第3回講座は、新型コロナウィルス感染症拡大防止のためオンライン配信により開催し、24名の方に御視聴いただきました。今回の講座は「青谷上寺地遺跡の琴 -弥生の音色を奏でる-」と題し、講座の前半は湯村係長(とっとり弥生の王国推進課)が青谷上寺地遺跡から出土した琴について解説しました。
青谷上寺地遺跡出土の琴は時期が判明しているものは全て弥生時代中期のものであり、小型(長さ50~60cm程度、幅10~15cm前後)で、箱作りのものが多いことが明らかとなりました。また、響孔(きょうこう)など音を鳴らすための細工があることから実際に音を鳴らしていた可能性が高く、祭祀の場面で使われたものと推定されます。さらに、魚や動物の絵画を表現したものがあることが特徴で、類例が日本海沿岸地域に限られることから、この地域には、絵画を表現した琴を用いるという共通の考え方があった可能性を指摘しました。
また、講座の後半には、門脇文化財主事(とっとり弥生の王国推進課)が青谷上寺地遺跡の出土品のほか、登呂(とろ)遺跡(静岡県静岡市)、古高・経田(ふるたか・きょうでん)遺跡(滋賀県守山市)、前田(まえだ)遺跡(島根県松江市)出土品をモデルとして復元した琴を演奏し、琴の大きさや、共鳴槽の有無などによりそれぞれ音質が異なるほか、琴柱(ことじ)を用いて調律することで音楽が奏でられることを実感していただきました。また、同時期の中国の弦楽器との比較や『古事記』に記されたエピソードから、日本の古代の人々が琴を重視した理由は、複雑な音律よりも琴が発する音色そのものに神聖さを感じたからではないかとの考えを述べました。
青谷上寺地遺跡出土の琴について解説しました
復元した琴の音色を奏でました
次回の第4回講座は「ぶらっと青谷れきし学 Part4」と題し、青谷地域をウォーキングして、町中に残る歴史の痕跡を探す野外講座を行います。その様子はホームページで紹介する予定です。
(※第4回講座は募集定員に達しました。御応募いただき、ありがとうございました。なお、野外活動のため、オンライン配信は行いません。)
次回以降の御案内はこちら ⇒ /secure/1261085/dai4kaiikounokouza .pdf