【監修】鳥取大学医学部認知症予防学講座(寄附講座)浦上克哉教授
認知症になりやすくなる大きな要因の一つに「社会的孤立」があります。ここでは、社会的孤立についての疑問にQ&A方式で解説します。
なお、どうして社会的孤立が認知症に悪いのか、どうすれば改善できるのかについてはこちらの記事(認知症のリスク因子である「社会的孤立」を防ぐには?)をご覧ください。
Q1 「社会的孤立」とはどのような状態のことですか?
社会的孤立とは「家族や地域社会との交流が、客観的にみて著しく乏しい状態」を指します。簡単に言うと「会話や相談できる相手がおらず、近所付き合いもない」ような状態のことです。
家族や友人、知り合い、地域の人々とコミュニケーションする機会がよくある方、何か困ったときに相談する相手がいる方は、社会的に孤立していません。たとえ一人暮らしであったとしても、気軽におしゃべりできる人が周りにいるなら、社会的孤立ではありません。
一方、同居する家族がいてもほとんど話さない、友人や知り合いとも疎遠という状態の人は、社会的孤立に陥っている可能性が高いです。
Q2 「社会的孤立」を解消するにはどうしたらいいですか?
近頃、コロナで取り止めになっていたイベントが再開されるようになってきました。4年ぶりの米子空港の航空祭には数多くの人が集まりましたし、鳥取しゃんしゃん祭、倉吉打吹まつり、米子がいな祭などのお祭りが各地で開催されます。このようなイベントに出かけていくと、他人と触れ合う良い機会となります。
世の中の雰囲気は少しずつ変わってきています。遠方に住む孫や親戚と会うことも、旅行に行くこともしやすくなっています。また、コロナのせいで止めてしまった習い事、運動、趣味、地域の集まりがあるなら、ぜひ参加してください。懐かしい友人と久しぶりに再会できるかもしれません。
とても良い認知症予防になりますので、感染対策をしながら、ぜひお出かけください。
Q3 他人と話す機会があまりないのですが、家族と話すだけでも認知症予防になりますか?
会話やコミュニケーションによっていかに脳を使うかが大切です。
身内だと相手のことを知り過ぎているため、容易に会話の先が見通せて、脳があまり働かなくても適当な返事ができてしまいます。予想がつかないことを話題にしたり、一緒にゲームやクイズなどをしたりして、脳をより使うように工夫してお話してみてください。
なお、認知機能が低下している方とお話をする際は、本人が理解しやすい内容になるよう配慮してください。普通の人は最近のニュースや流行りを話題にすることが多いですが、認知機能が低下すると最近の話題についていきにくくなります。昔の思い出、当時流行っていたものなどを聞いてあげてください。
Q4 直接会って話すのではなく、電話やメール、LINEのようなメッセージアプリでのコミュニケーションだけでも認知症予防になりますか?
最も悪いのは、1日中ずっと誰ともコミュニケーションをとらず、1人きりで過ごすことです。それと比べれば、電話やメール等をするのはとても良いことです。
もちろん、できれば直接会ってお話するのが最もおすすめです。なぜなら、言葉だけでなく非言語的コミュニケーション(表情やしぐさ等)によって脳が刺激されるからです。
しかし、様々な理由で会うことが難しいこともあるでしょうから、その際には電話やメール等で代替することは良い方法です。
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