新鳥取県史編さん事業では、県内の主要な古墳の測量調査及び未報告遺物や再実測が必要な遺物の図化作業を行っています。このたび、そうした調査成果を収めた下記の報告書を刊行しました。
書籍名
『古郡家1号墳・六部山3号墳の研究―出土品再整理報告書―』《完売しました》
参考
古郡家(ここおげ)1号墳
全長92.5mの因幡地方最大級の前方後円墳で、六部山3号墳に続く鳥取平野南部における有力首長墳。1957年に発掘調査が行われ、3基の埋葬施設が発見された。
六部山(ろくぶやま)3号墳
全長65.5mの因幡地方最古級の前方後円墳。発掘調査は未実施。
体裁 A4判 本文135頁、写真図版26頁
頒布価格 1,000円
内容
意義
- 等高線間隔25cmという精密な測量を行った結果、古郡家1号墳は平面形態が畿内地方の王陵クラスの古墳と類似することがわかった。
- 古郡家1号墳、六部山3号墳ともに丹後地方との関係が窺われる円筒埴輪を伴っており、その特徴から六部山3号墳、古郡家1号墳の順に築造されたことが改めて確認できた。
- これらのことから、鳥取平野南部における前方後円墳の出現と展開の背景には諸地域との政治的関係が存在することが推定でき、本書の刊行によって県内における古墳研究の基礎資料を提示することができた。
目次
はじめに
第1章 再整理・報告に至る経緯
第1節 『新鳥取県史』編さんの開始
第2節 再整理事業の概要
1 出土遺物再整理の経過と概要
(1)古郡家1号噴出土遺物の再整理/(2)六部山古墳群出土遺物の再整理
2 墳丘測量調査の概要
(1)古郡家1号噴の測量調査/(2)六部山3号墳の測量調査
3 報告書の作成
第2章 古墳群の位置と周辺の環境
第1節 古墳群の位置と地理的環境
第2節 古墳群周辺の歴史的環境
1 縄文時代以前
2 弥生時代
3 古墳時代
4 古代以降
第3章 既往の調査・研究史
第1節 古郡家1号墳の調査・研究史
1 前方後円墳としての認識(1924年)
2 古郡家1号墳調査団による発掘調査(1957年)
3 山陰考古学研究所による調査と整理
4 前方後円墳集成(1991年)以降の位置付け
第2節 六部山3号墳の調査・研究史
1 1924年の調査
2 山陰考古学研究所による調査と表採遺物
3 前方後円墳集成(1991年)以降の位置付け
第3節 関連する周辺の古墳群
1 六部山6号墳
2 六部山21号墳
3 六部山45~47号墳
第4章 古郡家1号墳の研究
第1節 墳丘
1 墳丘の現状
2 墳丘の観察
3 墳丘形態の復元
第2節 遺物各説
1 中央棺出土遺物
(1)棺の概要と遺物の出土状況/(2)突起付重圏文鏡/(3)玉類/(4)土師器/(5)鉄剣片
2 北棺出土遺物
(1)棺の概要と遺物の出土状況/(2)重圏文鏡/(3)長方板革綴短甲/(4)鉄剣/(5)鉄鏃/(6)工具/(7)堅櫛/(8)土師器/(9)棺内出土の板石
3 墳丘出土の埴輪
(1)墳丘における埴輪の出土状況/(2)円筒埴輪/(3)家形埴輪/(4)測量調査時採集の埴輪/(5)古郡家1号墳の家形埴輪の復元と位置付け
4 出土人骨
(1)南棺の概要/(2)南棺出土人骨/(3)北棺出土人骨/(4)人骨からみる葬送プロセスの推測
第5章 六部山3号墳の研究
第1節 墳丘
1 墳丘の現状
2 墳丘の観察
第2節 遺物各説
1 副葬品と考えられる遺物
(1)鑿頭式鉄鏃/(2)六神頭鏡
2 墳丘出土の埴輪類
(1)円筒埴輪/(2)埴輪棺/(3)鳥取市表採の円筒埴輪
第6章 関連する古墳、遺構出土遺物の再整理
第1節 六部山6号墳の出土遺物
1 六部山6号墳の概要
2 特製棺
3 円筒埴輪
4 小結
(1)特製棺の製作技法/(2)棺形態の復元/(3)特製棺の位置付け
第2節 六部山21号墳および八坂白越山古墳の出土遺物
1 六部山21号墳の概要
2 出土遺物
(1)珠文鏡/(2)土師器
3 八坂白越山古墳の出土遺物
第3節 六部山45、46号墳出土遺物の再整理
1 六部山45号墳の概要
2 棺内出土遺物
(1)四獣形鏡/(2)管玉/(3)鉄器/(4)土師器
3 因播型円筒埴輪
4 46号墳の概要
5 棺内出土遺物
(1)玉類/(2)土師器
6 因播型円筒埴輪
第4節 六部山5号墳下層土坑SK02出土の弥生土器
1 下層遺構群の概要
2 土器群の概要
3 土器群の評価
第7章 総括
第1節 古郡家1号墳について
第2節 六部山3号墳について
第3節 周辺の関連古墳について
第4節 まとめ
参考文献