【監修】鳥取大学医学部認知症予防学講座(寄附講座)浦上克哉教授
「とっとり方式認知症予防プログラム」では、運動・知的活動・他者とのコミュニケーションの3本柱で認知機能を改善します。この3本柱に加えて、生活の中で気をつけると良いことについて、鳥取大学の浦上先生にお伺いしました。
認知症になりやすい生活をしない
現在、科学的に正しいと考えられる「認知症になりやすくなる要因」は12あります。
これらを生活の中から減らして、認知症になりやすい生活をしないことが、現時点においてベストな認知症予防の方法です。
生活リズムを整えて、規則正しい暮らしを
認知症になりにくい生活にするには、毎日のリズムを整えて規則正しい生活を送ることが基本となります。
例えば仕事を引退して、決まった時間に起きなくても良くなると、起床時間がだんだん遅くなってくる人が多いです。しかし、そのことが下記のような生活の乱れをもたらします。
朝遅く起きると、朝ごはんを食べない
→朝の服用を忘れる
→エネルギー不足でやる気が起きない
→昼間の活動量が少なくなる
→なかなか眠くならない
→質の良い睡眠がとれない
⇒朝起きるのが遅くなる……(繰り返し)
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実は、睡眠中にアルツハイマー型認知症の発症に関わるとされるアミロイドβが脳内から除去されます。認知症予防の観点からも、質の良い睡眠を適度に(6~7時間)とることが大切です。
ですから、朝決まった時間に起きて、3度の食事をきちんと摂って、夜によく眠れるように頭と身体をバランスよく疲れさせることが大切です。例えば、新聞や本を読んだり、パズルを解いたり、散歩したり筋トレしたり、色々な人と挨拶や会話をしたりすることです。
このように生活リズムを整えられた人は認知機能が向上することが多いと感じています。
実際に、認知症の発症の一歩手前である状態(軽度認知障害:MCI)であったAさんは、生活のリズムが崩れ、食事を抜くことがあり、高血圧や糖尿病の薬も忘れがちでした。そこで上記のようなことをアドバイスしたところ、食事を改善し、社会活動にも参加するようになりました。昼間に外出する用事ができて、生活リズムが整った結果、MCIではなく正常な認知機能を取り戻すことができました。
◆コーヒーやアロマがお好きなら試してみては?
認知症を予防するためには、生活リズムを整えることが基本です。そのうえで、もしコーヒーやアロマがお好きなら、認知機能に良いとされているものを取り入れてもいいかもしれません。
トリゴネリンという成分の入った「トリゴネコーヒー」というものがあります。トリゴネリンには神経細胞が他の細胞とつながるときに出す突起を伸ばす作用が確認されており、老化により神経細胞が減っても、神経同士のつながりをつくることで認知機能を保つ働きをすると期待されています。普通のコーヒーでトリゴネリンを摂るのは難しいので、トリゴネコーヒーと書かれた商品をお選びください。
また「浦上式アロマオイルを用いたアロマセラピー」もおすすめです。アルツハイマー病では、まず匂いを感じる神経(嗅神経)の働きが鈍ってきます。その次に記憶をつかさどる部位(海馬)が悪くなり、もの忘れなどの症状が出てきます。ですから、アロマで嗅神経を刺激して回復させ、海馬にまで病気がいかないように食い止める…という発想で作ったアロマです。浦上式アロマオイルは、昼は神経細胞を活性化する香り(ローズマリー・カンファー&レモン)、夜は神経細胞を癒す香り(真正ラベンダー&スイートオレンジ)をブレンドしています。
先ほど紹介したAさんも、トリゴネコーヒーやアロマセラピーを試してくださいました。生活習慣を改善するきっかけとして活用してみてはいかがでしょうか。