【監修】鳥取大学医学部認知症予防学講座(寄附講座)浦上克哉教授
鳥取県の公式LINE「脳とからだの健康LINE」では、幅広い年代を対象として認知症予防に関する情報を定期的に配信しています(友だち登録はこちらから)。
このLINEでは、定期的に「認知症予防の目標を立てよう」と呼びかけています。具体的な目標を立てておいた方が実行に移しやすいですし、自分の頑張りを振り返りやすくなるからです。
ここでは、認知症予防のより良い目標を立てるときのポイントをご紹介します。
ポイント(1)適切な運動を組み込む
脳とからだの健康を守るためには、運動が欠かせません。普段から運動習慣がない方は、認知症予防の目標として適切な運動を組み込みましょう。
運動というと散歩やジョギングのような有酸素運動を思い浮かべる方が多いと思いますが、筋力運動(筋トレ)も大切です。筋トレと言っても、重いバーベルを持ち上げるようなハードなものをイメージしないでください。高齢者にとっては座位で太腿や足首を上げ下げするだけでも立派な筋トレになります。
「とっとり方式認知症予防プログラム」の運動を参考に、無理せず続けられそうな運動を目標に組み込んでみてくださいね。
とっとり方式認知症予防プログラム(運動:YouTube)
以下のリンクをクリックすると、運動の動画を見られます
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ポイント(2)知的活動を組み込む
脳に刺激を与える知的活動も目標に取り入れましょう。知的活動とは、楽器の演奏、絵画、料理、パズルなどのように、手先をよく使い、頭で考えることが必要な活動のことです。
運動と知的活動を組み合わせることもできます。散歩をしながら計算をする、筋トレをしながらクイズの答えを考えるなど、アイデア次第で面白い目標を立てられますよ。
ポイント(3)コミュニケーションの機会を作る
人とのコミュニケーションは、認知症予防にとても大切なことです。
普段からあまり他人と話すことがないならば、目標に他者とのコミュニケーションを入れてみましょう。すれ違った人に挨拶をする、店員さんに感謝の言葉を伝える、知り合いに連絡を取ってみるという程度でも構いません。
普段からコミュニケーションが取れている方は、よく知っている人だけでなく、知らない人との会話ができるような機会を作ると、より脳が刺激されますよ。
ポイント(4)定期的に外出できる用事を作る
定期的に外出できる用事を目標にすると、運動にもなりますし、人とのコミュニケーションを取りやすくなります。さらに、頭や手先を使うような用事であると、認知症予防の3本柱(運動・知的活動・コミュニケーション)をすべて含めることができます。
例えば、週に1回、地域の公民館に徒歩で出かけていって、楽器演奏の習い事をし、仲間とおしゃべりして帰るというのは、とても認知症予防に良い目標になります。ぜひご自身の好きなことで、ワクワクするような用事を見つけて、外出するようにしてください。
ポイント(5)達成しやすい目標にする
最後のポイントは、達成しやすい目標を立てることです。壮大な目標はかっこいいですが、実際に取り組むとあまりにゴールが遠く、続けるのが困難になります。少し頑張れば容易に達成できる小さな目標を立てるようにしましょう。
小さな目標は、1回1回は大したことがないですが、それを継続するのはなかなか難しいものです。続けていると、やがてそれは目標ではなく習慣となります。そうなれば次にもう少し大きな目標を立てても継続できるようになります。
――今回は認知症予防の目標を立てるときに大切なポイントを5つご紹介しました。規則正しい生活(食事・睡眠)を送ることを基本として、小さな目標を立てて継続するようにしてくださいね。
※生活を整えることの重要性については、こちらの記事(認知症を予防するには、生活リズムを整えよう!)で解説しています。