先に述べたとおり、「顔が見えるネットワークで協働・連携」することにより県民の知恵と力を結集させて「活力あんしん鳥取県」を実現するためには、人口が少ない本県においては、地域全体の力を高め、地域の中で優れた「人財」を育てていく必要があります。
これまで本県では、知的情報・活動拠点としての図書館、博物館等の充実などにより、地域のことを自分たちで決める意識の醸成等に取り組んできているところであり、このような取組が地域力の向上につながって行きます。また、高等教育機関も、県内の産業振興、地域活性化を始めとする多様な分野で地域との連携を強めてきており、拡大しつつあります。今後、更に地域力を高めていくためには、例えば、学校自体も更に地域に開かれ、地域から信頼される「人づくり」に対する考え方を地域と共有するとともに、地域が学校を支援し、支えたり、地域が積極的に人づくりに取り組むなど、地域力で教育・人づくりを進める体制を整えていく必要があります。
また、若者も含め、従来よりも多様な各層の方が地域活動を行い、地域活性化に寄与するような環境や、仕事を退職して地域に戻った方やIJUターンをした方が、その豊富な経験や知識・技能を活かして、地域活動を行ったり、各種講座・催しの講師等になるなど、地域で活躍できる環境を整備するなど、「地域力」の底上げ・向上を図り、これを「人財」養成につなげていきます。
本県では、かつて「様々な分野において、地域住民が主体となって、地域資源を活用して地域の個性を促し、地域全体を振興・活性化させる全県的な地域運動」である「ジゲおこし運動」に取り組んだ経験があり、地域の力を結集させる素地があります。このような経験も踏まえ、新たな地域づくり・ネットワークづくりを全県で展開し、本県に居住されている方々はもち論のこと、県外から本県に移住してきた方々、本県とつながりのある県外の方々も活動に加わりやすい開かれたネットワークの中で「人財」養成を進めていきます。
豊かな自然に恵まれ、都市地域でも中山間地域と比較的近接した距離にある本県で生まれ育つ子どもたちは、幼少期から、様々な体験を積み、仮想的なものでなく、自然など本物に触れて考える機会を多く持っています。また、小学校・中学校では少人数学級によりきめ細かい人づくりを行い、「朝読」(学校で行う朝の読書運動)等により子どものときから読書習慣を身に付けるとともに、自ら学ぶ能力を養うため、この時期から高校にかけて、学校図書館を充実してきています。
また、本県の子どもたちは、幼少期から、清掃活動などボランティア活動に参加したり、また、学校行事等において環日本海諸国を始めとした外国人の方と触れ合う機会を多く持っています。安全で安心できる、本県の豊かな農林水産物を使った、家庭や学校給食等における食を通じて、幼少期から本県の「食」・食文化に触れる機会も増えつつあります。地域の中で伝統行事・伝統文化などにも触れ、また、地域のネットワークの中で大人に混じって活動する機会も多くあります。
このような鳥取県で生まれ育つことの特長、長所を更に伸ばし、活用することを進め、幼少期から、様々な体験をし、多くの人と触れ合うことにより、多様な価値観があることを認識したり、国際的な感覚・視野を持つ「人財」、自分の考え方を持つとともに他者をいたわる心を持つなど、豊かな人間性・社会性を持つ「人財」、また、自ら考え、自ら決定できる自立した「人財」、相手に自らの考えを伝え相手の考えを受け取るコミュニケーション力の高い「人財」の養成を進めます。