戦前から戦後にかけて、鳥取県は県内のハンセン病患者すべてを岡山県の国立療養所長島愛生園に送り込もうとする「無らい県運動」を推しすすめました。
本書は、昭和13(1938)年発行の冊子『鳥取県ノ無癩運動概況』を手がかりに、愛生園所蔵資料や入所者の聞き取り等を通じて明らかとなった鳥取県の無らい県運動の実態を解明し、国策としての隔離政策のなかに位置づけたものです。
刊行 平成20年3月
頒布価格 500円
体裁 A5版 108ページ
著者 西村 芳将
頒布窓口 次の各窓口で頒布します。
委託販売窓口
- 鳥取県立博物館(鳥取市東町2丁目124)
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※県外の方、そのほか窓口で直接購入することが困難な方については、配送による頒布もお受けします。詳しくは、「刊行物の購入と発送のご案内」のページをご覧ください。
目次
はじめに
1 ハンセン病政策のあらまし
病原性のきわめて弱い感染症/恐れられた病/隔離された病
2 民間医療と国策の開始
浅井謙碩の献替病院の開業/第一回国際らい会議の波紋/法律「癩予防ニ関スル件」の成立/第三区府県立外島保養院の設置
3 隔離の枠組みの形成
鳥取県諭告「癩予防に関する方法」/鳥取県訓令「癩予防に関する法令施行手続」/外島保養院への送致/療養所分担金の負担
4 全患者隔離への道
「癩予防法」の制定と長島愛生園の開所/財団法人癩予防協会の活動/長島愛生園医官による患者訪問/澄宮来県と収容の促進/十坪住宅運動への参加
5 立田知事と無らい県運動
「故郷」への着任/「癩予防は私の念願」/県内患者一斉調査の実施へ/愛生園への入所願いと患者収容/患者数増加への憂慮
6 鳥取県癩予防協会の発足
「無らい県」へ挙県一致の大事業/無らい県運動の現状認識/募金活動に対する議会の批判/寄附目標の達成と風評の拡大/財団法人鳥取県癩予防協会の設立/二人の権威者/朝鮮癩予防協会の経験
7 「鳥取寮」の完成へ
地方長官会議での奏上/長島愛生園視察団の派遣/「鳥取寮」の完成/無らい県の「達成」
8 長島愛生園からの逃走
「鳥取寮は空き家」/収容の反動としての逃走/逃走者が明かす園内生活/戦時下の患者収容と一時帰省
9 戦後の無らい県運動
継続する隔離政策/改正「らい予防法」の時代
おわりに
巻末資料/参考文献/引用史料出典/写真所蔵・提供者/あとがき
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