防災・危機管理情報


  「フレイル」とは、加齢とともに心身の働きや社会的なつながりが弱くなった状態を表す言葉です。英語の「Frailty(フレイルティー)(虚弱)」が語源ですが、早く気付いて「運動」「栄養」「人とのつながり」を見直せば、健康な状態に戻ることも可能。新型コロナウイルス感染予防のため、外出を控えて運動や交流の機会が減っている今こそ、一人一人ができる工夫で健康を保ちましょう。

やり方工夫し、適度に運動

  市町村が行う地域サロンや外出支援などの介護予防事業は、フレイル予防にも有効です。しかし、新型コロナウイルス感染を防ぐため、人との接触をできるだけ減らさねばならない今、これまでどおりの実施は困難。本人や家族がしっかり対策を講じる必要に迫られています。
  鳥取大学医学部の加藤(かとう)敏明(としあき)准教授は、体操や散歩など適度な運動を勧めます。例えば「ご当地体操」。2メートルの距離を維持しながら仲間と、あるいは1人でも屋内や公園などで行うことが可能です。加藤准教授が勧める「スクワット」(下写真参照)も、安全で効果的に足腰を鍛えられます。
  また、天気の良い日の10分から15分の散歩は、体内のビタミンDを増やし骨粗しょう症を予防するほか、精神を安定させる神経伝達物質「セロトニン」の分泌、さらに夕方以降、睡眠への導入を促進。歩くコースを考えたり、景色の変化を感じたりすれば認知機能の維持にもなります。
  家にいながら、人とつながる工夫も。「何時に、こんな運動を何分やった」とサロンの仲間や家族に、電話や手紙で伝え合うと、互いの励みや続ける意欲につながります。加藤准教授によると手紙の方がお勧め。「好きな便箋に文章を書く、読み返し納得して封をし、投函(とうかん)に出掛ける。この一連の動作もトレーニングになる」とその理由を語ります。

加藤准教授の写真
「フレイル予防には『きょうよう(今日用事がある)』『ちょきん(貯筋)』などが大切」と語る加藤准教授

フレイル予防運動の写真1
脚を持ち上げて、5秒間程度維持しながら手で脚を押し返す。左右交互に5回から10回ずつ行う(写真提供は加藤准教授)

フレイル予防運動の写真2
椅子から5センチから10センチ程度お尻を浮かせ、5秒間維持して座る。5回から10回程度行う(写真提供は加藤准教授)

散歩をしている写真
天気の良い日は、散歩で心も体もリフレッシュ。人との距離を十分取って、帽子や水分など熱中症対策も忘れずに

早めの気付きが進行を防ぐ

  フレイルは、要介護状態に至る前段階として位置付けられます(下図)。感染症拡大予防のため外出を自粛する中、家で何もせず、じっと動かずにいると、食欲が湧かず、栄養状態が悪くなり、認知機能や筋力が衰えます。
  放置すればフレイルが進行し、要介護状態になる可能性も。早めに気付き適切に取り組めば、進行を防ぐだけでなく、健康な状態に戻ることも可能です。
健康・フレイル・要介護の段階を示した図

外出自粛で動かないと…
  筋力の低下
  認知機能の低下
  人とのつながり減少 が起きます。

フレイルの自己チェック
指輪っかテスト
  両手の親指と人さし指で輪を作り、利き足でない方のふくらはぎの一番太い部分を軽く囲んでみる。隙間ができると、加齢に伴って筋肉が衰えている可能性が高い。
出典 厚生労働省老人保健健康増進等事業『口腔機能・栄養・運動・社会参加を総合化した複合型健康増進プログラムを用いての新たな健康づくり市民サポーター養成研修マニュアルの考案と検証(地域サロンを活用したモデル構築)を目的とした研究事業 事業実施報告書』(平成28年3月)東京大学高齢社会総合研究機構 飯島勝矢

意識して体を動かす

座っている時間を減らす
  立ったり、歩いたり、その場での足踏みも。

自宅でできる体操を
  ラジオ体操やテレビ体操、「ご当地体操」などが活用できます。ご当地体操の詳細は、各市町村へお問い合わせください。
  県公式ウェブサイト「とりネット」で配信中の「とっとり方式認知症予防」運動プログラムも活用できます。
https://www.pref.tottori.lg.jp/291436.htm

散歩や屋外での運動も
始める前には、体温・体調チェック。次の項目が一つでも当てはまれば外での運動は控える。
  □体温が37.5度を超えている
  □咳、喉の痛み
  □だるさ、息苦しさ
  □におい・味がいつもと違う
  □体が重い、疲れやすい など
人と2メートル以上の距離を確保できる場合には、マスクを外す。
熱中症にも注意し、小まめな水分補給を。

生活見直し、抵抗力つける

  運動に加え、バランスの良い食事、特にタンパク質の積極的な摂取は、筋力の維持に効果的です。普段の食事にタンパク質が多く含まれる食品を足す、多種類の総菜や缶詰なども活用するなど、手軽にできるひと工夫を。必要な栄養を適量取るには3食欠かさないこと。3度の食事は生活リズムも整えます。
  また、食事で栄養を取るには「口の健康」も重要。水でむせるのは飲み込む力の、滑舌の悪化は口の筋力の衰えの兆候です。むせて食べられないと低栄養が進み、滑舌が悪くなると会話が面倒に。食べる力、そして人とのつながりを維持するために、口周りの筋肉も鍛えましょう。フレイルが進むと体の抵抗力は低下し、感染症が重症化しやすくなります。生活習慣を見直すのは今です。

お口健やかに食と話、楽しもう

県庁健康政策課 歯科衛生士
遠藤(えんどう) あすか
遠藤あすかさんの写真

  口の健康には歯磨きのほか、口周りの筋肉全体を使うことが大切です。口を大きく開ける、一文字に閉じる、唇をとがらせる。口の中で舌を上下左右に大きく動かすと、唾液が出て食べ物を飲み込みやすくなるほか、口内が清潔に。小さく切ったチーズやのりを唇のそばに付けて舌で取る遊びもお勧めです。(下写真参照)
  また、会話するだけでも口を動かす運動に。離れた家族とは電話で、同居なら一定の距離を取って話したり、歌を歌ったりするといいですね。口の状態が良くなれば、食事も会話もより楽しめます。

舌を動かす遊びの写真

タンパク質をより多く手軽に

  筋肉量は加齢に伴って減少します。筋肉のもととなるタンパク質を意識して取ることが必要です。普段の食事に、タンパク質が豊富な食品を取り入れる、ちょっとした工夫を。(下記参照)
  そしてもう一つ。調理前・食事前の手洗いを忘れずに実行しましょう。
  (手の正しい洗い方は県政だより5月号「新型コロナウイルス感染防ぐ/省エネ住宅の利点知って」に掲載)

料理の並べ方の一例の写真
大皿は避けて、料理は個々に。対面ではなく横並びで

【工夫の例】 (参考) 厚生労働省「食べて元気にフレイル予防」

朝食 トースト、目玉焼き、野菜サラダ
タンパク質アップの工夫 トーストにハムとチーズを加えハムチーズトーストにする。ヨーグルトを追加する。

昼食 ごはん、鶏ハンバーグ、酢の物、果物
タンパク質アップの工夫 枝豆を追加する。

間食 ようかん、お茶
タンパク質アップの工夫 ようかんをチーズケーキに変更する。お茶に豆乳を加え豆乳ラテにする。

夕食 ごはん、鮭のバター焼き、温野菜サラダ、みそ汁
タンパク質アップの工夫 ごはんに納豆を加え納豆ごはんにする。みそ汁に豚肉を加え豚汁にする。

※食事制限がある人は、医師の指示に従ってください。

【問い合わせ先】
県庁長寿社会課(介護予防)
電話 0857‐26‐7176 ファクシミリ 0857‐26‐8168
県庁健康政策課(栄養・口腔ケア)
電話 0857‐26‐7861 ファクシミリ 0857‐26‐8143



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