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平成30年12月20日:資料保存・修復研修会

 平成30年12月20日(木)、鳥取県立図書館大研修室で資料保存・修復研修会を開催しました。

 県内の市町村職員、図書館・博物館等の職員を対象に、資料の修復において第一線で活躍される有友至氏(元国立公文書館)による講演、さらに秦博志氏(修復家・修復工房HATA Studio経営)と有友氏による資料修復のワークショップを行いました。受講者は35名でした。

田中公文書館長のあいさつ
田中公文書館長のあいさつ

 はじめに、有友至氏による「資料保存はデジタル化の波に流されるのか?」をテーマにご講演いただきました。急速に進む資料のデジタル化の波に埋もれないために、保存と公開において、紙資料とデジタルとの両立がいかに重要であるかということを指摘されました。また「酸性紙問題」(紙に含まれる酸が紙を劣化させる現象)を取り上げ、酸性紙は脱酸処理を行い、中性紙化すれば、500年・1,000年先まで残せることを分かりやすく説明されました。

講師・有友至氏(元国立公文書館)
講師の有友至氏(元国立公文書館)

 午後のワークショップでは、最初に秦博志氏が、持参された書籍を利用して、紙の酸性化が進んできた背景や原因について説明されました。受講者は、実際に書籍に触れて酸性化した紙の性質について学びました。

 引き続き、有友氏と秦氏の指導により、古文書の裏打ち、酸性化した印刷物の両面打ち、和紙の食裂(くいさき)を利用した印刷物の繕いを実習しました。

 受講者からは、講師の話がわかりやすかった、日頃の課題を解決する糸口になった、意外と簡単にできる技術だった、といった声がありました。

秦博志氏(修復家・修復工房HATA Studio経営)
秦博志氏(修復家・修復工房HATA Studio経営)
有友氏の指導のもと、両面打ちを体験
有友氏の指導のもと、両面打ちを体験
破損した資料の繕い
破損した資料の繕い

 受講者の感想を紹介します。

  • 修復の技術を学ぶとともに、実習では和紙の威力を実感した。教えていただいた方法(繕い)で、破損した公文書も自分で補修できると思った。
  • 資料を適切に保護・保存するための裏打ちや破れの修復など、わかりやすい方法と手順を講習いただき、また、実際に体験することができて大変参考になった。資料の状態によって方法(材料)が変わると思うが、どのような修復が適切なのか、判断の基準になるものがあれば知りたい。

     デジタル化が進む中、紙資料との両立をどのように捉えたらいいのか、酸性紙の資料の保存はどうしたらいいのか、などの問題意識を持った受講者が多く、大変有意義な研修会となりました。

     お忙しい中、ご講演・ご指導いただきました有友至氏・秦博志氏には、厚く御礼申し上げます。

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