避難の形は一つじゃない
避難とは、難を避けて安全を確保する行動です。日本災害情報学会は今年5月、新型コロナウイルスの感染リスクがある中で災害が起きた場合には、「分散避難」も選択肢とする提言を発表しました。分散避難とは、自治体が指定する避難所以外で、自宅やホテル、親戚や友人宅などさまざまな場所に分散して避難するというものです。
コロナ禍の今は、災害と感染症の両方から身を守らねばなりません。自宅や親戚・友人宅が頑丈な建物の高層階や差し迫った危険がないなど安全が確保されている場合は、その場にとどまりましょう。これは、避難所の「密」を避けるためにも有効です。普段から家族や親戚、友人などと、自分たちに合った避難先について話し合っておくと、迅速に行動できます。
このほか、自主的に地域の集会所や公民館を避難場所として活用している例も。居宅から近い、こうした施設は日頃から使い慣れており、顔見知りが多く落ち着くなどの利点があります。下記に紹介する米子市尚徳地区や智頭町中原集落では、地域ぐるみで災害に備えた取り組みを展開。どちらも元々、地域内の関係づくりはあったものの、それに加え、支援が必要な人や危険箇所・避難経路などの把握に役立つマップを作ったり、災害時の行動を定期的に話し合ったりして、地域全体の自主防災の意識を高めています。こうした地道な活動が、いざという時に慌てず避難できる場所づくりに発展します。
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