器のプロと相談しながら慣れていくと良いでしょう。

 鳥取県には、補聴器を適正に選択して使用できるようサポートできる「補聴器相談医」が19名います(2022年8月1日現在)。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会で名簿を公開していますので、参考にしてみてください。また、公益財団法人テクノエイド協会が認定する「認定補聴器技能者」という資格を持つ販売員もいます。

 難聴は認知症発症の大きなリスクです。ぜひ「年のせい」などにして放置せず、難聴対策に取り組むようにしてくださいね。

 

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<参考文献>
浦上克哉:科学的に正しい認知症予防講義. 翔泳社, 2021

長寿社会課 2022/12/02 | コメント(0)


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