難病患者に生の音色を宅配
「ミュージック・オフィス♪DoReMi」は倉吉市を拠点に活動。代表でバイオリニストの小林圭子さんは、一般社団法人日本音楽療法学会が認定する音楽療法士(民間の資格。音楽が人の心理や認知機能に作用する力を利用して、心身に障がいのある人のリハビリを支援する。)の資格を持っています。音楽は心身の回復や生活の質向上につながると考え、医師を含む異業種の仲間と、活動に賛同するアーティストらと共に、2015(平成27)年10月に立ち上げました。
患者の依頼を受けて、500円で自宅に出張して音楽を届ける「「音楽」の宅配便♪?。依頼者がベッドに横たわっているときは、そのすぐそばで演奏を。依頼者は演奏に耳を傾け、リクエスト曲に聴き入ります。コンサートホールにはなかなか出掛けられない在宅療養者も、こうして非日常の体験を楽しむことができます。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)で在宅療養を行っている岡本充雄さん(鳥取市)は、音楽を聴いても手拍子を打つことや言葉を発することはできません。しかし、表情が和らぐ、涙を流すなど周囲にもわかる変化が。目線を使って、妻に「音楽は人を救う」と伝えたそう。また、難病で聴力に障がいのある赤ちゃんに音楽を奏でたときも、手で楽器に触れる動きが。「たくさんの奇跡が起きる。音楽の力は計り知れない」と小林さん。
これまでに17回を数えたこの活動に賛同する登録アーティストは、約3年で21人に。フルートやピアノ、チェロなど国内外で活躍する奏者が名を連ねています。
一般の人にもこの活動を知ってもらうため、PRコンサートも定期的に行っています。
バイオリンの音色を響かせる小林さん(中央左)と、心のケアをする道化師「シャンピー」さん(中央奥)。依頼者の自宅がコンサート会場に( 写真提供は小林さん)
穏やかな空気が伝わったのか、聴力に障がいのある赤ちゃんが反応。演奏者にとってもうれしい瞬間(写真提供は小林さん)
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