平成28年10月6日
鳥取県人事委員会
本日、10月6日に、県議会議長及び知事に対して、次のとおり、職員の給与に関する報告及び勧告並びに人事管理に関する報告を行いました。
なお、勧告に当たり、お忙しい中、職種別民間給与実態調査に御協力をいただきました民間事業所の皆様には、この場をお借りし、改めてお礼申し上げます。
本年の給与等報告・勧告のポイント
●月例給は引上げ、特別給は引下げ
- 民間給与との較差(1.07%)を埋めるため、給料表の水準等を引上げ
- 特別給を引下げ(期末手当 △0.1月分)
●扶養手当の見直し
- 配偶者に係る手当額を他の扶養親族と同額まで引下げ、子に係る手当額を引上げ
1 給与決定の原則
地方公務員法第24条第2項は「職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない」と規定しており、これらの判断基準を調査し、総合的に勘案する。
2 職員の給与を取り巻く状況
(1)県内民間事業所従業員の給与の状況
- 県内の企業規模50人以上、かつ、事業所規模50人以上の216事業所から135事業所を無作為に抽出し、従業員の個人別給与を人事院等と共同で実地調査して、県職員と比較した。
<月例給・特別給(ボーナス)の公民比較>
区分
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県内民間(A)
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県職員(B)
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公民較差(A-B)
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月例給
(平成28年4月分) |
348,654円 |
344,967円 |
3,687円(1.07%) |
特別給
(平成27年8月~平成28年7月) |
4.02月分 |
4.10月分 |
△0.08月分 |
(注)月例給は、ラスパイレス方式による比較
(2)国家公務員の給与の状況
- 人事院においては去る8月8日に、公民較差に基づく月例給及び特別給の引上げについての勧告を行った。
<国公ラス(国=100)>
21年
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22年
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23年
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24年
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25年
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26年
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27年
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28年
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95.3
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94.8
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94.0
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101.2
(93.6)
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99.1
(91.6)
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91.8 |
91.8 |
未公表 |
(注)平成24年及び25年欄中( )内は、国の給与減額支給措置による減額前の額で比較
(3)他の都道府県の職員の給与の状況
- 他の地方公共団体においては、概ね本県と同様に国と類似の給与制度をとっている。
- 本年の給与改定については、これまでに勧告のあった都道府県等の状況を見ると、概ねそれぞれの地域の実態を反映したものとなっている。
(4)生計費及びその他の事情
- 勧告後の給与は、生計費を充足している。
- 最近の本県の経済状況をみると、雇用面では、有効求人倍率、新規有効求人倍率ともに高水準の推移をしており、景気の基調としては、一部に弱さが見られるも、持ち直しの動きにある。
3 勧告の考え方及び内容
(1)給与の改定
1の給与決定の原則に基づき、次のとおり判断した。
ア 月例給(給料及び諸手当)
(ア) 考え方
- 県職員の給与が県内民間事業所従業員の給与を1.07%下回っていることから、民間給与との均衡を図るため月例給を引き上げる必要がある。
- 国と同様に初任給について民間との間に差があることなどを踏まえ、若年層を中心に改定した本年の人事院勧告による俸給表に準じた給料表への改定を行うことが適当である。
(イ) 内容
- 本年の人事院勧告による俸給表に準じた給料表への改定を行うこととし、給料表の水準を引き上げる。
- 管理職手当について、給料表に準じた改定を行う。
- 初任給調整手当について、国に準じた改定を行う。
<参考>改定後の月例給
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現行
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改定後
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改定額
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改定率
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月例給
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344,967円 |
348,638円 |
3,671円 |
1.06% |
イ 特別給(期末手当・勤勉手当)
(ア) 考え方
- 県職員の特別給の支給月数が県内民間事業所の特別給の月数を0.08月分上回っていたことから、民間の特別給の月数に見合うよう、支給月数を引き下げる必要がある。
(イ) 内容
- 期末手当の支給月数を0.10月分引き下げ、4.10月(現行)から4.00月とする。
(一般の職員の場合の支給月数)
年度
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区分
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6月期
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12月期
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平成28年度 |
期末手当
勤勉手当 |
1.170月(支給済み)
0.785月(支給済み) |
1.260月(現行1.360月)
0.785月(改定なし) |
平成29年度以降 |
期末手当
勤勉手当 |
1.145月
0.785月 |
1.285月
0.785月 |
<参考>給与改定による年間給与の影響額(行政職一人当たり平均)
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現行
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改定後
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影響額(※)
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改定率
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年間給与
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5,483,989円 |
5,507,940円 |
23,951円 |
0.44% |
※影響額の内訳〔月例給43,883円、特別給△19,932円〕
(2) 扶養手当の見直し
民間企業及び公務における配偶者に係る手当をめぐる状況の変化等を踏まえ、国に準じて、以下のとおり見直しを行う。
- 配偶者に係る手当額を他の扶養親族に係る手当額と同額まで引下げ。それにより生ずる原資を用いて子に係る手当額の引上げを行う。(配偶者及び父母等:6,500円、子:7,900円)
- 行政職給料表適用者9級相当の職員には、子以外の扶養親族に係る手当を支給しない。
- 行政職給料表適用者8級相当の職員には、子以外の扶養親族に係る手当を3,500円とする。
- 配偶者に係る手当額の引下げは、受給者への影響をできるだけ少なくする観点から段階的に実施し、それに合わせて子に係る手当額の引上げを行う。
(3) 実施時期
- 月例給 平成28年4月1日
- 特別給 改正条例の公布日
- 扶養手当 平成29年4月1日(段階的に実施)
4 人事管理に関する報告
(1)仕事と家庭生活の両立支援
- 本年、人事院は、民間労働法制の改正内容に即して、介護休暇の分割、介護時間の新設、育児休業等に係る子の範囲の拡大などについて勧告等を行った。本県においても、働きながら育児や介護がしやすい環境整備の必要性は民間や国と同様であることから、国に準じて制度を見直す必要がある。
(2)時間外勤務の縮減対策
- 各任命権者において時間外勤務の縮減に向けた様々な取組が進められている。引き続き勤務実態の正確な把握に努め改善していく必要がある。
(3)労働災害の防止
- 単なる法令遵守にとどまらず、快適な職場環境の実現と労働条件の改善に取り組む必要がある。
(4)職員の健康保持
- 長時間労働は身体のみならず心の健康にも害を及ぼすものであることから、長時間労働の実態把握や面接指導等の措置により、職員の健康保持に努める必要がある。
- ストレスチェックなどを有効に活用し、メンタルヘルスケアの充実に努めることが必要である。
(5)良好で働きやすい職場環境の確保
- 男女雇用機会均等法の改正等を踏まえ、妊娠、出産、育児休業・介護休業の取得等、あるいは性的指向や性自認を理由とした、上司、同僚による就業環境を害する行為を防止するため必要な措置を講ずる必要がある。
(6)高齢期の雇用問題
- 本県の実情及び人事管理の状況を十分考慮した上で、国の動向を注視しながら、雇用と年金の接続が確実に行われるよう引き続き取り組む必要がある。
(7)非常勤職員等の勤務条件
- 民間労働法制の改正内容を踏まえ、介護休暇等の制度について常勤職員に準じて必要な見直しを行うことが適当である。
(8)障がい者の雇用
- 各任命権者とも法定雇用率は達成している状況ではあるが、引き続き障がい者雇用に係る取組について点検し、課題等に応じて見直しを行っていくことが重要である。
(9)能力・実績に基づく人事管理の推進
- 限られた人的資源の下で公務能率の維持・向上を図るためには、育児や介護、病気等により現に働き方に制約がある職員や、これらのために必要な業務を経験できなかった職員であっても、それぞれの事情や能力・実績等に応じて十分に活躍できるよう、これまで以上に柔軟な人事管理も必要である。
職員の給与等に関する報告・勧告の概要(PDFファイル、223KB)
職員の給与に関する報告及び勧告並びに人事管理に関する報告の本文
・別紙1 職員の給与に関する報告
・別紙2 職員の給与に関する勧告
・別紙3 人事管理に関する報告
(PDFファイル、4,461KB)
参考資料(PDFファイル、4,324KB)
勧告のポイント(PDFファイル、650KB)
知事への勧告時委員長コメント要旨(PDFファイル、223KB)