平成25年10月3日
鳥取県人事委員会
本日、10月3日に、県議会議長及び知事に対して、次のとおり、職員の給与に関する報告及び勧告並びに人事管理に関する報告を行いました。
なお、勧告に当たり、お忙しい中、職種別民間給与実態調査に御協力をいただきました民間事業所の皆様には、この場をお借りし、改めてお礼申し上げます。
本年の給与等報告・勧告のポイント
●月例給の公民較差(△0.46%)の解消改定を見送り(据置き)・ボーナスを据置き
●初任層職員の給与改善及び高齢層職員の給与抑制措置の実施
- 本県給料表を現行の国俸給表に準じて構造的に改定(切替え)
- 55歳を超える行政職6級相当(課長級)以上の職員は給料月額から△1.5%の減額支給
- 昇格制度において、最高号給を含む高位の号給から昇格した場合の給料月額の増加額を縮減
●管理職手当の見直しと現行給料表構造(5級・6級間)の是正
- 管理職手当の支給区分・月額の見直し
- 5級相当(課長補佐級)と同6級相当(課長級)との間で昇任・昇格しても給料月額が十分に上がらない現行給料表の歪な構造を是正
1 給与決定の原則
地方公務員法第24条第3項は「職員の給与は、(1)生計費並びに (2)国及び (3)他の地方公共団体の職員並びに (4)民間事業の従業者の給与 (5)その他の事情 を考慮して定められなければならない」と規定しており、これらの判断基準を調査し、総合勘案した。
2 給与を取り巻く状況
(1) 民間事業所従業員の給与の状況
人事院と共同で県内の企業規模50人以上、かつ、事業所規模50人以上の213事業所のうちから147事業所を抽出し、従業員の個人別給与を実地調査して県職員と比較した。
<月例給・特別給(ボーナス)の公民比較>
区分
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県内民間(A)
|
県職員(B)
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公民較差(A-B)
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月例給
(平成25年4月分) |
333,577円 |
335,103円 |
△1,526円(△0.46%) |
特別給(平成24年8月~平成25年7月) |
3.89月分 |
3.90月分 |
△0.01月分 |
(注)月例給は、ラスパイレス方式による比較
(2) 国家公務員の給与の状況
- 人事院においては去る8月8日に、月例給、ボーナスともに据え置く報告を行った。
- なお、国では、昨年から臨時特例法に基づく平均約7.8%の給与減額支給措置が行われている。
<国公ラス(国=100)>
15年 |
16年 |
17年 |
18年 |
19年 |
20年 |
21年 |
22年 |
23年 |
24年
|
97.3 |
95.7 |
95.5 |
96.5 |
97.3 |
98.8 |
95.3 |
94.8 |
94.0 |
101.2
(93.6) |
(注1)平成15年から19年までは職員の給与カットを実施しており、そのカット後の額で比較
(注2)平成24年欄中( )内は、国の給与減額支給措置による減額前の額で比較
(3) 他の都道府県の職員の給与の状況
- 他の地方公共団体においては、概ね本県と同様に国と類似の給与制度をとっている。
- 本年の給与改定については、これまでに勧告のあった都道府県等の状況を見ると、概ねそれぞれの地域の実態を反映したものとなっている。
(4) 生計費及びその他の事情
- 勧告後の給与は、生計費を充足している。
- 民間における経済、雇用情勢等は、本年8月現在において、雇用面では製造業における所定外労働時間が8か月連続で前年比プラスとなり、新規・有効求人倍率は若干の前月比マイナスに振れるも高い水準を維持しており、全体としては改善の動きが続いている。
3 勧告に当たっての考え方
県内民間の状況、国や他の地方公共団体の職員給与、職員の士気の確保、公務への優秀な人材の確保、職員の労働基本権制約の代償措置であるという給与勧告制度の趣旨等を総合的に勘案し、次のとおり判断した。
(1) 月例給について
- 本年の公民較差△0.46%は、民間給与は昨年より僅かに上昇している一方で、県職員の平均年齢の上昇等により、給与の引下げ効果が十分に現れていないため生じているものである。
- また、年齢層別の公民の給与差は、20歳台ではほぼ差がないものの、その後は県職員が民間を上回り続け、50歳台ではその差が拡大するとともに、特にその後半では顕著になっている。
- このため、県職員の平均年齢の上昇等に伴い、今後とも一層較差が生じやすい給与体系となっている。
- さらに、初任層職員の給与水準は、国や他の地方公共団体と比べると低くなっており、民間と比較しても、他の年齢層に比べ相対的に低くなっている。
- このため、この公民較差が生じやすい給料表を構造的に改める必要があるとともに、初任層の給与の引上げを図る必要もあり、本年は、本県の給料表を、初任層を優遇しながら高齢層を抑制している現行の国最新俸給表に準じて確実かつ優先的に改定(切替え)することが急務であると判断した。
- また、この実施に伴い△0.46%の公民較差は解消改定を見送ること(据置き)とした。その理由は以下のとおりである。
- 民間給与は昨年より僅かに上昇していること
- 給料表の改定(切替え)に伴い、高位号給では公民較差△0.46%に相当する給与の引下げ改定になること及び職員の負担を軽減する必要があること
- 優秀な人材の確保、公務に精励している職員の士気の確保
- 国及び他の地方公共団体の職員の給与 などを総合的に勘案した。
- なお、この改定(切替え)により、初任層の給与は全国並になる。
(2) 特別給について
- 特別給については、本県の現行の支給月数は、県内民間事業所とほぼ均衡しているため、本年は特別給の支給月数を据え置くこととした。
(3) 高齢層職員の給与抑制措置について
- 高齢層を抑制している現行の国俸給表に準じた給料表への改定をしても、なお、公民の給与差が拡大する50歳台の給与抑制は必要である。
- このため、55歳を超える行政職給料表6級相当(課長級)以上の職員については、国に準拠 し、給料月額、管理職手当等について△1.5%の減額支給を行うこととした。
- 昇格制度についても、国に準拠し、最高号給を含む高位の号給から昇格した場合の給料月額の増加額を縮減するよう昇格後の号給を設定することとする。
(4) 管理職手当の見直しと現行給料表構造(5級・6級間)の是正について
- 行政職給料表5級相当(課長補佐級)と同6級相当(課長級)との間で昇任・昇格しても給料月額が十分に上がらない現行給料表構造の是正は喫緊の課題である。
- 一方、任命権者からは、管理職手当について、より実態に則したものに見直すべきとの課題認識も示されているところでもある。
- このため、行政職給料表5級相当と同6級相当との間にある給料表構造上の歪みの是正と併せ、管理職手当も含めて管理職員の給与を一体的に見直すことが適当であると判断した。
4 勧告の内容
(1) 内容
ア 初任層職員の給与改善及び高齢層職員の給与抑制措置について
- 給料表については、初任層優遇と高齢層抑制が進んだ現行の国俸給表に準じた改定を行う。
- 55歳を超える職員(行政職給料表5級及びこれに相当する職務の級以下の職員等は除く。)について、給料及び管理職手当を一定率で減額(△1.5%)する。
- 昇格制度については、最高号給を含む高位の号給から昇格した場合の給料月額の増加額を縮減するよう昇格時号給対応表の見直しを行うこととする。
イ 管理職手当の見直しと現行給料表構造(5級・6級間)の是正について
- 管理職手当について、管理職手当の区分、管理職手当の月額の見直しを行う。
- 現行の給料表構造(行政職5級相当と同6級相当部分)を是正する。
(2) 実施時期
平成26年4月1日
5 人事管理に関する報告
(1) 仕事と家庭生活の両立支援
- 男性の育児休業取得促進策も含め、引き続き両立支援への取組が必要である。
(2) 時間外勤務の縮減対策
- 時間外勤務の縮減は成果を上げつつあるが、引き続き実態把握を含めて改善していく必要がある。
(3) 労働災害の防止
- 法令遵守のみならず、快適な職場環境の実現と労働条件の改善に取り組む必要がある。
(4) 職員の健康保持
- 精神疾患は予防的な取組が重要であり、一層相談・サポート体制等を充実させる必要がある。
(5) 良好で働きやすい職場環境の確保
- ハラスメント対策の充実及び職場内のコミュニケーションの円滑化を図ることが必要である。
(6) 高齢期の雇用問題
- 雇用と年金の接続について、本県の実情を考慮した上で具体的な取組を進める必要がある。
(7) 非常勤職員等の勤務条件及び障がい者の雇用
- 非常勤職員等の勤務条件の見直しを継続する必要がある。また、障がい者の雇用の促進に向けた具体策が必要である。
(8) 能力・実績に基づく人事管理の推進
- 職員の意欲と能力を高め、組織の活性化と公務能率の向上を図るためには、能力と実績に基づく公正な人事管理を徹底する必要がある。
職員の給与等に関する報告・勧告の概要(PDFファイル、147KB)
職員の給与に関する報告及び勧告並びに人事管理に関する報告の本文
- 別紙1 職員の給与に関する報告
- 別紙2 職員の給与に関する勧告
- 別紙3 人事管理に関する報告
(PDFファイル、3,919KB)
参考資料(PDFファイル、1,103KB)
勧告のポイント(PDFファイル、265KB)
知事への勧告時委員長コメント要旨(PDFファイル、105KB)